ダニエル・リカルドと卓球をする角田裕毅(RBフォーミュラ1)、2024年4月18日(木) F1中国GP(上海インターナショナル・サーキット)
Courtesy Of Red Bull Content Pool

マルコ:角田裕毅がレッドブルの2025年候補に上がっていない理由、リカルドとローソンのシーズン途中での交代の可能性

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開幕4戦で2回のポイントフィニッシュを果たし、RBチームをコンストラクターズ選手権6位に導く活躍を示しながらも角田裕毅は、2025年のマックス・フェルスタッペン(レッドブル)のチームメイト有力候補として名前が上がっていない。

4シーズン目を迎えた23歳の日本人ドライバーは8度のグランプリウィナーである経験豊富なチームメイト、ダニエル・リカルドを上回るパフォーマンスを発揮し続けている。

対予選成績では3度のQ3進出を果たして完勝し、開幕バーレンGPでは物議のチームオーダーによりリカルドを下回る14位でフィニッシュしたが、これを除けば決勝レースに関しても同じVCARB 01を駆るチームメイトを寄せ付けない結果を残している。

現時点でレッドブルの来季シート争いをリードするのは現行契約を持つセルジオ・ペレスとカルロス・サインツ(フェラーリ)だ。

レッドブルのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコはサインツとの契約交渉を認めており、また、開幕4戦で3度の2位を飾った好調を維持すればペレスが「最良の選択肢」になるとしている。

角田の名前が候補リストにない理由

マルコは角田裕毅の今季の活躍を称賛しているが、現時点ではレッドブルの真剣な候補とは見なしていない。その理由は2つある。

1つはシーズン序盤という事で、現在のパフォーマンスレベルが一時的なものなのか、恒久的なものなのかを計り兼ねているため、そしてもう1つは、リカルドを圧倒するほどの絶対的な力の差を見せつけているわけではないためだ。

マルコは中国GPの開幕を翌日に控えた4月18日(木)に公開されたオーストリア紙「クライネ・ツァイトゥング」とのインタビューの中で、「ユーキは素晴らしい形でシーズンのスタートを切った。もはやかつてのようなホットランナーではない」と述べ、以前と比べて感情のコントロールが改善され、落ち着いてレースを進めていると評価した。

その一方で「まだ4戦しか終わっていないため、多くを語ることはできない」とも述べ、有力候補のペレスと比較する段階にはないと強調した。

また、母国観衆の前でキャリア初のF1ポイントを獲得した前戦日本GPに触れて「彼はダニエルに対して優位に立っていた」とする一方、2人の競争力は拮抗していたとも指摘した。

マルコはプレシーズン段階の2月、RBのドライバー達について「チーム内で明白にシーズンを支配した者」がレッドブルへの昇格の候補になり得ると説明していた。角田裕毅にしろリカルドにしろ、相手を圧倒的に凌駕しない限り、マルコを納得させる事はできない。

リカルドとローソンの交換の可能性

リカルドを巡る状況は今年のドライバーマーケットが如何に急速に変化するかを示している。34歳のオーストラリア人ドライバーはペレスの後任候補として2024年シーズンに臨んだものの、開幕4戦はノーポイントと低調だ。

マルコはリカルドに対してもっと多くを期待していたという事実を隠さない。

「彼に期待されていたのは、もしレッドブルのシートを手に入れたいのであれば、ユーキよりも明白に速くなければならないということだったが、(鈴鹿で)接近していたとしても、今のところそうではない。今後の展開を見守りたい」とマルコは語った。

このまま角田裕毅に敗れ続ける状況を許せば、リカルドはシーズン中のシート喪失というプレッシャーにさえ直面することになるかもしれない。

ジュニア・ドライバーのリアム・ローソンは昨年、リカルドが手の骨折により欠場を余儀なくされた際に代役として優れたパフォーマンスを見せ、F1シートを手にするチャンスを与えられるに相応しい事を示した。

マルコは、2025年にシートを得られない場合、レッドブルを離れる事ができる条項がローソンとの契約に存在する事を明かした上で「その意味で、更なる状況を把握するために今年のF1で彼を見る事ができればエキサイティングだろうが、これは複雑な問題であるため、状況の進展を見守る必要がある」と語った。

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