ジェッダ市街地コース
サーキット名 | Jeddah Corniche Circuit |
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所在国 | サウジアラビア |
住所 | サウジアラビア、ジェッダ |
設立年 | 2021年 |
設計 | ヘルマン・ティルケ |
全長 / コーナー数 | 6,175m / 27 |
周回数 | 50 |
ピット長 / 損失時間 | 391m / 15秒 |
ターン1までの距離*1 | 305m |
平均速度 | 220km/h |
最高速度 | 337km/h |
エンジン負荷と全開率*2 | 73% |
ブレーキ負荷 | |
タイヤ負荷レベル | |
ダウンフォースレベル | |
グリップレベル | |
変速回数 | 42回/周 |
SC導入率 | 100% |
WEBサイト | www.saudiarabiangp.com |
SNS | twitter facebook instagram |
*1 ポールポジションから最初の制動地点までの距離 *2 全開率は距離ではなくタイムベースで算出
ジェッダ市街地コース(英:Jeddah Corniche Circuit)は、サウジアラビアの首都リヤドに次ぐ第二の都市ジェッダのウォーターフロントエリア、コーニッシュに位置するストリートサーキットで、2021年12月3~5日に同国初となるF1サウジアラビアGPが開催された。
歴史
サウジアラビア政府当局は当初、リヤド南西のキッディヤ(Qiddiya)に常設サーキットの建設を計画していたが、2021年のグランプリ初開催に間に合わないため、ジェッダ中心部から北へ約12kmの紅海沿いのコーニッシュエリアにストリートサーキットを仮設した。
着工からイベント開催までは僅か8ヶ月しかなく、既存の道路を使用せずにゼロベースで作られた事もあり工事完了が危ぶまれていたが無事に開催へとこぎ着けた。また、ストリートサーキットでありながら専用のパドックエリアが設けられた。
当初は一時的な舞台としてカレンダー入りしたものの、キディヤのパーマネント・サーキットの完成が遅れているために、少なくとも2027年まではジェッダでグランプリが開催される見通しとなっている。
設計を手掛けたのは、35年間に渡って数々のレーストラックの設計・改修を手掛けてきた事で知られるヘルマン・ティルケ事務所。コースデザインの最重要課題はオーバーテイクに設定された。
サウジアラビアのモータースポーツ連盟会長を務めるハリド・ビン・スルタン・アル・ファイサル王子はティルケ起用の理由を次のように説明した。
「時間が限られていたため迅速に作業を進めなければならず、ティルケに直接依頼するのが最善の選択肢だと判断した。我々はストリートと常設の両方のトラック設計の実績を持つ人物を望んでいた」
コースレイアウト
当初、全長は5.154kmの計画であったが後に6.175kmへと変更され、第1回大会を経てランオフエリアを増やし安全性を向上させるための変更が行われた事で6.174kmに、そして第3回大会を前にターン22/23に変更が加えられた事で再び6.175kmとなった。
F1カレンダーの中で言えば7.004kmのスパ・フランコルシャンに次いで2番目に長い。コーナー数は全27個(左:16 / 右:11)で、オーバーテイクの促進のために3箇所にDRS区間が設けられる。
DRS検知地点 | DRS稼働地点 | |
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DRS1 | ターン17の出口 | ターン19の出口 |
DRS2 | ターン22の入口 | ターン25の入口 |
DRS3 | ターン27の出口 | ターン27の170m先 |
まずはターン1に向けた短いストレートを経て、左右と続くシケインが現れる。続いて幾多もの超高速コーナーを経てマシンは12度のバンク角を持つロング・ヘアピンのターン13を回り込む。
半分を折り返すと、再び流れるような高速コーナーが続く。そして最終ターン27を経て、スタート・フィニッシュラインに戻ってくる。オーバーテイク・ポイントはDRSゾーンが設けられるホームストレート終端のターン1と、ヘアピンのターン13の2箇所だ。
最も低速のコーナーは時速80km程度のターン2で、逆に最も速いのはターン20、21、26で時速300kmを記録する。
全長が長いという事はそれだけ安全対策に費用が掛かるという事を意味する。デブリが観客席に届かないよう13kmに渡ってキャッチフェンスが立てられ、合わせて3,300枚のコンクリートウォールと3,000枚のTecProバリアが設置された。
