2020年F1ロシアGPの表彰台に上がったレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン
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ボッタスが波乱のソチで逆転優勝!ホンダは昨年のモナコGP以来となる4台入賞 / F1ロシアGP《決勝》結果とダイジェスト

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2020シーズンFIA-F1世界選手権 第10戦ロシアGP決勝レースが9月27日に行われ、予選3番グリッドのバルテリ・ボッタスが後続を7.7秒引き離し、開幕オーストリアGP以来となる今季2勝目、通算9勝目を挙げると共に、1分37秒030のファステストラップを記録して満額の26ポイントを手にした。

2位はレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン。ソチ・オートドロームでの自身初、英国ミルトンキーンズのチームとしての初の表彰台に上がった。ホンダF1パワーユニット搭載車両としては、9戦連続の表彰台獲得となった。

ミハエル・シューマッハと並ぶ通算91勝の史上最多勝利記録への到達が期待されたルイス・ハミルトンは、ポールシッターとしてグリッドに着き53周のレースに挑んだものの、予想外のペナルティのために3位に終わった。

ハミルトンはレース前に指定エリア外でスタート練習をしたとして審議となり、スチュワードはレース7周目に5秒ペナルティ裁定を発表。違反が2回に渡った事から、計10秒のペナルティを受ける事となった。

レースエンジニアのピーター・ボニントンからレース中にその事実を知らされたハミルトンは「何?どういう事?」「そんなのルールブックの何処に書いてあるんだよ!」とフラストレーションをぶつけ、レース後のポディウムインタビューにおいても「もう終わった事だ」などとして言及を避けるなど、あからさまに不満を示した。

またレース後にはスチュワードが「僕を止めようとしている」「馬鹿げている」等として強い不信感を示すと共に不満を訴えた。なおスチュワードはレース終了から約3時間を経て、ハミルトンに対するペナルティポイントの裁定を撤回した

4台のホンダエンジン勢は、昨年のF1モナコGP以来となる全4台入賞を飾った。

アルファタウリ・ホンダAT01を駆り、母国レースに臨んだダニール・クビアトは、ハードタイヤでの第一スティントを引っ張った事で、3番手を走行していた31周目にミディアムに交換して8番手でコース復帰。このポジションをキープして見事8位入賞に輝いた。ピエール・ガスリーは9位、ギアボックス交換によって5ダウンの15番グリッドからスタートしたアレックス・アルボンは10位に滑り込んだ。

殊勲の4位はレーシングポイントのセルジオ・ペレスとなった。ソフトでの第1スティントを23周まで引っ張る見事なタイヤマネジメントを見せ、ルノー勢との戦いを制してミッドフィールド最上位の称号を手にした。

ペレスの後は、スクーデリア・フェラーリSF1000をルノー勢が挟み込む並びとなった。ダニエル・リカルドが5位でチェッカーフラッグを受け、セバスチャン・ベッテルのアシストによって大きく順位を挙げたシャルル・ルクレールが6位、エステバン・オコンが7位でフィニッシュした。

リカルドはターン2でコースオフした際、所定の手続きに従ってコースに復帰しなかったとして、スチュワードから5秒ペナルティーを科されていたが、6位フィニッシュのルクレールとのギャップが10.121秒に達していたため、順位が変動する事はなかった。

2020年F1ロシアGPスタート直前のグリッドの様子
© Red Bull Content Pool

第10戦の舞台は、2014年のソチ五輪のメイン会場エリアを利用し、公道と常設サーキットを組み合わせて作られたソチ・オートドローム。最終ターン18から最初の制動ポイントであるターン2までの全開区間は非常に長いものの、それ以外は似通った90度コーナーが続き、オーバーテイクが難しいコースとして知られる。

公式タイヤサプライヤーのピレリは今季初となる最も柔らかいレンジのC3からC5までのコンパウンドを投入。Q3進出組としては、フェルスタッペンとボッタスのみがミディアムで他はソフト。10番グリッド以降は、11番ダニール・クビアトと19番キミ・ライコネンがハード、その他は、ギアボックス交換ペナルティによってトップ10から押し出されたアルボンを除く全車がミディアムを履いてグリッドに着いた。

レースでは最低2種類のコンパウンドを使用する義務があり、今回はハードコンパウンドがメインに使われた。複数回のピットストップを行ったのは5台のみで、予想通り1ストッパーが主流となった。

決勝は日本時間27日(日)20時10分にブラックアウトを迎え、1周5,872mのコースを53周する事で争われた。現地ソチは晴れ、チャンピオンシップポイントを争う決勝のフォーメーションラップは気温29.2℃、路面41.2℃、湿度49.8%のドライコンディションで開始された。

