角田裕毅、来季シートに向け前進…イモラでF1テスト「気負わず楽しみたい」バーレーンかアブダビでFP1デビューの可能性
アルファタウリ・ホンダは、レッドブルと本田技研双方の支援を受けて今季FIA-F2選手権を戦う角田裕毅にF1マシンをテストさせる。チームはF1第13戦エミリア・ロマーニャGP後にイモラに2018年型「STR13」を持ち込み、来季F1デビューを目指す角田裕毅に経験を積ませる。
アルファタウリは角田裕毅のテスト実施の理由を「今季起こり得るかもしれないF1グランプリデビューのため」と説明した。FIAスーパーライセンスを持たない角田裕毅が、今シーズン中のグランプリデビューを果たすためには「フリー走行限定ライセンス」の取得要件を満たす必要がある。
国際自動車連盟(FIA)は将来が有望視される若手をサポートする目的で、F1のフリー走行のみの参加を許可する「フリー走行限定ライセンス」を新設した。ライセンスを取得するためには、申請日の180日以内に現行F1マシン相当のクルマに乗り、レーシング速度において少なくとも300kmの走行を完了する事が必要となる。イモラテストの第一の目的はここにある。
フリー走行限定ライセンスの取得に際しては、参加を予定しているF1での走行日の少なくとも14日前にFIAに申請書を提出しなければならない。イモラでのテストは11月4日に行われるため、11月13日~15日にイスタンブール・パーク・サーキットで開催される第14戦トルコGPでのデビューの可能性は消える。
先に申請だけしておき、後で走行実績を得るパターンが可能なのであればトルコでの週末デビューもあり得るが、久しぶりのカレンダー復帰という事もあり、チーム側としてはレギュラードライバーを優先したいところだろう。
バーレーンでのダブルヘッダーはFIA-F2選手権と日程が被っている。そのため最も可能性が高いのは最終アブダビGPだが、来季ドライバー人事の判断材料とする目的で行うのであれば、新たに登場したアウタートラックではなく”バーレーンGP”として旧来のレイアウトで行われる第15戦での出走が考えられる。
シート合わせは10月13日にファエンツァのファクトリーで行われた。小林可夢偉以来となる日本人F1ドライバー誕生の期待を背負う20歳のサムライは、チーム代表のフランツ・トストを始めとするチームメンバーとのミーティングに臨み、エンジニアと打ち合わせを行った。
角田裕毅はイモラでの目標について「300kmを走り切る事を第一に考えています。走行距離を稼げば稼ぐほどクルマへの理解を深める事ができますので、クラッシュやコースオフをする事なく気楽に行こうと思っています」と語った。
「自信はありますし、普段通りに走るつもりです。F1マシンでの初日を楽しみながら、自分の仕事に集中して取り組むつもりです。とは言え、コックピットの中でピット出口のライトがグリーンに変わる瞬間を待つのは、凄くドキドキすると思います」
F3を経て今年F2へのステップアップを果たした角田裕毅は、10ラウンド20レースを終えて優勝2回で147ポイントを獲得。ムジェロでの2レースは不運もありノーポイントに終わったが、残り2ラウンドに向けてドライバーズランキング3位につけており、F1参戦に必要となるFIAスーパーライセンスの取得条件を満たそうとしているが、あくまでも目指すはチャンピオンだという。
「4位は最低目標です。僕はレーシングドライバーですので、勝って1位になりたいと思っています」と角田裕毅は語る。
「今回のF1テストは僕に更なるモチベーションと自信を与えてくれると思っています」