
戦うのか、支えるのか─日本初陣に向けて角田裕毅に与えられた“レッドブルの指令”
角田裕毅は2025年F1日本グランプリで初めて、強豪レッドブル・レーシングのマシンをドライブする。この歴史的な一戦を前に角田は、「少しクレイジーな1週間でした」と電撃昇格発表を振り返り、その心境を明かした。
「レッドブル・レーシングで走ると聞いたときは、本当に嬉しかったです。興奮とモチベーションでいっぱいでした。このチームで走れることを誇りに思っています」
しかも、その初レースの舞台が母国日本GPであることについては、「さらにクレイジーですね」と続けた。
「今週は“ヤバい”くらい忙しくなりそうです。チャレンジに対するプレッシャーと楽しみが入り混じった気分ですね。僕のキャリアにとって大きな一歩ですし、目指すべき目標にまた一つ、近づけたと思います」
Courtesy Of Red Bull Content Pool
2025年F1日本GP版スペシャルカラーのチームキットを着用するレッドブル・レーシングのマックス・フェルスタッペンと角田裕毅、2025年4月1日
角田よりもドライビングスタイル的にRB21への適応が難しい部分が予想されたとはいえ、昨年、角田に迫るパフォーマンスを発揮していたリアム・ローソンは、開幕2戦で無得点に終わり、日本GPを前にレーシング・ブルズへ降格となった。
フェルスタッペンに肩を並べるような活躍など、クリスチャン・ホーナー代表やヘルムート・マルコが角田に過度な期待を寄せているわけでないことは明らかだが、実際、今回のレッドブル初陣にあたって角田はチームからどのような指示を受けているのだろうか?
これについて角田は「これまで通り、やるべきことをやり、パフォーマンスを出し続けろ」と言われていると明かし、「できる限りマックス(フェルスタッペン)に近づいて、コンストラクターズタイトル獲得のために、毎戦で戦略的にも貢献していきたい」と力強く語った。
一方で、RB21に残る課題についても認識しており、「その理解を深めて、マシン開発にも貢献していきたい」と冷静な視点も忘れなかった。
「シミュレーターでは走ったことがありますが、実際のマシンでの走行は今回が初めてなので、すぐに感覚をつかむ必要があります」
この1週間はイギリス・ミルトンキーンズのファクトリーで準備を重ねてきた。
角田は「鈴鹿に入ってからも同じ姿勢で臨む」としたうえで、「マックスから多くを学び、チームのためにできる限り多くの成果を持ち帰りたい。速く走って、多くのフィードバックを届け、マシンをより良くしていくのが目標です」と締めくくった。
鈴鹿では、ホンダF1初優勝を飾った名車「RA272」へのオマージュとしてデザインされたスペシャルリバリーの「RB21」をドライブする。
さらに、歌舞伎俳優でF1日本グランプリ公式アンバサダーの市川團十郎さんがデザインの監修を務めた、日本の伝統芸能「歌舞伎」からインスピレーションを得た特別なデザインのヘルメットを着用する。
copyright @yukitsunoda07
歌舞伎俳優でF1日本グランプリ公式アンバサダーの市川團十郎さんがデザインの監修を務めた角田裕毅(レッドブル・レーシング)の歌舞伎をテーマにしたF1日本GPスペシャルヘルメット (4)
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歌舞伎俳優でF1日本グランプリ公式アンバサダーの市川團十郎さんがデザインの監修を務めた角田裕毅(レッドブル・レーシング)の歌舞伎をテーマにしたF1日本GPスペシャルヘルメット (3)
このヘルメットには、市川家に代々伝わる歌舞伎十八番「暫(しばらく)」をモチーフに、赤い隈取(くまどり)と仁王襷(におうだすき)が力強くあしらわれている。さらに後頭部には、角田選手のカーナンバー「22」が團十郎さんの直筆で描かれ、日本文化を象徴する意匠が随所に取り入れられている。