ユニオンジャックを掲げてウイニングランを楽しむメルセデスのルイス・ハミルトン、2021年7月18日F1イギリスGP決勝レース
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レッドブル無得点…ハミルトンが”物議必至”の英国8勝目!ホンダ勢唯一の入賞は角田 / F1イギリスGP《決勝》結果とダイジェスト

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2021シーズンFIA-F1世界選手権 第10戦イギリスGP決勝レースが7月18日にF1発祥の地、シルバーストン・サーキットで行われ、予選2番グリッドのルイス・ハミルトン(メルセデス)が大波乱のレースで逆転のトップチェッカーを受けた。

この日の勝利で母国イギリスでの勝利数は8回に、キャリア通算勝利数は99回に達した。ペナルティーによる5番手後退からの逆転劇に、2年ぶりのグランプリ観戦に訪れた地元ファンは大喝采を浴びせた。ただしこの日の勝利が物議を醸す事は避けられない。

史上初のスプリント予選を制したレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンは4戦連続のポールポジションからレースをスタートした。2番グリッドのハミルトンは絶好のスタートを切って、タイトル争いのライバルに襲いかかった。

両者はオープニングラップで一進一退の激しい攻防を演じ、高速のコプス・コーナーでハミルトンがイン側を差した。アウト側のポイントリーダーを含めて両者は一歩も引かず、ホイール同士が接触した事でフェルスタッペンがグラベルを乗り越えて高速のままタイヤバリアに激突した。衝撃は51Gに達した。

メディカルカーに向かうに際して観客の声援に手を上げて応えるなどしており、幸いにもフェルスタッペンに深刻な怪我はなかった。事故現場の復旧のためにレースは30分に渡って赤旗中断を余儀なくされた。

フェルスタッペンはメディカルセンターで医師の検査を受けた後、予防措置として地元病院に運ばれ更なる精密検査を受け、当日22時に無事に退院した。

一件はFIAレースディレクターを務めるマイケル・マシによってスチュワードに報告され、審議の結果、ハミルトンに10秒ペナルティーの裁定が下ったが、フェルスタッペンのダメージは10秒に留まらない。予算制限ルールが施行される中でのマシン修復に掛かるコストとポイント喪失によるタイトル争いへの影響は甚大だ。パワーユニットの損傷も懸念される。

チーム代表のクリスチャン・ホーナーはレースを終えてなお、一件に対する怒りが収まっていないようで「彼のような優秀なドライバーがあのような動きをするとは本当にガッカリだ。彼はライバルを病院送りにした」「幸いにもマックスは人の手を借りずにクルマから降りる事ができたが、ボロボロに傷ついている」とフラストレーションをあらわにした。

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せめてもう一台が上位でフィニッシュしていれば幾らか気分も晴れただろうが、パルクフェルメ違反によってピットレーンからスタートしたセルジオ・ペレスは計4度ものピット作業を経て16位でヘルメットを脱いだ。

ハミルトンに続く高さの表彰台に上がったのはフェラーリのシャルル・ルクレール。残り2周で首位の座を奪われた。3位はバルテリ・ボッタスと、メルセデスが1-3の大量ポイントを稼ぎ出した。

ホンダエンジン勢の中で無事に完走してポイントを持ち帰ったのはアルファタウリ・ホンダの角田裕毅のみだった。僚友ピエール・ガスリーはパンクに見舞われ47周目という最終盤に入賞圏内9番手から脱落。49周目にペレスの4度目のピットインに伴い代わって10番手に浮上した角田裕毅がその位置を守りきった。

レース概要

決勝は日本時間18日(日)23時にブラックアウトを迎え、1周5891mのコースを52周する事で争われた。現地シルバーストンは晴れ、チャンピオンシップポイントを争う決勝のフォーメーションラップは気温29.1℃、路面温度51.6℃、湿度39.2%、降水確率0%のドライコンディションで開始された。

英国政府のイベント・リサーチ・プログラム(ERP)に含まれた事を受け、本大会は2年ぶりに観客を総動員。スタート前には新型コロナウイルスと最前線で戦うヒーロー達に感謝を示すセレモニーが行われ、グリッドにはトム・クルーズやマイケル・ダグラス等、セレブの姿が数多く見られた。

レコノサンスラップでは前日のスプリント予選で大暴れしたフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)がスピン。幸いにもクルマにダメージはなく、2度のF1王者はその後のレースを堅実に戦い抜き、スタートポジションの7番手を守り抜いた。

スプリント予選唯一のリタイヤを喫したペレスは、逆襲に向けてリアウイングを低ダウンフォース仕様に変更するなど、パルクフェルメ違反を犯してシャシーをオーバーテイク仕様に変え、ピットレーンからレースに臨んだ。

公式タイヤサプライヤーのピレリは最も硬いレンジのC1からC3までのコンパウンドを投入。リア側に関しては構造が強化された新しいスペックで、ハードを履いたペレスを除く全車がミディアムを履いてグリッドについた。

