
ローソン降格で現実味を帯び始めた?ペレスとキャデラックの早期合意
2026年シーズンからF1に新規参戦するキャデラックは、昨年末にレッドブルのシートを失い“浪人”状態にあるセルジオ・ペレスに注目している。1978年のF1ワールドチャンピオンであり、同チームの顧問を務めるマリオ・アンドレッティが、ペレスの起用を検討していることを事実上認めた。
アンドレッティはESPNのインタビューで「2つ目のシートには経験豊富で現在フリーのドライバーを起用するつもりだ」と語り、「具体的な名前は挙げられないが、現実的な候補は3人いる」と説明。その上で、「ペレスはそのうちの1人か」と問われると、「彼は選択肢の一人だ。それは当然、もちろんあり得る」と明言した。
この発言は、ペレス本人が最近のインタビューで語った内容とも一致する。ペレスは「今後のキャリアにとって次の一歩は非常に重要だ。だからこそ、時間をかけて最良の決断を下したい」と述べ、「複数の選択肢がある」と示唆していた。
元F1ドライバーのフアン・パブロ・モントーヤも、ペレスが家庭との時間を重視しつつ、復帰に前向きであるとの見方を示しており、復帰先の有力候補としてキャデラックを挙げている。
レッドブルでのペレスの終幕は「早期契約解除」というある種、ドライバーとしての評価を下げかねないものではあったが、キャデラックはペレスの実力に何ら懸念を抱いていない。むしろ、その後任ドライバーの苦戦がペレスの再評価につながったようだ。
ペレスの後任として抜擢されたリアム・ローソンは開幕2戦で無得点に終わり、第3戦日本GPを前にレーシング・ブルズへ降格となった。
アンドレッティは「はっきり言えるのは、リアム・ローソンの走りがチェコ(ペレス)を非常に良く見せているということだ」と述べた。
また、ローソンの後任として鈴鹿でレッドブルデビューを果たす角田裕毅についても言及し、「ツノダの方がリアムよりもあのシートにふさわしかったと思う。私が言うことではないがね」と語った。
レッドブル、フォース・インディア、マクラーレン、ザウバーの4チームで281戦に出走し、複数の優勝を経験、さらにコンストラクターズ選手権制覇にも貢献したペレスは、依然として高い評価を受けており、即戦力としての実力に加え、マーケティング的価値も備えた存在といえる。
キャデラックの第一希望とされるアメリカ人インディカードライバーのコルトン・ハータについては、F1参戦に必要なスーパーライセンスの取得が今季の成績に依存しており、不確定要素が残る。
こうした状況下において、キャデラックは少なくとも1つのシートを早期に確定させる必要があると考えられており、ドライバーラインナップをめぐるレッドブルの混乱も相まって、豊富な経験を有するペレスとの交渉、そして早期合意の可能性が徐々に現実味を帯び始めてきているようだ。