世界モータースポーツ評議会、跳馬PUに関するFIAの”合意”を全面支持…チーム側との緊張激化は必至
世界モータースポーツ評議会(WMSC)は3月6日にスイス・ジュネーブで今年初の会合を行い、現在論争となっている国際自動車連盟(FIA)とフェラーリとの”秘密裏の和解”に対する7つのF1チームからの反発を全面的に退けた。
フェラーリ製F1パワーユニットの不正疑惑調査に関してFIAは、違法性を否定するフェラーリ側の主張を覆せるだけの物証を見つけ出すことは、コスト及び問題の構造的に”不可能”であるとして、フェラーリとの間で和解合意を結び、この問題をこれ以上追求しないと宣言した。
何故に和解合意に至ったのかを先にチーム側に伝えてさえいれば異なる状況もあり得ただろうが、FIAは理由やプロセスを一切説明することなく、まずはただ一方的に「和解した。その理由は明らかにできない」と公に発表した。
この透明性に欠けるステートメントに対し、メルセデスが主導する形でレッドブル・ホンダ、マクラーレン、ルノー、アルファタウリ、レーシングポイント、ウィリアムズの計7チームが強い反発を表明する共同声明をリリースした。
チーム連合は声明の中で「国際的なスポーツ統治団体であるFIAには、最高水準のガバナンスとインテグリティ、そして透明性をもって行動する責任がある」と激しく糾弾したが、FIAはこれに対して司法規約を盾に「和解の詳細を開示する義務はない」と主張。両者の溝が一層深まっていた。
このような状況の中、ジュネーブで開催された会合にはジャン・トッド会長およびグラハム・ストーカー副会長らトップマネジメントが参加。WMSCは声明を通して「我々評議会は問題の全体的なマネジメントに関し、FIA会長とFIA技術部門を全会一致でサポートする事をここに表明する共に、FIAとF1世界選手権の評判およびイメージを損なう如何なるコメントにも強く反対する」と発表した。
スクーデリア・フェラーリの元チーム代表がトップを務める当組織による今回の対応によって、チーム側との対立が深まる事は避けられず、緊張関係が激化する事が予想される。2021年シーズンに向けたレギュレーション策定が大詰めの段階を迎える中での対立は、双方にとって不毛であるどころかネガティブでさえあるだけに、今後の進展が懸念される。