下を向く長谷川祐介
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2台揃ってのMUG-Hトラブルによって水の泡と化したホンダの米国GP / F1アメリカGP 2017《決勝》

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千載一遇の好機と意気込み臨んだ第17戦F1アメリカGP、マクラーレン・ホンダの決勝レースはエンジンの信頼性不足によって水の泡と化した。

予選では9・13番手とまずまずの結果を見せたが、決勝当日の朝にストフェル・バンドーンのマシンにMGU-Hのトラブルが発生。ホンダはエンジン一式を交換する事態に陥った。MUG-Hは熱エネルギー回生を司る装置であり、マクラーレン・ホンダのシーズン序盤の不振の大きな原因となっていた。交換によってバンドーンには計30グリッドの降格処分が科され、ポイント獲得のチャンスの1つはレース開始前に消滅した。

一方のフェルナンド・アロンソは、オープニングラップでポジションを1つ上げて好調なレースを展開していたものの、8番手を走行中の24周目に突然エンジンパワーを失った。原因はまたもMUG-H。シーズン後半は影を潜めつつあったエンジンの信頼性不足が再び浮上した。

ホンダF1率いる長谷川祐介は、アメリカGPを”残り4戦の中で最もポイント獲得の可能性が高い最大のチャンス”と捉えていたが、結果的には最大の失意を抱えたグランプリに終わった。問題を引き起こしたアロンソのパワーユニットは、ホンダPU開発拠点の”さくら”に送られ、次戦メキシコGPに向けて詳細な調査と分析が行われる。

メキシコGPに向けて対策を講じる

長谷川 祐介ホンダF1プロジェクト総責任者

今日はチーム全員にとって信じられないほどストレスが溜まる一日となってしまいました。ポイント獲得を期待してアメリカGPに挑みましたが、残念ながら2台のマシンともに信頼性のトラブルに見舞われてしまい、TOP10でフィニッシュすることは叶いませんでした。

決勝当日の朝、ストフェルのエンジンにMGU-Hの問題が発見されたため、パワーユニットを交換することにしました。この決断によって彼はグリッド後方からのレースを余儀なくされ、厳しいレースを強いられる事になりました。それにもかかわらず、ストフェルは素晴らしいレースをしてくれました。トラック上で何台かのマシンをオーバーテイクし終始速さをキープしていましたが、残念なことにその努力が報われることはなくポイントを得る事が出来ませんでした。

8番グリッドからスタートしたフェルナンドは、1周目に7番手までポジションを上げました。MGU-Hのトラブルによって早々にリタイヤするまでの間、彼は順位を守り続けライバル勢を寄せ付けませんでした。

最近のレースでは比較的信頼性が安定していただけに、ここでパワーユニットの問題に直面したことは非常に残念です。直ちにさくらHDRで問題を調査し、来週のメキシコGPに向けて対策を講じていくつもりです。


決勝レースの詳細については、2017年F1アメリカGP決勝結果とダイジェストを参照されたい。

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