開幕4日目を迎えた2021年第105回インディ500。予選前最後の練習走行日、通称”ファストフライデー”のセッションが5月21日(金)に行われた。至る所でトラフィックが発生し、ドライバーの間では様々に不満が飛び交ったものの、大きなアクシデントもなく1日を終えた。

これまでの週末ではシボレーエンジン勢が印象的なスピードを刻んできたが、ターボチャージャーのブーストレベルが引き上げられ、80～90馬力が追加されたこの日はホンダ勢が躍進。本領発揮と言わんばかりに、トップ10に9台を並べた。

正午から6時間に渡って行われたプラクティス5でトップに立ったのは、スコット・ディクソン（チップ・ガナッシ）。233.302mphと、唯一時速375km台に乗せてコルトン・ハータ（アンドレッティ）を2番手に抑えた。

3番手は3日目に最速を刻んだトニー・カナーン、4番手にはアレックス・パロウが続き、チップ・ガナッシ勢が仕上がりの良さを感じさせた。

前日に撮影目的で3列横隊になって低速走行していた事で、セッション開始30分間の走行禁止処分を受けたレイホール・レターマン・ラニガン・レーシング勢は、佐藤琢磨が8番手と上位に付け、グレアム・レイホールが11番手、事故から復帰したサンティノ・フェルッチが14番手と好調を維持した。

予選と同じブースト圧が使用される最初のセッションである事から、”ファストフライデー”は誰がポールポジション争いで優位に立っているのかを、おぼろげながらも初めて占う事ができる日だ。チームはこの日、ダウンフォースレベルやギア比等、予選用のセットアップ作業に取り組んだ。

先に記したスピードチャートの並びは全てトウ（スリップストリーム）による影響を受けてトップスピードが引き上げられたものだ。1台のみの単独走行で速度を競う予選を予想するには、トウなしのチャートを参照する必要がある。

”ノー・トウ”での最速は、昨年のインディ500予選で支配的な強さを誇ったアンドレッティの1台、アレクサンダー・ロッシで231.597mphを記録した。

RLLレーシング勢もファスト9進出への期待が高まる結果で、レイホールが2番手、佐藤琢磨が5番手、フェルッチが9番手と、全車がトップ9に並んだ。

なお予選と同じ4周平均速度のランキングではマーカス・エリクソン（アンドレッティ）が231.950mphと印象的なアベレージを稼いでトップに立った。佐藤琢磨は6番手と、いずれのチャートでもトップ8に付けた。

1日を終えた佐藤琢磨は、予選に向けて実りある本当に良い1日になったとして「かなり満足している」と手応えを感じさせた。

ポール争いはアンドレッティ、チップ・ガナッシ、RLLによる三つ巴の戦いとなりそうな雰囲気だが、ロッシは「常にサプライズがあるものさ」と述べ、誰がポールポジションを獲得するかは「誰にも分からない」と付け加えた。

優勝に向けてはファスト9必須か

22日(土)は、インディアナポリス現地午前9時30分から10時30分まで1時間のプラクティスセッションが行われた後、12時から18時に予選が行われる。日本でのテレビ放送については「2021年 インディ500開催日程とテレビ放送」を参照されたい。

インディ500ファストフライデー：ノートウチャート

インディ500 4日目順位結果（トウあり）