F1ロシアGP:FIA、ハミルトンへのペナルティポイントを撤回…代わりにメルセデスに307万円の罰金
F1ロシアGPのレーススチュワードはレース終了から3時間を経て、メルセデスAMGのルイス・ハミルトンに科した計2点のペナルティポイントを撤回し、代わりにチームに2万5000ユーロ(約307万円)の罰金を科すと発表した。
スチュワードはレースが行われている最中の現地14時53分に、ハミルトンが決勝前のレコノサンスラップ中に指定エリア外で2度に渡って不正にスタート練習を行ったとして、各違反毎に5秒のタイムペナルティと1点のペナルティポイントを科す裁定を下した。
しかしながらスチュワードは、レース終了後の現地18時57分にペナルティポイントに関する罰則を撤回し、代わりに競技者であるメルセデスAMGペトロナスF1チームに罰金を科すと改めてアナウンスした。
異例とも言える裁定撤回の理由は何だったのだろうか?スチュワードは声明の中で「44号車のドライバーが誤った場所でスタート練習を行ったのはチームからの指示との情報を得て、チームとドライバーの無線音声を調査しその事実を確認した」と述べた。
ハミルトンは当初、他のドライバー達と同じ場所でスタート練習を行う予定であったが、無線を通してチームに「ここはラバーが乗りすぎているから、もっと外に出ても良い?」「ピットウォールの端まで行って良い?」と尋ねた。
レースエンジニアのピーター・ボニントンはこれを認めた上で「他のマシンが通過出来るよう十分にスペースを残しておいて」と返した。
3位でチェッカーフラッグを受けたハミルトンはレース後、スチュワードが「僕を止めようとしている」「馬鹿げている」などとして、FIAに対する強い不信感と不満を訴えていた。
ペナルティポイントに関する裁定が撤回された結果、ハミルトンの累積ペナルティーポイントは10点から8点へと減少した。ペナルティポイントは12ヶ月間有効で、12ポイントに達すると1レースの出場停止処分が科される。
ペナルティポイント撤回前の段階でトト・ウォルフ代表は、レースディレクターからの指示と注意事項をまとめた”ディレクターズ・ノート”には、スタート練習が可能な場所について記載が曖昧で、複数の解釈の余地があったとして、スチュワードの裁定に疑問を呈していた。
スチュワードが罰則の根拠としたのは「Race Directors’ Event Notes Version 3」の第19条1項で、これには以下のように書かれていた。
「スタート練習は、ピット出口信号後の右側のエリアでのみ行うことができる。(略)ドライバーは、他車が追い越せるよう、左側に十分なスペースを残さなければならない」