木曜のFIA公式記者会見で報道陣からの質問に答えるマックス・フェルスタッペン(レッドブル)、2022年11月17日F1アブダビGP
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フェルスタッペン、”不快”で”馬鹿げた”報道と”うんざり”する攻撃に猛反発…チームオーダー騒動を経て

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F1サンパウロGPでのチームオーダー騒動を経て、レッドブル・レーシングのマックス・フェルスタッペンは、「不快」で「馬鹿げた」報道とソーシャルメディアを通した自身や家族に対する「攻撃」に対して激しく反発した。

フェルスタッペンはブラジルでのレース最終ラップで、僚友セルジオ・ペレスに順位を譲るようにとのチームからの要請を無視。その理由を明らかにしなかった事で様々な憶測が飛び交い、モナコ予選でのクラッシュの件に注目が集まった。

優勝を経てメキシコ国旗を手にマシンの上でガッツポーズを取るセルジオ・ペレス(レッドブル)、2022年5月29日F1モナコGPCourtesy Of Red Bull Content Pool

優勝を経てメキシコ国旗を手にマシンの上でガッツポーズを取るセルジオ・ペレス(レッドブル)、2022年5月29日F1モナコGP

オランダやBBC等の幾つかの報道では、ペレスはモンテカルロで故意にクラッシュしたとされ、その事実はクリスチャン・ホーナーやヘルムート・マルコら首脳陣も認めていると伝えられている。

F1アブダビGPの開幕を前にした木曜のヤス・マリーナ・サーキットでフェルスタッペンは、「シーズンの序盤」に起きた物事に関連してブラジルの前戦、メキシコGPの週末に自らの立場を説明したところチームが「理解し、納得した」ため、ペレスを先行させるよう命令されるとは思ってもみなかったと説明した。

「土曜も日曜も、順位を入れ替える可能性なんかについては何も言われておらず、最終ラップに無線で言われただけだったんだ」とフェルスタッペンは語った。

「既にその前の週末に伝えていたから、彼らは僕がどう反応するかを知っていたはずなのに」

「(レース後に)洗いざらい話し合った結果、すべて解決したけど、今にして思えば、もっと早く話し合っておくべきだったと思ってる」

「僕は誰に対しても一度だって悪いチームメイトになったことはないし、常に協力的だってことはチームも分かってくれているわけだからね」

「今回の一件で僕らはお互い、もう少しオープンにコミュニケーションを取らなきゃならないって事を学んだと思う」

F1アブダビGPの木曜FIA公式記者会見で報道陣からの質問に答えるマックス・フェルスタッペン(レッドブル)、2022年11月17日ヤス・マリーナ・サーキットにてCourtesy Of Red Bull Content Pool

F1アブダビGPの木曜FIA公式記者会見で報道陣からの質問に答えるマックス・フェルスタッペン(レッドブル)、2022年11月17日ヤス・マリーナ・サーキットにて

フェルスタッペンは全てを議論したとしてチームオーダー拒否の発端となった出来事についても面と向かって話し合った事を仄めかしたが、ペレスによるとブラジルでのレース後に議題となったのはあくまでも最終ラップの一件だけで、大元の出来事については「議論したことはない」としている。

また、具体的にどのような報道に言及しているのかは明確にしなかったが、フェルスタッペンは自身だけでなく家族までもが巻き込まれているとして不満をあらわにすると共に、「ソーシャルメディアが抱えるあらゆる問題を助長している」として一部報道を非難した。

「レースの後の報道で僕はかなり悪い印象に映っていた。状況を明確に把握していないにも関わらず、即座に僕をこき下ろすなんて正直に言って本当に馬鹿げている」とフェルスタッペンは語った。

「僕が読んだものは全てかなり不快なものだった。それに加えて彼らは僕の家族を攻撃し始めたんだ。僕の妹や母、ガールフレンド、父、そして僕を脅かした。あれはあまりにも行き過ぎていた」

「僕に対してであればいいけど、家族を追い回すのは止めてくれ。単純に容認できない」

「正直に言ってチェコ(ペレス)とは素晴らしい関係を築いている。全体像を把握していない人たちが僕を攻撃し始めるというのは兎に角、理解できない」

「それにこのパドックでも、ファンだけでなく多くの人たちが僕について書いていることは兎に角、話にならない」

フェルスタッペンが憤りをあらわにした報道の内容は不明だが、フェルスタッペン母、ソフィー・クンペンがサンパウロでの一件を経て、プライベートに関する事でペレスを非難する内容をSNSに投稿したとの報道が一部で出ている。なお、対象とされる投稿が既に削除されているとの事で当編集部は事実か否かを把握できていない。

”全体像”を知らずに報道がなされることで歪んだ事実が蔓延していると主張するフェルスタッペンに対し、その全体像を知るために「シーズン序盤の出来事」について説明するよう求める質問が飛ぶと「詳しくは説明しない」と従来の姿勢を貫いた。

密室に留めておきたいのであれば、チームオーダー要請の際に「前にも言ったはず」「理由がある」などと意味深な発言を口にせず別の方法を採ることもできたはずだが、無線が全世界に公開されている事を知りながらもフェルスタッペンはそうしなかった。

結果、別のジャーナリストから「人々は自らの知っている事実に基づいてしか判断できない」として再度、きっかけとなった出来事について明かすよう求められたが、それでもフェルスタッペンは頑として「僕とチームとの間に留めておく」と説明を拒み、次のように続けた。

「本当のことを知らないんだから、ストーリーを書く必要はないのに。兎に角、こういう戯言ばかりで少しうんざりしてるんだ」

「何かネガティブなことがあると、すぐにそれが強調される。一部ではあるけど吐き気がする」

「結局のところ、僕は何も悪いことはしていないのに。ただ、みんなに誤解されているだけなんだ」

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