ザウバーF1、”リファレンス”である角田裕毅に照準…今季初入賞に向け対抗心
ピットストップで深刻なタイムをロスする事なく、また力強いレースペースを発揮したF1第4戦日本GPを経てザウバーは、今季初のポイント獲得に向けて自信を深めているが、そのためには角田裕毅(RBフォーミュラ1)を倒す必要があると考えている。
開幕3戦連続でのピットストップの致命的なロスを経て鈴鹿を「問題なく」終えられた事にチーム代表のアレッサンドロ・アルンニ・ブラービは安堵した。
独「Motorsport-Total」によるとアルンニ・ブラービは、現時点ではピットストップタイムの短縮化ではなく「一貫性と信頼性」を重視しているとした上で、鈴鹿ではそれを達成できたと説明し、レーシング・ディレクターのシェビ・プジョラはこれを「大きな進歩」と評した。
レースペースも印象的だった。バルテリ・ボッタスは1回目のピットストップで角田裕毅をアンダーカットすると、スティントを通して最終的に10位フィニッシュする事になるVCARB 01を退けた。
5台が一斉に雪崩込んだ2回目のピットストップでライバルに先行を許し、ケビン・マグヌッセン(ハース)に前を塞がれた事でポイント獲得のチャンスは潰えたが、それでも恐らくはVF-24を上回るペースを刻み、0.974秒差での14位フィニッシュを果たした。
ボッタスは「レーシングブルズ(RB)や他のチームについていくことができた。レースペースはどんどん良くなっている」と振り返った。
ペース改善の要因の一つは鈴鹿でC44に投入されたアップグレードだ。気流とクルマの安定性を改善し、パッケージ全体の空力効率を向上させるべくザウバーは、新しいフロアボディとフロアエッジを持ち込んだ。
アルンニ・ブラービは「ヒンウィルからのアップグレードが持ち込まれるたびに我々はパフォーマンスを向上させている。そして我々は正しい方向に進んでいることを知っている」と語る。
リザルトとしてはポイントに4つ届かない結果だが、ボッタスについてアルンニ・ブラービは「実に堅実なレース」を見せたとして、事実上の第1スティントを通して角田裕毅をリードしていたことに触れて、ポイント獲得にあと一歩まで迫っていたとの考えを示した。
ザウバーがRBに敗れたのは戦略的要因が大きかったとボッタスは考えている。
ボッタスが不満を感じているのは2回目のピットストップのタイミングだ。ザウバーがボッタスにボックスを指示したタイミングはRBを含むライバル4チームと同じだった。
タイヤ交換に課題を抱えているザウバーにとってこれは、明らかなポジションダウンを意味する。実際、これにより2つポジションを失った。
ボッタスは「ペースがあったのだからスティントを延長し、フリーな状況で走る事もできたはずだ。そうすればユーキがいる場所にいられたかもしれない」と述べ、戦略面を見直す必要があると指摘した。
マシン開発の進展とピットストップの改善を受けザウバーは、ポイント獲得に大きく近づいていると考えているが、そのためには必ずや打ち負かさなければならないドライバーがいる。そう、角田裕毅だ。
オーストラリアと日本で僅差の中団争いを制し、2戦連続のポイントを獲得した角田裕毅はザウバーにとって目指すべき成功例であり、また、自らが掲げる目標の達成における最大の障害と言える。
角田裕毅についてプジョラは「現時点での彼が我々のリファレンスである事は間違いない。彼は我々が打ち負かしたい相手だ」と語った。
角田裕毅はチームの今季全ポイントを一人で稼ぎ出しており、RBは中団トップのコンストラクターズ選手権6位につけている。トップ5チームが突出する状況において角田裕毅は、明らかなミッドフィールド・リーダーとして君臨している。