絵付け、ヘレンドが手掛けたF1ハンガリーGPの優勝トロフィーの制作工程
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動画:F1ハンガリー優勝トロフィーの作り方、630万円の値も納得…気が滅入るほど繊細な職人芸

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マックス・フェルスタッペン(レッドブル)のF1ハンガリーGPの優勝トロフィーは、皮肉にも破損した事で一躍注目を集めた。30名の職人が半年がかりで作り上げたこの特注品は、1個あたり4万ユーロ(約631万円)の費用がかかったとされる。

制作を担当したのは、1826年にヴィンツェ・シュティングルによって創業された200年近い歴史を誇るハンガリーの老舗磁器メーカー「ヘレンド」だ。創業間もない19世紀半ばには、既にヨーロッパ全土の貴族の御用達として人気を集めていたという。

ハンガリーGPのトロフィーは、装飾的な造形と絵柄がアール・ヌーヴォーやエキゾチシズムといった古典を感じさせる一方、白磁がモダンな印象を与えるものであったが、残念ながらランド・ノリス(マクラーレン)の不注意により不運にも破損してしまった。

ランド・ノリス(マクラーレン)の粗相によって割れたマックス・フェルスタッペン(レッドブル)のF1ハンガリーGP優勝トロフィー、2023年7月23日ハンガロリンクにてCourtesy Of Red Bull Content Pool

ランド・ノリス(マクラーレン)の粗相によって割れたマックス・フェルスタッペン(レッドブル)のF1ハンガリーGP優勝トロフィー、2023年7月23日ハンガロリンクにて

基本的な工程としてはまず、石膏型から鋳造されたものに特殊な両刃ナイフを使って透かしを入れるなどして造形を仕上げていき、表面を研磨した後、約950℃で焼成。釉薬をかけて約1400℃で再び焼成する。

透かし彫り、ヘレンドが手掛けたF1ハンガリーGPの優勝トロフィーの制作工程copyright HEREND

透かし彫り、ヘレンドが手掛けたF1ハンガリーGPの優勝トロフィーの制作工程

その後は、太さや毛の異なる様々な筆やペンを使って、花や蝶、鳥などの繊細な装飾や模様をひたすら絵付けし、金彩を施し、最後に再び焼成する。

フェルスタッペンと2位ノリス、3位のセルジオ・ペレス(レッドブル)に贈られたトロフィーの制作プロセスが収められた以下の動画を見ると、その作業が如何に神経をすり減らすものであるかがよく分かる。

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