メルセデスAMGハイパフォーマンス・パワートレインズのマネージング・ディレクターを務めるアンディ・コーウェル
Courtesy Of Daimler AG

メルセデス6連覇の立役者、F1エンジン開発率いたアンディ・コーウェルが辞任

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V6ハイブリッドエンジン時代におけるメルセデスの無敗神話に多大な貢献を果たしたエンジン部門のトップ、アンディ・コーウェルが今月末を以てチームを離脱するというビッグニュースが飛び込んだ。

メルセデスAMGハイパフォーマンス・パワートレインズ(HPP)は6月15日、コーウェルのマネージング・ディレクター辞任及び、これに伴う2020年7月1日からの新しい上級管理職体制を発表した。コーウェルは今年1月に辞任の意向を会社側に伝えていたと言う。

2004年にメルセデスHPPに入社したコーウェルは、過去6シーズンに渡るF1世界選手権でのドライバー及びコンストラクターの両タイトル6連覇の立役者の1人であり、この時代のF1支配の原動力となったパワーユニット開発を率いてきた。

コーウェルの辞任に伴い、その役割は新たなシニアリーダーシップチームが担う事になる。F1パワーユニット、フォーミュラEパワートレイン、そしてメルセデス・ベンツ初のハイパーカー、メルセデスAMGワンのパワートレイン開発及び生産を担当するHPPのマネジメントは一新される。

ハイウェル・トーマスがF1パワーユニット部門の直接の責任者としてマネージング・ディレクターに就任し、アダム・アルソップ(パワートレイン・ディレクター)、リチャード・スティーブンス(オペレーション・ディレクター)、ロナルド・ボールハウス(財務及びITディレクター)で構成される上級幹部チームがコーウェルの仕事を引き継ぐ。

イギリス・ブリックスワースにあるメルセデスF1のパワーユニット開発拠点「メルセデスAMGハイパフォーマンス・パワートレイン」
© Daimler AG / イギリス・ブリックスワースにあるメルセデスF1のパワーユニット開発拠点

コーウェルはチーム離脱の決断について「16年に渡ってHPPでの仕事を楽しんできたが、今こそこの役割を辞して、新たなエンジニアリングビジネスへの挑戦を模索するのに適した時期だと判断した」と説明した。

また「メルセデスで働けた事、特に7年間に渡ってHPPのマネージングディレクターを務めた事を本当に誇らしく思う。素晴らしいチャンスと楽しいチャレンジを与えてくれた全ての人たち、特に2006年に英断を以て私をサポートしてくれたオラ・ケレニウス(現ダイムラー会長)に感謝の気持ちを伝えたい」と綴った。

コーウェルはトーマス新MDに協力して体制移行をサポートするだけでなく、少なくとも2021年序盤までは顧問という形でメルセデス・ベンツAGとの関与を続ける。

メルセデスAMGペトロナスF1チームのチーム代表兼CEOであるトト・ウォルフは「ここ数シーズンのチャンピオンシップにおける成功の要因の1つは、アンディのHPPでのリーダーシップにあった」と述べ、その功績を称えると共に感謝の意を表した。

ダイムラーAGの取締役でありHPPの非常勤会長でもあるマルクス・シェーファーは「HPPの新しいシニア・リーダーシップチームはビジネスを熟知しており、今後数年に渡って情熱と革新性をもって会社を前進させてくれると確信している」との談話を発表した。