ヘルムート・マルコ、角田裕毅がF1中国で抱えた「問題」と「レースパフォーマンス」を評価
週末を通して特にリアのグリップ不足に苦しみ、すべてのセッションで僚友ダニエル・リカルドの後塵を拝した角田裕毅を、レッドブルのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコはどのように評価したのか?
角田裕毅は開幕4戦で2度のポイントフィニッシュを飾り、すべての予選でチームメイトを上回る速さを見せたが、第5戦中国GPでは一転、劇的に競争力を失った。
フリー走行ではコンマ7秒、スプリント予選ではコンマ5秒、そして予選でもリカルドにコンマ3秒差をつけられ、レースでは27周目にケビン・マグヌッセン(ハース)に右リアを引っ掛けられリタイヤを余儀なくされた。
リカルドもランス・ストロール(アストンマーチン)の魚雷攻撃を受けクルマを損傷し、RB(旧アルファタウリ)は2021年のイタリアGP以来となるダブルリタイヤに終わった。
経験不足とタイヤ選択の「ミス」
マルコは「SPEEDWEEK」のコラムの中でオスカー・ピアストリ(マクラーレン)のパフォーマンスに触れて、上海インターナショナル・サーキットの特性が角田裕毅の不振の要因の一つになったとの見方を示した。
「ユーキの例からもわかるように、経験がものを言うサーキットである事は間違いない」とマルコは指摘する。
「上海での走行経験がないもう一人のドライバーであるオスカー・ピアストリを見てみると、彼はランド・ノリスよりレース中に1周あたり0.5秒から1秒遅かった」
「特にスプリントフォーマットではフリー走行の時間が少なく、それがルーキーにとっては余計に不利に働く」
角田裕毅は週末唯一のプラクティスでハードタイヤを使用したが、最初のセッションという事で路面のグリップは非常に低く、「ただただ滑りまわっている」だけだった。
マルコはタイヤ選択という点で「レーシング・ブルズはおそらくミスを犯した」と綴り、初めて走るコースの習熟に悪影響が及んだと指摘した。
マグヌッセンが奪った入賞チャンス
結果的にリタイヤに終わったものの、角田裕毅はソフトタイヤのグリップ力を活かしてオープニングラップで3つポジションを上げるなど、厳しい状況の中でも見せ場を作った。
ただ、週末を通して苦しんだペースについては「依然として改善されたようには感じませんでした。どうやってペースを見つけるかが問題ですが、チームメイトと比較してもかなりの差があったのは間違いないです」と認めた。
しかしながらマルコは、角田裕毅のレースペースはリカルドと遜色なく、マグヌッセンに接触されなければポイント獲得のチャンスがあったと考えている。
「レースでのツノダのラップタイムはリカルドと同じレベルだった。彼にはポイントを獲得するチャンスがあっただろうが、その希望はマグヌッセンによって打ち砕かれた」とマルコは綴った。
リカルドについては、新シャシーが心理面にプラスの影響を与えたとの見方を示し、過去4戦の状況と比べて「遥かに良かった」と評価した。
そして「チェッカーフラッグ後にランス・ストロールが彼を『バカ』呼ばわりしたのが信じられない。おまけにマイアミでグリッド降格ペナルティを受けなければならなかった。彼にとっては本当に散々な週末だった」と付け加えた。