ハース:2018年F1マシン「VF-18」解説 / 比較画像とエンジンスペック・主要諸元
ハースF1チーム(Haas F1 Team)の2018年F1マシン「VF-18」が、2月14日に正式発表された。エンジンは、フェラーリ 062 EVO 1.6リッターV型6気筒ハイブリッドターボを搭載。グラファイト・グレーを基調とした昨年の「VF-17」とは異なり、ハース・オートメーションのコーポレートカラーを忠実に再現した16年型の「VF-16」に近い白・黒・赤の激しいコントラストのカラーリングに変更された。
VF-18 写真動画ギャラリーと解説
翼端板を含めたフロントウィングは、より複雑な進化を遂げているように見受けられる。
フロントノーズの側面には、興味深い小型ウイングが配置されている。
リア周りの拡大補正画像。シャークフィンとT-ウイングは規約で禁止されたが、エンジンカバーは後方にかなり伸びておりその名残を感じさせる。マシン前方からの乱流を整流する目的で設置されていたシャークフィン、廃止によってパフォーマンスにどの程度影響するのか興味深いところだ。
今季注目のコックピット周辺に設置された3本の柱からなるハロ。黒一色でペイントされている。フェアリングの設置など、この部位には幾らかの空力的工夫が認められているが、レンダリング画像ではプレーンな状態のままとなっている。
空力面での開発の余地が多いバージボード周辺は、意図的に深い影が落とされており細かなディティールは確認できない。秘密保持とライバルチームへの牽制だろう。ただし、確認できる範囲ではVF-17の最終形とはかなり異なっており、昨年のフェラーリに酷似しているようにみえる。
昨年マシンとの比較画像
テクニカル・レギュレーションに大きな変更はなく、全幅・全高に変化はない。全体のフォルムはハロを除きほぼ同じだ。
チーム代表を務めるギュンター・シュタイナーは、規約が安定している事に触れた上で「VF-18は昨年マシンの進化形。”変更”というよりも”洗練”という言葉が相応しい」と述べ、同チームの2018年マシンを評した。
技術諸元・スペック
コンポーネントの90%はフェラーリ製であり、イタリアで開発されている。ハースはフェラーリと密接な技術提携を結んでおり、エンジンのみならず相当数のパーツを跳ね馬に頼っている。VF-17と比べて構造上の変化は多くない。
エンジン
型式 | フェラーリ 062 EVO |
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排気量 | 1,600cc |
気筒数 | V型6気筒 |
過給機形式 | ターボ |
最高回転数 | 15,000rpm(レギュレーション規定) |
シャシー
型式 | VF-18 |
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構造 | カーボンファイバー / ハニカムコンポジット構造 |
ボディーワーク | カーボンファイバー製 |
ダンパー | ZFザックス |
ステアリング | フェラーリ |
トランスミッション | フェラーリ製セミオートマチック・シーケンシャル電子制御 クイックシフト 8速+リバース1速 サーボ制御式油圧リミテッド・スリップ・デフ |
クラッチ | APレーシング |
ブレーキ | カーボンファイバー製ディスクブレーキ 6ピストン・ブレーキキャリパー、ブレーキパッド |
コックピット | フェラーリ |
シートベルト | サベルト |
シート | カーボンファイバー製 |
ホイール | OZレーシング |
タイヤ | ピレリ P Zero |
燃料タンク | ATL |
燃料・オイル | シェル |
全幅 | 2,000mm |
重量 | 733kg(ドライバー含) |
シャシー名の「VF」は、ハース・オートメーションが1998年に制作したCNCマシン「VF-1」に由来しており、オーナーのジーン・ハースは「Very First One」の意味を込め、同チームの車体名に採用し続けている。
跳馬との0.5秒差を目標に軽量化
チームオーナーのジーン・ハースは、ほぼ同じコンポーネントを使っているフェラーリとのタイム差を0.5秒に縮める事を目標として掲げている。これをクリアすべくハースが注力したのは車両の軽量化であった。
ハロの導入に際してマシン最低重量は733kgに引き上げられたが、重心が高くなってしまうのは避けようがない。そのためハースは、可能な限りマシンを軽くすることでバラスト配置の柔軟性を確保。これによって重心を下げようと務めた。
シュタイナー代表は、軽量化が一定程度成功したとの認識を示し「良い仕事が出来た」と性能向上に自信をみせている。