モンテカルロ市街地コースで行われるF1モナコGPのプレスカンファレンスで語らうレッドブルのセルジオ・ペレスとアルファタウリの角田裕毅ー2023年F1モナコGP
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ペレス、角田裕毅の昇格を支持―フェルスタッペン相手に「耐えうるマインドがある」“過酷な2ndシート”を知る男のエール

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レッドブル・レーシングから2024年末に契約を打ち切られたセルジオ・ペレスが、後任として昇格した角田裕毅にエールを送った。優勝6回、キャリア通算281戦を誇るベテランドライバーは、11歳年下の日本人ドライバーの活躍に期待を寄せている。

ペレスはF1公式サイトのインタビューで、「ユーキには才能もスピードもあるし、何よりも、この役割に耐えられるだけのメンタリティがある。成功してほしい」と語り、マックス・フェルスタッペンのチームメイトという難しい役割を担う準備が整っていると評価した。

レッドブル昇格後、角田裕毅の担当レースエンジニアは、ペレスとタッグを組んでいたリチャード・ウッドが務める。

ペレスは、「チームの成功を心から願ってる。僕の大親友のウッディ(ウッド)がこれからユーキを担当するし、彼らには本当に上手くやってほしいと思ってる」と付け加えた。

オーストラリア・メルボルンで行われたレッドブル・アンシリアス・レースに参加するセルジオ・ペレス(レッドブル)と角田裕毅(RBフォーミュラ1)、2024年3月20日(水)F1オーストラリアGPCourtesy Of Red Bull Content Pool

オーストラリア・メルボルンで行われたレッドブル・アンシリアス・レースに参加するセルジオ・ペレス(レッドブル)と角田裕毅(RBフォーミュラ1)、2024年3月20日(水)F1オーストラリアGP

角田が手にした苦難の”セカンドシート”

レッドブルのセカンドシートは、F1グリッドの中でも最も維持が難しいポジションとして知られる。

ペレス自身も2024年シーズンに調子を崩し、チームはコンストラクターズタイトルを逃した。その結果、契約を早期に打ち切られ、代わってリアム・ローソンが昇格するも、開幕2戦で期待された結果を出せず、第3戦日本GPを前に角田の昇格という急展開に至った。

ペレスは、自身が過去に直面した困難が、ようやく理解され始めていると感じている。

「特に昨年は、自分が何をできるかを示せる状況じゃなかった。でも今になって突然、このクルマを運転することがどれだけ難しいか、ようやく多くの人が気づき始めたんだ」とペレスは語る。

「僕がレッドブルに加入した時も、アレックス(アルボン)やピエール(ガスリー)といった素晴らしいドライバーたちが苦しんでいた。僕がレッドブルに長く在籍していたことで、みんなその難しさを忘れてしまっていたんだ」

「僕にとっては、すごくシンプルなことだった。あのクルマは兎に角、100%のパフォーマンスを引き出すのが難しく、自信を持つことも簡単じゃない。それに、僕が苦労していた部分については、エイドリアン(ニューウェイ)ですら認めていたんだ」

ガレージに立つセルジオ・ペレス(レッドブル)、2024年12月1日(日) F1カタールGP決勝レース(ロサイル・インターナショナル・サーキット)Courtesy Of Red Bull Content Pool

ガレージに立つセルジオ・ペレス(レッドブル)、2024年12月1日(日) F1カタールGP決勝レース(ロサイル・インターナショナル・サーキット)

見据える2026年F1復帰、一方で条件も

2025年シーズンの開幕をパドックの外から見守るペレスだが、自身のキャリアが終わったとは考えていない。

複数のチームから打診を受けていると明かしたうえで、「もし自分にとって納得できるプロジェクトがあり、僕のキャリアや経験、チームへのこれまでの貢献を評価してくれるなら、それは非常に魅力的な選択肢になるだろう」と語った。

キャデラックの超高級電気自動車「セレスティック」のハンドメイドプレートCourtesy Of General Motors

キャデラックの超高級電気自動車「セレスティック」のハンドメイドプレート

現在、最も有力な移籍先とされているのが、2026年からF1に参戦するキャデラックだ。同チームは、ペレスの起用を真剣に検討しているとみられる。

「最低でも6カ月間は時間をかけて、あらゆる選択肢をテーブルの上に並べた上で、今後のキャリアについて判断するつもりだ。面白そうなプロジェクトがいくつかあるし、アブダビGP以降、いくつかのチームから連絡をもらっている」とペレスは語る。

「今はまだシーズンが始まったばかりだけど、これから数カ月のうちに状況は動き出すはずだ。複数のチームと話をしている最中で、すべての選択肢が見えた時点で最終的な決断を下すつもりだ」

「はっきりしているのは、“意味のあるプロジェクト”でなければ復帰しないということ。そして、そのプロジェクトが僕にとって楽しいものであることが大前提だ」

「F1ではほとんどのことを経験してきたし、長い時間を費やしてきた。距離を置いてみると、このスポーツでどれだけ多くのものを犠牲にしてきたかが、よく分かるようになった。だからこそ、戻るならば、100%の覚悟とモチベーションを持って臨む必要があるんだ」

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