インディ500《3日目》結果:大事故寸前…”かつてない愚かな行為”とハータ、佐藤琢磨含むレイホール勢3台に罰則
2021年第105回インディ500プラクティス3日目のセッションが5月20日(木)に行われ、トニー・カナーン(チップ・ガナッシ)が225.341mphのベストラップを記録。35台の先頭に立った。
路面温度と気温は2日目よりも上昇し、この日のプラクティス4は週末を通して最も暑いコンディションの中で行われた。
スピードチャートの2番手に付けたのは好調続けるコーナー・デイリー(エド・カーペンター)で、3番手にはサンティノ・フェルッチ(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)が並ぶ結果となった。ただフェルッチは本大会始まって以来、最も大きなアクシデントに巻き込まれた。
現地16時14分、フェルッチ駆る45号車Hy-Vee Hondaは、ターン2で左に1/4スピンを喫し、リアがセーファーバリアに激しく激突。バックストレートで停止した。
車体後部は大きなダメージを受け、フェルッチは左足の診断のためにインディアナポリスのIUヘルス・メソジスト病院に搬送されたが幸いにも深刻な怪我はなく、4日目のセッションで復帰する見通しとなっている。
REPLAY: @SantinoFerrucci has been checked and will be sent to Methodist Hospital for further evaluation following this incident at @IMS.#INDYCAR // #INDY500 pic.twitter.com/CpQa1zf0Vf
— NTT INDYCAR SERIES (@IndyCar) May 20, 2021
フェルッチのクラッシュも加わり、RLLレーシングにとっては失意の1日となった。
1ラップ目。RLLレーシングの3台、すなわち佐藤琢磨、グレアム・レイホール、フェルッチが撮影のためにフィニッシュライン付近を3列横隊で低速走行していたため、後方にいたシモーナ・デ・シルベストロとスコット・マクラフリンが減速。これにコルトン・ハータが高速で突っ込む危険な場面が発生した。
ハータは衝突を回避すべく外側に動き、アウトサイド・ウォールとマクラフリンとの僅かな隙間を縫う形で辛うじて大事故を免れたが、軽い接触があった事でイエローフラッグが振られる事態となった。フェルッチが事故で左足に軽症を負ったのは、この事件の約4時間後の事だった。
REPLAY: Early contact during @FoldsofHonor @RedGoldTomatoes #Indy500 practice today between @ColtonHerta and @smclaughlin93.
Join us at the #IMS by getting your tickets at the GATES or on https://t.co/3iCXxQIM3Z#ThisIsMay | @GainbridgeLife pic.twitter.com/jJ3YeGcyRx
— Indianapolis Motor Speedway (@IMS) May 20, 2021
九死に一生を得たハータは、マクラフリンからの謝罪を受け事故のリプレイを見た後、インディカー・ラジオに対して次のように語った。
「皆が220マイル(354km/h)で走行している中、連中はフロントストレートを時速100マイル(160km/h)で走っていたんだ。レイホールの責任者が誰であれ、そいつは救いようのない馬鹿だよ。今まで見た中で最も愚かな行為のために、全員の命が危険に晒されたんだ」
「幸運にも大事に至る事はなかった。クルマは大丈夫だと思う。軽く壁にぶつかっただけで、スコットを巻き込む事もなかった。この後クルマに問題ないことを確認してみるよ。スコットとシモーナに怒っているわけじゃない。すべてを台無しにしたのはレイホールの連中だ。クレイジーだよ」
インディカーはRLLレーシングの3台に対し、ルールブック第9条3項1の規定に従い不適切な行為があったとして、金曜プラクティスの最初の30分間への参加を禁じる措置を発表した。
ただ、RLLレーシングの共同オーナーであるボビー・レイホールはAP通信に対し、火曜日のセッション冒頭で同じように撮影を行っていたインディカーのオーナー、ロジャー・ペンスキーが所有するチーム・ペンスキーの4台には何も罰則が科されなかったとして「失望した」と述べ、ペナルティへの不服を訴えた。
アドレナリンの噴出も落ち着き、プレスカンファレンスに臨んだハータはペナルティの内容について「適切」と評価し、「あれを行うのに適切な場所や時間ではなかったのだと思う。ここから学んでいければ良いね」と付け加えた。
なおグレアム・レイホールは26番手と後方に沈んだが、佐藤琢磨は9番手とフェルッチと並びトップ10に名を連ね、RLLはパフォーマンス的には上々の1日を過ごした。
各チームは予選が行われる土曜と日曜に向けて、金曜の正午から18時まで行われる”ファストフライデー”で予選用のセットアップ作業に集中する事になる。明日以降はエンジンのターボチャージャーのブーストレベルが引き上げられ、80~90馬力が追加される。
2021年インディ500 3日目順位結果
Pos. | Driver | Time | Gap | Laps |
---|---|---|---|---|
1 | トニー・カナーン Chip Ganassi |
00:39.9395 225.341 mph / 362.651 km/h |
–.—- | 80 |
2 | コナー・デイリー Ed Carpenter |
00:39.9565 225.245 mph / 362.497 km/h |
0.0170 0.096 mph / 0.154 km/h |
90 |
3 | サンティノ・フェルッチ RLL Racing |
00:40.0139 224.922 mph / 361.977 km/h |
0.0744 0.419 mph / 0.674 km/h |
50 |
4 | ジョセフ・ニューガーデン Team Penske |
00:40.0204 224.885 mph / 361.917 km/h |
0.0809 0.456 mph / 0.734 km/h |
121 |
5 | スコット・ディクソン Chip Ganassi |
00:40.0595 224.666 mph / 361.565 km/h |
0.1200 0.675 mph / 1.086 km/h |
65 |
6 | リーナス・ヴィーケイ Ed Carpenter |
00:40.1054 224.409 mph / 361.151 km/h |
0.1659 0.932 mph / 1.500 km/h |
96 |
7 | エリオ・カストロネベス Meyer Shank |
00:40.1082 224.393 mph / 361.126 km/h |