1周目の劇的ドラマを経て、ハミルトンは車両のダメージをチーム無線で報告したが、後方に転落するようなことはなくルクレールに追い抜かれたのみで事なきを得て、赤旗下での修復を経てリスタートに臨んだ。

ルクレールはラップリーダーの座を守って5周目に突入した。ランド・ノリス(マクラーレン)はボッタスを交わして3番手に浮上。6番手を走行していたセバスチャン・ベッテル(アストンマーチン)は単独ハーフスピンを喫して最後尾に転落した。

4度のF1ワールドチャンピオンは結局最後まで挽回できず、後方を走っていた40周目にチームからクルマをガレージに入れるよう指示されリタイヤした。

逆襲のペレスは第1スティントで11番手にまで巻き返し、入賞圏内に向けて第2スティントを戦っていたものの、9番手を走行していた39周目に再度ピットイン。46周目のキミ・ライコネン(アルファロメオ)との10番手争いの最中に発生した接触を経て49周目にまたもピットに入りポイント圏外に転落した。

ただこれにはハミルトンからファステストラップを取り戻して1点を奪う狙いがあった。ペレスは自身で得点を上げられずに終わった一方、ファステストラップを刻んでリタイヤに終わったフェルスタッペンを援護した。

なお接触によりライコネンは後方に転落。一件は審議の対象となったがお咎めなしの裁定が下った。

上位2名のドタバタにより利を得たルクレールだが、16周目に「止まったり動いたり繰り返してるんだけど、何が起きているのか説明してくれ!」とエンジンに関する懸念を報告。チームの指示に従って設定を変更したり、ドライビングを修正するなど最後までトラブルへの対処に追われた。

最初にピットが動いたのは19周目だった。ライコネン、ペレス、ベッテル、ジョージ・ラッセル(ウィリアムズ)の4台がタイヤ交換義務を消化した。

上位勢ではノリスが22周目にいち早くピットインするも、右リアタイヤの交換に6秒もの時間を費やした。メルセデス陣営はこれを逃さず翌周にボッタスをピットに入れ、実質的な3番手でコースに送り出して逆転を成功させた。これが表彰台の最後を決める事となった。

ハミルトンは27周目にピットストップを行い10秒ペナルティーを消化。一旦5番手に後退したものの、31周目にノリスをオーバーテイクして3番手、そしてボッタスの背中を捉えた41周目にチームオーダーを得て難なく2番手に浮上した。

ハミルトンは終盤に向けてじわじわ先頭との差を詰めていき、残り3周でラップリーダーに追い付くと、1周目の事故と同じコップスでイン側に。ただ今回は一歩引いて次なる機会を狙ったが、アウト側のルクレールがワイドに膨らんだ事でトップを奪取し、シルバーストンでの8度目の勝利を飾った。

ルクレールが殊勲2位表彰台に上がった一方、サインツは29周目のピットストップの際に左フロントの交換に12.2秒もの時間を要するアクシデントに見舞われ、ダニエル・リカルドに一歩及ばず6位でフィニッシュした。

Pos No Driver Team Laps Time PTS
1 44 ルイス・ハミルトン メルセデス 52 1:58:23.284 25
2 16 シャルル・ルクレール フェラーリ 52 +3.871s 18
3 77 バルテリ・ボッタス メルセデス 52 +11.125s 15
4 4 ランド・ノリス マクラーレン・メルセデス 52 +28.573s 12
5 3 ダニエル・リカルド マクラーレン・メルセデス 52 +42.624s 10
6 55 カルロス・サインツ フェラーリ 52 +43.454s 8
7 14 フェルナンド・アロンソ アルピーヌ・ルノー 52 +72.093s 6
8 18 ランス・ストロール アストンマーチン・メルセデス 52 +74.289s 4
9 31 エステバン・オコン アルピーヌ・ルノー 52 +76.162s 2
10 22 角田裕毅 アルファタウリ・ホンダ 52 +82.065s 1
11 10 ピエール・ガスリー アルファタウリ・ホンダ 52 +85.327s 0
12 63 ジョージ・ラッセル ウィリアムズ・メルセデス 51 +1 lap 0
13 99 アントニオ・ジョビナッツィ アルファロメオ・フェラーリ 51 +1 lap 0
14 6 ニコラス・ラティフィ ウィリアムズ・メルセデス 51 +1 lap 0
15 7 キミ・ライコネン アルファロメオ・フェラーリ 51 +1 lap 0
16 11 セルジオ・ペレス レッドブル・ホンダ 51 +1 lap 0
17 9 ニキータ・マゼピン ハース・フェラーリ 51 +1 lap 0
18 47 ミック・シューマッハ ハース・フェラーリ 51 +1 lap 0
NC 5 セバスチャン・ベッテル アストンマーチン・メルセデス 40 DNF 0
NC 33 マックス・フェルスタッペン レッドブル・ホンダ 0 DNF 0

コンディション

天気
晴れ
気温
29.1℃
路面温度
51.6℃
周回数
52

レース概要

グランプリ名
F1イギリスGP
レース種別
決勝
レース開始日時

サーキット

名称
シルバーストン・サーキット
設立
1947年
全長
5891m
コーナー数
18
周回方向
時計回り

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