アルファタウリのボス、角田裕毅を大絶賛「デビュー入賞を飾った初の日本人ドライバーという結果を共にできて最高だ!」
アルファタウリ・ホンダのフランツ・トスト代表は、3月28日(日)に行われたF1開幕戦バーレーンGP決勝を終えて、オーバーテイクの質と回数、各コンパウンドでのペース、そしてベテランとの見事なバトルに言及し、規格外のルーキー、角田裕毅を大絶賛した。
「慎重になり過ぎた」事で、角田裕毅は序盤にズルズルとポジションを失ったものの、その後は怒涛の巻き返しを見せ、セバスチャン・ベッテルやフェルナンド・アロンソ、キミ・ライコネンといった歴代ワールドチャンピオンを次々に交わし、ファイナルラップでランス・ストロールを抜き去り見事9位フィニッシュを飾った。
デビュー戦でポイントを獲得したドライバーとしてはF1歴代65人目。これまでにF1でポイントを獲得した日本人ドライバーは中野信治、片山右京、鈴木亜久里、中嶋一貴、中嶋悟手、佐藤琢磨、小林可夢偉の7名のみだが、初戦でこれを達成したのは角田裕毅が初めて。まさに快挙だった。
フランツ・トスト代表は57周の激戦を振り返り「F1での初のレースに臨んだユーキは本当に見事な仕事をしてくれた」と語った。
「彼にはマシンを無傷な状態で1周目を終える事を目指すよう伝えておいたのだが、その通りにやってのけた」
「何度も卓越したオーバーテイクを見せてくれたし、追い抜きの回数で言えばトップだったのではないかと思う」
「ラップタイムに関しても、ミディアム、ハードの両方で競争力のあるペースを発揮していた。9位に値するパフォーマンスだったし、キミ(ライコネン)やランス(ストロール)らと戦っている姿は本当に素晴らしかった。彼との今後のシーズンを楽しみにしている」
「彼はF1のデビュー戦でポイントを獲得した初の日本人ドライバーとなった。こうした結果を共にできて最高だ」
アルファタウリ・ホンダAT02はバーレーン・インターナショナル・サーキットでミッドフィールド最速クラスの速さを見せ、レース前日に行われた予選ではピエール・ガスリーが5番手タイムを獲得。大量ポイントへの期待が高まったが、チームのエースは序盤にダニエル・リカルド(マクラーレン)と接触し、戦線離脱を強いられた。
「スタートそのものは順調だった」とフランツ・トストは振り返る。
「ピエールは1周目に5番手をキープし、ユーキもまずまずのスタートを切った。だがその後、数台に追い抜かれてしまい、オコンを前にしてかなりハードなブレーキングをしたため、右フロントタイヤにフラットスポットができてしまいバイブレーションが出始めていた」
「ピエールはセーフティーカー明けのターン5で接触してしまいフロントウイングにダメージを負ったため、ピットインさせ交換する事にした。ここでタイムをロスする事となった」
「セーフティーカーが導入された事で(タイヤの熱が下がってしまい)ミディアムのグリップ力がかなり低下していた。ソフトコンパウンドであれば事故を防げたかもしれない」
「フロアにもダメージがあったためパフォーマンスが大幅に低下してしまい、その後のレースで妥協を強いられる事となった」
「とは言え最終スティントでは素晴らしいラップタイムを記録してくれた。あれはコース上でも最速の部類のタイムだった」
「しかしながら残念なことに、レース終盤にギアボックスに懸念材料が確認されたためリタイヤせざるを得なかった。これについては更に調査する必要がある」
「結局ポイントを獲得することはできなかったが、昨日の予選では素晴らしい仕事をしていたし、今日のレースでも素晴らしいペースを発揮していただけに、単に運が悪かったと言う他ない」
ポテンシャルを反映するようなリザルトは得られなかったが、フランツ・トスト代表はAT02の競争力に自信を得たようで、今後のレースへの期待感を示した。
「我々のパフォーマンスにとって欠かす事のできない競争力あるパワーユニットを提供してくれたホンダの皆さんに感謝したい。彼らはこの冬の間、本当に懸命に仕事に取り組んでいた」
「今週末はもっと良い結果を期待していたが、残念ながら今日は思い通りにはいかなかった。だが強力なパッケージを手に入れた事が分かり、次のイモラが楽しみになったよ」