元F1のアレックス・ザナルディ、交通事故による頭部重傷で予断許さず
元F1ドライバーで2度のCART王者でもあるアレックス・ザナルディが、6月19日(金)に開催されたパラリンピック選手のためのイタリア国内ロードレース「Obiettivo tricolore」での競技中に自動車事故に遭い、ヘリコプターで病院に搬送された。頭部に重度の外傷を負ってシエナ大学付属のサンタマリア・アッレ・スコッテ病院で緊急手術を受け、現在は集中治療室に移されている。
事故はピエンツァとサンキリコの間の高速146号線で現地17時過ぎに発生した。ザナルディは坂道を下っていた際に自転車のコントロールを失い対向車線に突っ込み、セミトレーラーを牽引していたトラックと衝突・横転したと伝えられている。
代表チームのマリオ・ヴァレンティーニ監督は「La Repubblica Florence」に対して「事故は僅かにカーブした道路の手前、少し下ったところで起きた。アレックスが少し対向車線にはみ出てしまい、トラックはこれを避けようとしたが、接触してしまった」と語り、ザナルディ側に過失があったと説明した。
病院側の発表によるとザナルディは現地18時に病院に到着し、すぐに緊急医療の専門家による診断を受けた。頭部損傷の程度は「非常に深刻」との事で19時過ぎから脳神経外科手術が行われ、3時間弱ほどで集中治療室に移送された。”予断を許さない状態”だという。
53歳のイタリア人アスリートは1991年から1994年、そして1999年にF1世界選手権を戦い、1997年と1998年にはCARTで2度シリーズチャンピオンに輝いたが、2001年のアメリカンメモリアルで大クラッシュに見舞われ、両足切断を余儀なくされた。
驚異的な精神力を示して事故から2年も経たないうちにレース活動に復帰すると、今度はハンドサイクリングに転向し、2012年のロンドン・パラリンピックと2016年のリオ・パラリンピックで金メダルを獲得した。2019年11月には、富士スピードウェイで開催されたスーパーGT × DTM特別交流戦にBMWから参戦。ファンの喝采を浴びた。
イタリアのジュゼッペ・コンテ首相は「あなたは不屈の人であり、並外れた強さを以て何千もの困難を乗り越えてきた。フォルツァ・アレックス・ザナルディ。諦めてないでくれ。イタリア中があなたの側に付いている」とツイートし、母国の英雄の回復を祈った。