特徴
最多27コーナーも”史上最速のF1市街地コース”
アゼルバイジャンGPの舞台、バクー市街地サーキットを参考として設計されたこのコースは平均速度250km/hを上回る。これは264.4km/hを誇るモンツァに次ぐスピードだ。F1と現地プロモーターは「F1史上最速の市街地コース」を標榜する。
公式ゲーム「F1 2021」に収録されたジェッダ市街地コースを走行するそのオンボード映像からは、如何にこのサーキットが高速であるかがよく分かる。
「無意味に危険」との批判
過去3回のサウジアラビアGPでは、4回のセーフティカー導入と2回の赤旗中断があった。
コーナー数は全27個とカレンダー最多だが、一般的な公道コースとは異なり、僅かに曲がっただけの高速ブラインドコーナーが多い。強力なダウンフォースを持つF1マシンにとって、その多くはエンジン全開であり、第1回大会ではストレートにすれば良いものをわざわざコーナーにしているとして、ドライバーから「無意味に危険」との批判が飛んだ。
実際、2021年の第1回大会では2度の赤旗と4度のバーチャル・セーフティーカー(VSC)が導入され、計5台がクラッシュによってリタイヤを余儀なくされた。
コーナーの多くが240~315km/h程度の高速であるため大事故に繋がるリスクは高く、アクシデントの処理にも多くの時間を要する。
そこで2022年の第2回大会に向けてコースに変更が加えられたが、セーフティーバリアの僅かな位置調整など、どれも限定的な措置に留まった。
サウジ・モータースポーツ・カンパニーのマーティン・ウィテカーCEOは批判の声が上がったレイアウトについて、ドライバーからの反応は概ね好意的だと主張しつつも、2022年の第2回大会に向けて調整を行う計画を明らかにした。
高いエンジン全開率、鍵になるエネルギーマネジメント
コース全長が長くロングストレートが多いため、1周を通してどのように、どのポイントで回生エネルギーを使うかという点でエネルギーマネジメントが難しく、エネルギーマネジメントや、MGU-Hを含むハイブリッドシステムの性能が問われる事になる。
時速310kmオーバーのロングストレートが3箇所ある事から、スパ・フランコルシャンやモンツァ・サーキットを凌ぐエンジン全開率を誇る。1周の約82%区間はフルスロットルで、タップタイム辺りだと1周の70%以上がエンジン全開となる。これはカレンダーの中で3番目に高い。
ハイグリップ・低デグラの新舗装
敷設されたばかりの路面は非常に滑らかで、高いグリップ力を提供する。タイヤのオーバーヒートも少なく、摩耗やデグラデーションは小さい。
オーバーテイクとリタイヤ統計
年 | オーバーテイク | リタイヤ | ||
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通常 | DRS | 接触 | 機械的問題 | |
2023年 | 11回 | 19回 | 0台 | 2台 |
2022年 | 5回 | 28回 | 3台 | 4台 |
2021年 | 3回 | 15回 | 5台 | 0台 |
コースレコード
タイム | ドライバー | チーム | 年 | |
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ラップレコード | 1:30.734 | ルイス・ハミルトン | メルセデス | 2021年 |
コースレコード | 1:27.511 | ルイス・ハミルトン | メルセデス | 2021年 |
F1サウジアラビアGP歴代ウィナーとポールシッター
開催年 | ドライバー | チーム | タイム | |
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2024 | 優勝 | ー | ー | ー |
ポール | ー | ー | ー | |
2023 | 優勝 | セルジオ・ペレス | レッドブル・ホンダRBPT | 1:21:14.894 |
ポール | セルジオ・ペレス | レッドブル・ホンダRBPT | 1:28.265 | |
2022 | 優勝 | マックス・フェルスタッペン | レッドブル・ホンダRBPT | 1:24:19.293 |
ポール | セルジオ・ペレス | レッドブル・ホンダRBPT | 1:28.200 | |
2021 | 優勝 | ルイス・ハミルトン | メルセデス | 2:06:15.118 |
ポール | ルイス・ハミルトン | メルセデス | 1:27.511 |