注目のオープニングラップでは、フェルスタッペンが蹴り出してリアを若干滑らせ失速。トウを得たボッタスがターン2までに2番手に浮上した。ターン2では、マクラーレンのカルロス・サインツがコースオフ。定められた手順に従ってコースに復帰しようとしたところ、誤ってバリアに激突した。

フェルスタッペンもまた、ターン2でオーバーランするも、こちらはトラブルなく遅延なくコースへと戻り3番手をキープ。続くターン4の先ではレーシングポイントのランス・ストロールがルクレールと接触した事でクラッシュを喫し、黄旗の後にセーフティーカーが導入された。サインツとストロールの2台はここで姿を消した。

このタイミングで、ジョージ・ラッセル(ウィリアムズ)とランド・ノリス(マクラーレン)、そしてアルボンの3台がピットへと向かいハードタイヤに交換。ワンストップ狙いのアグレッシブな戦略に打って出たが、ラッセルは完走全18台の中での最下位となる18位、ノリスは15位と厳しい結果に終わった。レースは6周目にハミルトン、ボッタス、フェルスタッペン、オコン、リカルドの順でリスタートを迎えた。

上位勢の中で先陣を切ってピットストップを行ったのは、6番手を走行していたリカルドだった。16周目にハードタイヤに履き替え、14番手でコースに復帰した。

その翌周には、ラップをリードしていたハミルトンがタイムペナルティの消化と合わせてピットイン。こちらもハードタイヤに履き替えて、ベッテルの後方2.5秒の位置、11番手にまで転落したが、最終的に表彰台にまで巻き返してみせた。

ターン2に設置されたボラードがロマン・グロージャン(ハース)によって破壊されたことで、43周目にバーチャル・セーフティカー(VSC)が導入され、マーシャルによる修復作業が行われた。

このタイミングで、9番手を走行していたガスリーがピットへと向かいミディアムタイヤに交換。VSCが予定外に早く解除されたために2ポジションダウンの11番手でコースに復帰したが、コース上でノリスとアルボンの2台を抜き去り、ポジションを取り戻して9位でチェッカーを受けた。

グリッド最年長の40歳として今季グリッドに並ぶキミ・ライコネン(アルファロメオ)は、ルーベンス・バリチェロが持つキャリア通算322戦出走の記録に並んだ。今季はまだ7戦を残しているため、この記録は次戦ニュルブルクリンクでフィンランド人ドライバーの手に渡る事になる。リザルト的には残念な14位に終わった。

次戦は、10月11日(日)にドイツ・ニュルブルクリンクで行われるF1第11戦アイフェルGPとなる。

2020年F1第10戦ロシアGP決勝リザルト

Pos No Driver Team Laps Time PTS
1 77 バルテリ・ボッタス メルセデス 53 1:34:00.364 26
2 33 マックス・フェルスタッペン レッドブル・ホンダ 53 +7.729s 18
3 44 ルイス・ハミルトン メルセデス 53 +22.729s 15
4 11 セルジオ・ペレス レーシングポイント 53 +30.558s 12
5 3 ダニエル・リカルド ルノー 53 +52.065s 10
6 16 シャルル・ルクレール フェラーリ 53 +62.186s 8
7 31 エステバン・オコン ルノー 53 +68.006s 6
8 26 ダニール・クビアト アルファタウリ・ホンダ 53 +68.740s 4
9 10 ピエール・ガスリー アルファタウリ・ホンダ 53 +89.766s 2
10 23 アレックス・アルボン レッドブル・ホンダ 53 +97.860s 1
11 99 アントニオ・ジョビナッツィ アルファロメオ 52 +1 lap 0
12 20 ケビン・マグヌッセン ハース・フェラーリ 52 +1 lap 0
13 5 セバスチャン・ベッテル フェラーリ 52 +1 lap 0
14 7 キミ・ライコネン アルファロメオ 52 +1 lap 0
15 4 ランド・ノリス マクラーレン・ルノー 52 +1 lap 0
16 6 ニコラス・ラティフィ ウィリアムズ・メルセデス 52 +1 lap 0
17 8 ロマン・グロージャン ハース・フェラーリ 52 +1 lap 0
18 63 ジョージ・ラッセル ウィリアムズ・メルセデス 52 +1 lap 0
NC 55 カルロス・サインツ マクラーレン・ルノー 0 DNF 0
NC 18 ランス・ストロール レーシングポイント 0 DNF 0

コンディション

天気晴れ
気温29.2℃
路面温度41.2℃
周回数53

セッション概要

グランプリ名 F1ロシアGP
レース種別 決勝
レース開始日時

サーキット

名称 ソチ・オートドローム
設立 2014年
全長 5872m
コーナー数 16
周回方向 時計回り

F1ロシアGP特集