0.1687 0.948 mph / 1.525 km/h |
114 |
8 | マーカス・エリクソン Chip Ganassi |
00:40.1296 224.273 mph / 360.932 km/h |
0.1901 1.068 mph / 1.719 km/h |
89 |
9 | 佐藤琢磨 RLL Racing |
00:40.1370 224.232 mph / 360.866 km/h |
0.1975 1.109 mph / 1.785 km/h |
93 |
10 | コルトン・ハータ Andretti |
00:40.1887 223.944 mph / 360.403 km/h |
0.2492 1.397 mph / 2.248 km/h |
104 |
11 | アレックス・パロウ Chip Ganassi |
00:40.2362 223.679 mph / 359.976 km/h |
0.2967 1.662 mph / 2.675 km/h |
125 |
12 | ライアン・ハンター=レイ Andretti |
00:40.2599 223.548 mph / 359.766 km/h |
0.3204 1.793 mph / 2.885 km/h |
81 |
13 | スコット・マクラフラン Team Penske |
00:40.2701 223.491 mph / 359.674 km/h |
0.3306 1.850 mph / 2.977 km/h |
60 |
14 | パトリシオ・オワード McLaren SP |
00:40.2986 223.333 mph / 359.42 km/h |
0.3591 2.008 mph / 3.231 km/h |
64 |
15 | ウィル・パワー Team Penske |
00:40.3172 223.23 mph / 359.254 km/h |
0.3777 2.111 mph / 3.397 km/h |
82 |
16 | フェリックス・ローゼンクビスト McLaren SP |
00:40.3228 223.199 mph / 359.204 km/h |
0.3833 2.142 mph / 3.447 km/h |
85 |
17 | ジャック・ハーベイ Meyer Shank |
00:40.3378 223.116 mph / 359.07 km/h |
0.3983 2.225 mph / 3.581 km/h |
91 |
18 | マルコ・アンドレッティ Andretti |
00:40.4270 222.623 mph / 358.277 km/h |
0.4875 2.718 mph / 4.374 km/h |
123 |
19 | エド・ジョーンズ Dale Coyne |
00:40.4306 222.604 mph / 358.246 km/h |
0.4911 2.737 mph / 4.405 km/h |
63 |
20 | エド・カーペンター Ed Carpenter |
00:40.4601 222.441 mph / 357.984 km/h |
0.5206 2.900 mph / 4.667 km/h |
96 |
21 | アレキサンダー・ロッシ Andretti |
00:40.4655 222.412 mph / 357.937 km/h |
0.5260 2.929 mph / 4.714 km/h |
94 |
22 | ファン・パブロ・モントーヤ McLaren SP |
00:40.4705 222.384 mph / 357.892 km/h |
0.5310 2.957 mph / 4.759 km/h |
73 |
23 | シモン・パジェノー Team Penske |
00:40.4741 222.364 mph / 357.86 km/h |
0.5346 2.977 mph / 4.791 km/h |
42 |
24 | ダルトン・ケレット A.J. Foyt |
00:40.5540 221.926 mph / 357.155 km/h |
0.6145 3.415 mph / 5.496 km/h |
71 |
25 | ステファン・ウィルソン Andretti |
00:40.5763 221.804 mph / 356.959 km/h |
0.6368 3.537 mph / 5.692 km/h |
102 |
26 | グレアム・レイホール RLL Racing |
00:40.5866 221.748 mph / 356.869 km/h |
0.6471 3.593 mph / 5.782 km/h |
70 |
27 | ピエトロ・フィッティパルディ Dale Coyne |
00:40.6134 221.602 mph / 356.634 km/h |
0.6739 3.739 mph / 6.017 km/h |
71 |
28 | セージ・カラム Dreyer & Reinbold |
00:40.6483 221.411 mph / 356.326 km/h |
0.7088 3.930 mph / 6.325 km/h |
86 |
29 | チャーリー・キンボール A.J. Foyt |
00:40.6778 221.251 mph / 356.069 km/h |
0.7383 4.090 mph / 6.582 km/h |
57 |
30 | JR.ヒルデブランド A.J. Foyt |
00:40.6922 221.173 mph / 355.943 km/h |
0.7527 4.168 mph / 6.708 km/h |
62 |
31 | シモーナ・デ・シルベストロ Paretta Autosport |
00:40.7404 220.911 mph / 355.522 km/h |
0.8009 4.430 mph / 7.129 km/h |
81 |
32 | ジェームズ・ヒンチクリフ Andretti |
00:40.7569 220.822 mph / 355.379 km/h |
0.8174 4.519 mph / 7.272 km/h |
97 |
33 | マックス・チルトン Carlin |
00:40.8183 220.489 mph / 354.843 km/h |
0.8788 4.852 mph / 7.808 km/h |
61 |
34 | セバスチャン・ブルデー A.J. Foyt |
00:40.9321 219.876 mph / 353.856 km/h |
0.9926 5.465 mph / 8.795 km/h |
81 |
35 | RC・エネルソン Top Gun Racing |
00:41.3899 217.444 mph / 349.942 km/h |
1.4504 7.897 mph / 12.709 km/h |
50 |