
忌み嫌われた角田裕毅、昇格の扉を閉ざした”ニューウェイ激怒”の一件—マルコ明かす…鬼才設計車両には一生乗れない?
角田裕毅は、今週末に開催される2025年F1第3戦日本GPで、念願のレッドブル・レーシングでのデビューを果たすが、2021年の“あの一件”と、それに対するエイドリアン・ニューウェイの怒りがなければ、もっと早くこのチャンスを掴んでいた可能性がある。
レッドブルのモータースポーツ・アドバイザー、ヘルムート・マルコは、鈴鹿でのレースを前にオーストリア紙『クライネ・ツァイトゥング』のインタビューに応じ、角田の昇格を巡る舞台裏とチーム内での評価の変化について語った。
昇格を阻むきっかけとなった「2022年の一件」
マルコによれば、2022年のF1第10戦イギリスGPで発生したチームメイト同士の接触事故が、角田の評価を大きく損ねる転機となったという。
当時のチームメイト、ピエール・ガスリーと7位争いを展開していた角田は、11周目のターン3でイン側から仕掛けた際にリアが滑り、マシン後部がガスリーのマシンに接触。ガスリーはこの影響でリタイアを余儀なくされた。
Courtesy Of Pirelli & C. S.p.A.
クラッシュを経てフロントウイングを引きずりながらピットに戻る角田裕毅(アルファタウリ)、2022年7月3日F1イギリスGP
この接触はチーム内でも問題視されたが、影響はそれだけに留まらなかった。飛び散った翼端板の一部が、首位を走行していたマックス・フェルスタッペンのマシンのフロアに衝突。これにより、レッドブルは優勝のチャンスを失った。
2025年シーズンの開幕に先立ち、角田ではなくリアム・ローソンを昇格させるという「誤った判断」を下したことについて、マルコは「多くの出来事は、たったひとつの出来事に起因することが多い」と述べた上で、先の一件に触れて次のように振り返った。
「当時、エイドリアン・ニューウェイは激怒していた。あの一件以来、彼にとってユーキは“忌み嫌う怒りの対象”になった。だが、今やニューウェイはチームを去り、ユーキは大きく改善した」
空力の鬼才としてF1史に名を刻む天才デザイナー、ニューウェイは、2024年シーズン限りでレッドブル・レーシングを離れ、2026年よりホンダとタッグを組むアストンマーチンに移籍した。新天地ではマネージング・テクニカル・パートナー兼株主としての役割を担う。
2021年の一件は、仮に角田が将来的にアストンへの移籍を検討する場合にも、障害となり得るという点で大きな意味を持つかもしれない。
Courtesy Of Aston Martin Lagonda Limited
エイドリアン・ニューウェイとローレンス・ストロール、アストンマーチンF1チームのファクトリーにて、2024年9月10日
マルコはまた、これまで角田が昇格に至らなかった背景について、「長らく彼は一貫性を欠き、時に軽率なミスを重ねるドライバーと見なされていた」と説明した。
「例えば、昨年のメキシコGPでは、そうした評価が決定的なものになった。一方のローソンは逆に、プレッシャーのかかる状況でも即座に結果を出していた」
それでもマルコは、角田ではなくローソンを昇格させた決断について、「今にして思えば、正しくなかった」と認めている。