ベッテル、今季限りでのF1引退を否定「フェラーリでやり遂げなきゃならない仕事が残ってる」
スクーデリア・フェラーリのセバスチャン・ベッテルは、F1第7戦カナダGPに先立って、2019シーズンを以てF1から引退するとの噂を否定。”やり残した仕事を片付ける”と語り、スクーデリアに留まって2020年シーズンを戦う覚悟があると明らかにした。
「リタイヤするつもりはない」とセバスチャン・ベッテル。地元ドイツメディアのインタビューに対して次のように答えた。「フォーミュラ1は今でも僕にとって多くの楽しみを授けてくれるスポーツだし、僕にはフェラーリでやり遂げなきゃならない仕事が残ってる」
事の発端は英国。F1ライターのジョー・サワードが「モンテカルロの週末に、セバスチャン・ベッテルが31歳を迎える今シーズン末でのリタイヤを検討しているという噂を聞いた」と報じた事を受けて、スペインのMarcaが、地元の英雄フェルナンド・アロンソのインディ500予選敗退後の発言「2020年の選択肢はオープン」を引用し、”アロンソの来季計画は未定だし、噂が本当ならマラネロに戻るためのシートが空いている状態だ”と伝えた事から、ベッテルの引退話が加熱した。
レッドブルからフェラーリへと移籍して早6年。V8エンジン時代に4連覇の快挙を達成したベッテルは、赤いレーシングスーツを着て以降はタイトルを獲れておらず、昨年の第13戦ベルギーGP以降は、優勝争いからも遠ざかっている。
宿敵メルセデスは昨年以上にコンペティティブで、今年のチャンピオンシップはシルバーアローのいずれかのドライバーが制する公算が高い。ベッテルは再び表彰台の頂点に立つ事を目指しているが、今シーズン中はそれが高いハードルである事を認識している。
「僕らの今年のマシンは決して悪くないんだけど、皆が知っての通り、今年のタイヤはスイートスポットに入れ込むのが難しい。僕らは毎日学び続けているし、そうやって得た知識は来シーズンのマシン開発の手助けにもなる」
仮にベッテルが今季限りで引退する事を胸の内で決意していたとしても、噂に答える形で、かつ夏休みまで2ヶ月を残したこのタイミングで、これを認める事は考えにくい。だが本人が否定している以上、話はそれで終わってしまう。むしろ、注目すべきはベッテルの「フェラーリでやり遂げなきゃならない仕事」という発言だろう。
ベッテルが言う「フェラーリでやり遂げなきゃならない仕事」とは、恐らくコンストラクターかドライバータイトルの獲得だろうが、この発言の裏には、ベッテルがF1でのキャリアをフェラーリで締め括りたいとの想いが伺える。フェラーリを去る時、おそらくベッテルはF1を去るのではないだろうか。
2019年末での引退については否定しているものの、ベッテルはレギュレーションが刷新される2021年以降のF1に参戦するかどうかについては明言を避けており、「今は約束できない」としている。