ホーナー「中年女性の役がお似合いだ」ウォルフの揶揄に反撃…終わらないF1チーム代表舌戦
コース上で激しいコンストラクターズ選手権争いを繰り広げるレッドブル・ホンダとメルセデス。そんな両チーム代表による場外での舌戦は終盤を迎えて全く終わる気配がない。
クリスチャン・ホーナー代表はトト・ウォルフ代表の「パントマイムの主人公」発言に対し「光栄だ」と返して「もし自分が主人公ならば彼には中年女性の役がお似合いだ」とやり返した。
発端は「パントマイムの主人公」発言
トラック上でマックス・フェルスタッペンとルイス・ハミルトンが僅差の壮絶なバトルを繰り広げる一方、コース外では両チームの首脳が声高な批判合戦を繰り広げている。
ウォルフはF1第18戦メキシコGPに先立って行われたDaily Mailとのインタビューの中で、Netflixの「Drive to Survive」シリーズでのホーナーを「パントマイム(無言劇)の主人公」と評し、「目の前にマイクやカメラがあるとハリウッドの小さな俳優のように振る舞い始める」とライバルのチーム代表を揶揄した。
「トトが苛立つほどワクワクしてくる」と述べ、ウォルフを怒らせるのが自身の楽しみだと自認するホーナーはメキシコGPの金曜会見の中で、自身がパントマイムの主役であるならば、ウォルフはそんな無言劇の悪役だとやり返した。
「トトが色々言いたがる人間だと言う事は誰もがみな知っている事だ」
「”主人公”と呼ばれるのは実に光栄だね。辞書でその意味を調べれば文字通りそういうことなんだから」
「ただ、私が主人公であるためには悪役も必要だと思うわけだ。その役割を実に見事に果たしているのはトトだと言えるかもしれないね」
「まあ、パントマイムだと言うなら彼には喜劇の中での中年女性の役がお似合いだろう」
ウォルフの発言はプレッシャーの現れ
ホーナーは一通りの冗談を飛ばした後、「結局のところ、何より重要なのはコース上での出来事だ」と述べ、コース上での戦いとは無関係のウォルフの発言を「ノイズ」として退けた。
「我々にとっては全てがノイズだ。結局のところコース上で成し遂げる事に価値があるのであって、仮にコース上で話ができるなら、その方が遥かに重要で価値がある」
「トトは至る所で発言したがるが、それは彼が苦痛極まりない境遇に置かれているからで、このスポーツの一つの側面だ。彼の肩には多くがのしかかっている」
「F1というものは競争であって、プレッシャーが高まるにつれて人は様々な反応を示すようになる」
「我々は今、チャンピオンシップの決定的場面にいるわけで、そういった緊張感を感じ得る状況だ。この状況が続けば今後は更に高まっていくだろう」
「だからもしトトが何かコメントしたいなら、私としてはそれで構わない」
ホーナーはまた「トトとは何の問題もない」「もちろん尊敬の念はある」としながらも「彼は素晴らしい仕事をしていると思う。受け継いだチームでね」と小突いた。
現ワークスメルセデスは、2009年のF1タイトルを獲得したブラウンGPに礎を置くもので、ウォルフが2013年にチームのマネージング・ディレクター兼CEOに就任した時には既に、V6ハイブリッド時代で圧倒的優位性を築くための土壌が整っていた。
ホーナーは以前にもこの点を指摘している。
「彼が(2013年に)チームに加わった時、ドライバーは既に決まっており、エンジンも既に用意されていた状況にあった。彼はチームを勝利に導くために素晴らしい仕事をしてきたが、実際のところ、それは競争相手不在の中でのものだった」
「本当の意味での争い、競争を経験したのは今回が初めてだ」
選手権2位で満足する者は去れ
レッドブルは2014年に始まったV6ハイブリッド時代において苦渋をなめ続けてきた。目指すべきはタイトル一択だと考えるホーナーは、チャンピオンシップ2位で喜ぶ者を認めない。
「メルセデスは素晴らしい成果を上げてきた驚異的なチームだし、両チームの間には当然、尊敬の念がある。だがこれは競争だ」
「ただ黙って受け入れる事はできない。もし無抵抗にすべてのレースでメルセデスの勝利を受け入れれば、F1はさぞウンザリしたももになってしまうだろう」
「なぜ我々はここにいるのか? レースをするためであり、チャンピオンシップを制するためだ」
「我々はメルセデスと戦うために7シーズンという長い年月を掛けてこのポジションに辿り着いた。もし、いずれかの選手権を獲得できれば、それはF1における我々にとっての最大の功績となるだろう」
「仮に2位になって喜ぶ人がいるのだとしたら、この仕事は彼に適していないという事だ」
「スポーツは勝利が全てだ。我々は貪欲なレースチームであり、このポジションにつけるために懸命に働いてきた」
「これまでのところ我々は驚異的なシーズンを過ごしてきた。9回のレースで優勝し、17回ほど表彰台に上がったのではないかと思う」
「何より重要なことは競争を楽しむ事だ。だから、もしトトが少しばかり苛立ったとしても、それはそれで我々にとっては問題ない事なのだ」