
快進撃アレックス・ダン、2025年オーストリアFP1出走へ―アイルランド人として22年ぶり
マクラーレンF1チームは6月23日、若手育成プログラムに所属するアレックス・ダンを、今週末の2025年F1第11戦オーストリアGPのフリープラクティス1回目(FP1)で起用すると発表した。
19歳のアイルランド人ドライバーは、ランド・ノリスに代わって「MCL39」をドライブし、初のF1公式セッションに臨む。アイルランド出身のドライバーがF1公式セッションに登場するのは、2003年のラルフ・ファーマン以来、実に22年ぶりとなる。
デビューイヤーながらもF2で快進撃
ダンは2024年5月にマクラーレンの育成プログラムに加入。今季はロダン・モータースポーツからFIA-F2選手権に参戦し、デビューイヤーながらもバーレーンとイモラのフィーチャーレースで勝利を挙げるなど、ランキング首位に立つ活躍を見せている。また、モンツァのスプリントでも上位争いを展開し、その実力を印象づけた。
F2に加え、ダンはNEOMマクラーレン・フォーミュラEチームのリザーブ兼開発ドライバーとしても活動。これまでTPC(旧型マシンによるテスト)を通じて2023年型「MCL60」を走らせ、チームの本拠地でシミュレータートレーニングにも取り組んできた。今回のFP1出走は、そうした取り組みの成果を示す絶好の機会となる。
「本当に素晴らしいチャンス」とダン
「オーストリアのFP1に参加できるなんて、本当に素晴らしいチャンスだ。MCL39をドライブして、週末のレースに向けたセットアップ面でチームをサポートできるのを楽しみにしてる」とダンは語った。
「今回のセッションに向けて、MCL60を使ったテストやシミュレーターでの走行など、しっかりと準備を進めてきた。ザク(・ブラウン / CEO)、アンドレア(・ステラ / チーム代表)、アレッサンドロ(・アルンニ・ブラービ / CBAO)には本当に感謝してる。今回のFP1出走は大きなステップになるし、現場でチームと過ごすのも本当に楽しみにしてる」
「次世代の才能を見出す素晴らしい機会」とマクラーレン
今回のテストについてチーム代表のアンドレア・ステラは、「次世代の才能を見出す素晴らしい機会だ」と述べた。
「アレックスにFP1出走の機会を与えることができて嬉しく思う。今回の走行は、彼の成長にとって貴重な経験になるはずだ。彼とチームがより密接に取り組むことができるし、週末を通じて彼から得られるフィードバックはマシンのセットアップにも役立つだろう」
「若手ドライバーに現行マシンでの走行機会を提供する“ルーキーセッション”は、次世代の才能を見出す素晴らしい機会だ。我々も彼の走行を楽しみにしている」
今季のF2では好成績が光る一方で、モナコでは11台が絡むクラッシュの当事者となり、SNS上で誹謗中傷の標的となった。これを受けてSNSの使用を一時停止するなど、ダンは精神的なストレスを抱えたが、その後のバルセロナでは見事な追い上げを披露し、復活を印象づけた。
F1規則に基づくルーキー起用枠の一環
2025年のF1競技規則は、各チームに対してシーズン中に計4回、F1での出走経験が2戦以下のルーキードライバーをフリープラクティスで起用することを義務付けている。
マクラーレンはすでに、今秋のメキシコGPでパトリシオ・オワードを起用することを発表しており、今回のダンのFP1出走が2枠目となる。残る2回の起用枠については今後発表される予定だ。