アレックス・ザナルディ、2018 UCIパラサイクリングロード世界選手権にて
Courtesy Of BMW

不屈アレックス・ザナルディ、遂に病院から自宅へ!大事故から1年半…妻ダニエラさんが回復状況を語る

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元F1ドライバーにして4度のパラリンピック金メダリスト、アレックス・ザナルディが昨年7月の交通事故から1年半を経て、遂に病院から自宅へと戻った。妻ダニエラさんが12月20日(月)に明らかにした。

計41回のグランプリ出走を誇る55歳のイタリア人アスリートは、昨年の6月19日にハンドバイク競技中の事故によって頭部に重傷を負った。以降、複数回に渡る手術を受け、1年以上に渡って専門施設で治療を受けてきた。

妻ダニエラさんは夫がアンバサダーを務めているBMWグループとのインタビューの中で、ザナルディが「数週間前」に退院して、自宅に戻った事を明らかにした。

「この時を本当に長いこと待っていました。例え今後も特別なリハビリのために一時的にクリニックに滞在する事になるとは言え、本当に嬉しく思っています」

なお1年半に及ぶ入院生活ではコロナの件もあり面会が厳しく制限されていたために、ザナルディは一部の友人や家族としか会う事が許されない状況にあったと言う。

「私と息子、そしてアレックスの母親だけがアレックスに面会できましたが、面会が許されるのは1日に1人だけで、しかも1時間半だけでした」

ダニエラさんによると自宅へ戻ったザナルディは、慣れ親しんだ環境で生活できるようになった事もあり「とても順調」で、今も完治に向けてリハビリに取り組み続けている。

「今は病院で行っていたさまざまなプログラムを自宅で続けています。週に一度、セラピストと一緒に、身体面、神経面のエクササイズを行います」

「身体的な状態に関して言えば、腕にますます力が入るようになってきましたし、かなり進歩しています。それに病院ではベッドにいることが多かったのですが、今では1日のほとんどを私たちと一緒に車イスで過ごしています」

朗報尽くしだが、回復には長い時間がかかる事が予想される。

「今後の回復の進展はまだ予測できません。まだまだ長く険しい道のりが待っています。ですがアレックスは闘志と共に取り組んでいます」

「医師、理学療法士、神経心理学者、言語療法士が主導するリハビリテーションプログラムのおかげで着実に前に進んでいますが、もちろん挫ける事もありますし、これからもそれは変わらないでしょう」

「それに、1歩進むために2歩下がらなければならない事もあります。ですがアレックスはこれまでに幾度となく、真のファイターである事を証明してきました」

今回のインタビューは10月23日の55歳の誕生日に、ソーシャルメディアを通して多くの励ましとお祝いの言葉がザナルディに寄せられた事を受け、ダニエラさんが経過報告を申し出た事により実現した。

「世界中の多くの方々がアレックスを想ってくださっている事に本当に感謝しています」とダニエラさんは語る。

「皆様にメリークリスマスの言葉をお伝えすると共に、新年のご多幸をお祈り申し上げます」

ザナルディは1991年から1994年、そして1999年にF1世界選手権を戦い、1997年と1998年にはCARTで2度シリーズチャンピオンに輝いた。だが2001年のアメリカンメモリアルで大クラッシュに見舞われ、両足切断を余儀なくされた。

にも関わらず驚異的な精神力を以てレース活動に復帰すると、その後、ハンドサイクリングに転向。2012年のロンドン・パラリンピックと2016年のリオ・パラリンピックで金メダルを獲得した。

今回の事故は昨年の6月に開催されたパラリンピック選手のためのイタリア国内ロードレース「Obiettivo tricolore」での競技中に起きた。ザナルディはヘリコプターで病院に搬送され、幾度もの緊急手術によって一命を取り留めた。