ハミルトンのクラッシュに歓声「教育が必要」とメルセデス、レッドブルもファンに自制求める
F1第11戦オーストリアGPの予選Q3でクラッシュが発生した際に観客から歓声が上がった事を受け、メルセデスのチーム代表を務めるトト・ウォルフは「教育が必要」との考えを示し、レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表もファンに自制を促した。
僅か1000分の82秒という中にトップ3が入り乱れるという、2020年のサクヒールGP以来の大接戦となったレッドブル・リンクでの予選では、最終セグメントでメルセデスW13を駆る2人のドライバーが相次いでクラッシュする事態となった。
まずはルイス・ハミルトンがターン7の立ち上がりでコントロールを失い、グラベルを乗り越えてバリアに激突。赤旗からの再開直後には、僚友ジョージ・ラッセルが最終コーナーで同じ様にバリアに衝突した。
メルセデスが2台揃って予選あるいはレースでクラッシュしたのは、2016年のF1スペインGP以来、6年ぶりの事だった。
ハミルトンが事故に遭ったターン7の脇には仮設スタンドが設けられていた。その場にいた多くがオレンジアーミー、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)の応援団で、事故を経て手を空高く上げて歓声を上げる様子があった。
ウォルフは「クルマがウォールにぶつかった際に歓声を上げたり、インタビューに応えるドライバーに対してブーイングを行うファンに対して、我々はもっと話をする必要があると思う」と語った。
そして「例え敵意を持っていたとしても、ライバルや敵に対してやるべき事ではない」として、F1、メディア、そしてチームが協力して「人々を教育する必要がある」と訴えた。
これに関してレッドブルのクリスチャン・ホーナー代表は、ウォルフと同様の見解を示し、「情熱は素晴らしいものだが、それが対戦相手に対するヤジに発展してはならない」とファンに自制を求めた。
両者が接触事故を起こした昨年のイギリスGPやイタリアGP、そして前戦イギリスGPに象徴されるように、昨シーズンを通して熾烈なタイトル争いを繰り広げたフェルスタッペンとハミルトンのファンはこれまで度々、相手方のドライバーに野次やブーイングを飛ばしている。
メルセデスの両ドライバーに怪我がなかったのは不幸中の幸いだ。予選を振り返ったハミルトンは「自分に対して信じられないくらいに失望しているし、チームに対して申し訳なく思っている」と失意をあらわにした。
「チームのみんなが一生懸命、組み立ててくれたクルマを壊してしまった。何が起きたのかについては、今はまだ答えがない。ターン7でバックエンドを失ってしまった」
クルマへのダメージの影響は避けられそうにない。
エンジニアリング・ディレクターを務めるアンドリュー・ショブリンは「被害の程度についてはまだ調査中だが、どちらの事故も同じコンポーネントが複数、破損しており、スペアパーツ的にかなり難しい状況だ」と説明した。
Most important thing from today: Lewis and George were okay 🙏❤️
Now, 👀 on making up ground in tomorrow's Sprint! pic.twitter.com/IArlOO2IMe
— Mercedes-AMG PETRONAS F1 Team (@MercedesAMGF1) July 8, 2022
7度のF1ワールドチャンピオンは今回、レースエンジニアのピーター・ボニントン、通称”ボノ”を欠いての週末を迎えている。
ウォルフは「ボノの不在はいつだって良い事ではない。彼は統合的な役割を担っているからね」と述べ、ベテランエンジニアの不在がハミルトンとチームに悪影響を及ぼしていると認めた。
「彼は自宅にいるが回線を通じて現場とつながっており、私は常に彼とコンタクトが取れる状態だ。マーカス(ダドリー、ハミルトンのパフォーマンス・エンジニア)は(ボノの代わりに)キッチリ仕事を果たしてくれるだろう」