2021年1月22日、イギリス・ミルトンキーンズのレッドブル・レーシング・ファクトリーの全景
Courtesy Of Red Bull Content Pool

レッドブルF1、英国拠点のホンダスタッフ引き抜きへ…E10燃料対応はホンダが担当

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2022年以降のホンダ製F1パワーユニットは「レッドブル・エンジン」と命名され、英国拠点のホンダスタッフの大部分は新会社「レッドブル・パワートレインズ」に引き抜かれる事になりそうだ。レッドブル・レーシングのクリスチャン・ホーナー代表が明らかにした。

レッドブル及びアルファタウリにパワーユニット一式を供給するホンダは2021年末を以てF1を去るものの、英国ミルトンキーンズのチームはホンダと2024年までの契約を結び、知的財産権の使用許諾を得て来季以降も同社製パワーユニットを継続使用する。

ホンダPUは「レッドブル・エンジン」へ

ファンの次なる興味はホンダ製F1パワーユニットが2022年以降に何と呼ばれる事になるのか、という点だろう。

レッドブルはルノーからPU供給を受けていた最終年に、スイスの高級時計メーカー「タグ・ホイヤー」にパワーユニットの命名権を販売し、エンジンカバーに同ブランドのエンブレムを刻印していた事がある。

これについては、本田技研工業の創業者である本田宗一郎氏の長男、博俊氏が設立し、1992年から2000年までF1に参戦した「無限」を望むファンの声が広く聞かれたが望みは薄い。

ホーナーはネーミングライツについて、現時点で具体的な話は進んでおらず2022年以降のレッドブル及びアルファタウリに搭載されるホンダ製PUは「レッドブル・エンジン」と命名されるとの見通しを示した。

ただその一方で、モータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコは、バッジネーム契約による収益に期待感を示してもいる。有望なパートナーが現れれば別のエンジン名が掲げられる可能性もある。

英国拠点のホンダスタッフの行方

パワーユニットのメンテナンスと組み立てに関しては、新たに「レッドブル・パワートレインズ」なる新会社を設立し、オーストリアを拠点とするパワートレイン開発の専門会社「AVL」のサポートの下で、次世代エンジンが導入される2025年までの3年間に渡って独自で運用を行っていく。

では人員はどうするのだろうか?

ホーナー代表は既に人材のリクルーティングを開始した事を明かし、英国ミルトン・キーンズに位置するホンダのファクトリー「HRD-UK」勤務の大部分のスタッフを新会社に引き抜く意向を示した。

誰がレッドブル・パワートレインズを率いる事になるのかは現時点で未定のようだ。例えばホンダは田辺豊治テクニカル・ディレクターを現場指揮官に据え、浅木泰昭HRD Sakuraセンター長を開発トップとしてプロジェクトを進めてきた。

V6ハイブリッド時代のメルセデス不敗神話の立役者であるアンディ・コーウェルの名が取り沙汰されていた事もあったが、ホーナーはコーウェルに関して「F1に復帰する意思はないものと考えている」として、起用の可能性を除外した。

コーウェルはメルセデスのエンジン部門のトップとしてメルセデスの7連覇を主導。昨年6月に「新たなエンジニアリングビジネスに挑戦したい」として自ら辞任した。

E10燃料への対応は?

最も気にかかるのはE10燃料への対処だ。

F1はカーボンニュートラル達成に向けてバイオ燃料を重視しており、2022年からは現行の5.75%が引き上げられる形で、エタノールを10%含有する「E10燃料」の導入が検討されている。

2021年型のままではこれに対処する事が出来ず内燃エンジンのアップデートが必至だが、ホンダは今季末を以てF1を去る。レッドブルはどうするのか?

ホーナー代表はホンダが2021年の「12月31日」まで活動を継続する予定であるとして、来年のプレシーズンテスト前の引き渡しが予想される2022年のパワーユニットに関しては、ホンダが今年一杯を使ってチームの公式燃料パートナーであるエクソンモービルと共に開発するE10燃料対応版になると説明した。

レッドブルはE10燃料への対処に関わる開発コストを負担する用意があるようだ。