レッドブル・ホンダ、悔しさに勝る王座獲得への確かな感触「我々は確かに争いの真っ只中にいる」
3月28日(日)のF1開幕戦バーレーンGP決勝レースに挑んだレッドブル・ホンダは、優勝に最も近い場所にあるポールポジションからスタートしながらも、先手必勝の戦略を以て総力戦に持ち込んできたメルセデスを相手に後退を強いられ、2位表彰台に甘んじた。
ディフェンディング王者は開幕前の段階からマシンに課題を抱え、オープニングレースの週末になってもそれを解消し切れず、3回全てのフリー走行で遅れを取り、1ラップの純粋なペースでもレッドブル・ホンダに及ばなかった。だが週末を終えてみれば、ライバルの1.5倍近いポイント共にバーレーンを後にした。
優勝を掻っさらったルイス・ハミルトンと2位マックス・フェルスタッペンとの差は僅かコンマ7秒。悔しさを感じないわけがない。だが、チーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーは、悔しさよりも、シーズンを通して戦い抜いて行けるという確固たる何かを強く感じ取ったようだ。
クリスチャン・ホーナーは57周に及ぶ長き戦いを振り返り、チーム全員が勝利への情熱を持つ”レーサー”であるだけに「これほどの僅差で敗れるのは明らかに辛い」としながらも「週末全体で力強いパフォーマンスを発揮し続け、最後までメルセデスを追い詰めた」事は前向きな材料だと指摘した。
レッドブル・ホンダがフェルスタッペン単身での戦いを強いられた一方、メルセデスは2-3番グリッドを固め、手駒の数で勝っていた。
2台のマシンでアンダーカットを仕掛けてきたためレッドブル陣営はこれに対処せざるを得ず、序盤にラップリーダーの座をハミルトンに譲らざるを得なかった。フェルスタッペンはトラックポジションを失った事が最大の敗因との考えを示している。
万全な状態でのレースでもなかった。
フェルスタッペンはスタートの段階からクルマへの違和感を訴えていた。曰く「リア側の片方のホイールスリップが酷かった」との事で、問題に対処しながらの走行を強いられたため、思う存分ドライブ出来る状態ではなかったようだ。
クリスチャン・ホーナーは「マックスは序盤から問題を抱えていて、それをケアしながら走行しなければならない状況にあった」と説明する。
「それがレースにどれ位の影響を及ぼしたのかは分からないが、彼はいつものように精一杯戦ってくれた」
「あれ以上は望みようがない」
逆に言えば、同じ数の手駒を持ちクルマに問題がなければ、後はドライバーの技量とマシンのポテンシャルが大きくモノを言うわけで、全く異なる結果になっていた可能性があるという事だ。戦略面での両者の力量に大きな差はない。
この日、もう一台を駆った新加入のセルジオ・ペレスは、フォーメーションラップ中にシャットダウンに見舞われコース上で停車。本人は半ばレースを諦めていたものの、クルマが「奇跡的」に再始動したことでピットレーンスタートの権利を手にし、怒涛の追い上げを見せて殊勲5位入賞を飾った。
クリスチャン・ホーナーは、ペレスのカムバックは「脱帽だった」と述べ、「フォーメーションラップ中にトラブルが起きてしまっても冷静に対処して、着実にポイントを獲得してみせた」と称賛し、次のように続けた。
「今週末の我々がこれほどの高い競争力を発揮できた事は、チャンピオンシップ争いに向けての良いシグナルと言える。2位に悔しさを感じるのは悪いことではない。それはチーム内の決意の強さを示しているのだから」
「我々確かにタイトル争いの真っ只中にいる。そして挑戦の準備は間違いなく整っている」
タイトル争いが最終戦にもつれ込むような白熱のシーズンになると考えているのはクリスチャン・ホーナーだけではない。
メルセデスのトト・ウォルフ代表もまた、スロースターターであるレッドブル・ホンダが開幕戦で、それも伝統的に得意でもないコースで速さを発揮した事で、今シーズンのチャンピオンシップ戦は極めて厳しいものになるとの認識を示している。