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アジア最高峰のモータースポーツカテゴリと言われる全日本スーパーフォーミュラ選手権(SF)。シャシー(ダラーラ製車体)、タイヤ(横浜ゴム)は全チーム共通、エンジンはホンダとトヨタの2つのメーカーが供給、そのため各マシン毎の差が小さくF1などに比べてドライバーの能力差が出やすいと言われる。
今季2017年はBSフジテレビで決勝レースが全戦無料生中継される。2014年F1に匹敵する程の速さ、F1参戦経験ドライバー4名、昨年シリーズ4位のストフェル・バンドーンがF1のマクラーレン・ホンダに移籍するなど、注目の度合いは年々高まっている。
名前は聞いたことあるけどチームとかドライバーとかは詳しく知らない、そんなスーパーフォーミュラ初心者向けに、ドライバーとチーム情報、そして開催日程を分かりやすく紹介する。
開催日程
2013年に設立され今年で4年目を迎えるスーパーフォーミュラは、今年全11チーム・19人で年間7戦を戦いタイトルを決定する。開幕戦と最終戦は、本田技研のお膝元「鈴鹿サーキット」で行われる。
Round | Date | Circuit |
---|---|---|
第1戦 | 4月22日(土) / 23日(日) | 鈴鹿サーキット |
第2戦 | 5月27日(土) / 28日(日) | 岡山国際サーキット |
第3戦 | 7月8日(土) / 9日(日) | 富士スピードウェイ |
第4戦 | 8月19日(土) / 20日(日) | ツインリンクもてぎ |
第5戦 | 9月9日(土) / 10日(日) | オートポリス |
第6戦 | 9月23日(土) / 24日(日) | スポーツランドSUGO |
第7戦 | 10月21日(土) / 22日(日) | 鈴鹿サーキット |
参戦リスト一覧
トヨタ系マシンは11台ホンダ系は8台と、若干トヨタ勢が多い。国際志向のレースなだけに外国人ドライバーは6名がエントリー。
Team | No. | Driver | Engine |
---|---|---|---|
( セルモ・インギング) |
CERUMO・INGING1 | 国本雄資 | トヨタ |
2 | 石浦宏明 | トヨタ | |
KONDO RACING (コンドー・レーシング) |
3 | キャシディ | トヨタ |
4 | 山下健太 | トヨタ | |
( チーム・ルマン) |
TEAM LEMANS7 | ローゼンクヴィスト | トヨタ |
8 | 大嶋和也 | トヨタ | |
REAL RACING (リアル・レーシング) |
10 | 塚越 広大 | ホンダ |
TEAM MUGEN (チーム・ムゲン) |
15 | ガスリー | ホンダ |
16 | 山本 尚貴 | ホンダ | |
KCMG (ケーシーエムジー) |
18 | 小林可夢偉 | トヨタ |
( チーム・インパル) |
TEAM IMPUL19 | 関口雄飛 | トヨタ |
20 | マーデンボロー | トヨタ | |
( チーム・トムス) |
TEAM TOM’S36 | ロッテラー | トヨタ |
37 | 中嶋一貴 | トヨタ | |
( ダンデライアン ) |
DANDELION40 | 野尻 智紀 | ホンダ |
41 | 伊沢 拓也 | ホンダ | |
B-Max (ビーマックス ) |
50 | 小暮 卓史 | ホンダ |
( ナカジマ・レーシング) |
NAKAJIMA RACING64 | 中嶋 大祐 | ホンダ |
65 | カーティケヤン | ホンダ |
以下に各チーム及びドライバーの概要を紹介していく。チーム名、ドライバー名は読み方を併記、チーム名については分かりづらいものが多いので、極力その由来も紹介するように心がけた。
P.MU/CERUMO・INGING
チーム総監督にF1で活躍した元タイヤエンジニアの浜島裕英を有するピーエムユー・セルモ・インギング。2016年のドライバータイトルを獲得した国本雄資と、2015年の王者である石浦宏明の2名がドライバーを務める。レーシングチームを運営してきたINGINGとCERUMO、そしてブレーキ部品の製造販売をてがけるプロジェクト・ミューによるチームである。
- 監督
- 立川 祐路
- ドライバー
- 国本 雄資
石浦 宏明 - エンジン
- トヨタ
- 本拠地
- 山口県周南市
- WEBサイト
- inging.co.jp
国本雄資 / Yuji Kunimoto #1
神奈川県横浜市出身の27歳。全日本F3、SUPER GTなどで活躍。昨年のスーパーフォーミュラのチャンピオン。今季はトヨタから世界耐久選手権(WEC)への参戦が決定している。
石浦宏明 / Hiroaki Ishiura #2
東京都世田谷区出身の35歳。高校生でカートデビュー、その初戦でポール・トゥ・ウインを決めた挙句にコースレコードを記録するという派手な逸話を持つ。2015年のスーパーフォーミュラのチャンピオン。
KONDO RACING
マッチこと、近藤真彦がオーナー兼監督を務めるコンドー・レーシング。近藤自身が代表を勤めている株式会社エムケイカンパニーが運営。2016年シリーズは年間8位。今季はドライバーラインナップを一新し勝負をかける。
- 監督
- 近藤 真彦
- ドライバー
- ニック・キャシディ
山下健太 - エンジン
- トヨタ
- 本拠地
- 東京都港区
ニック・キャシディ / Nick Cassidy #3
ニュージーランド出身の22歳。ニュージーランド・トヨタ・レーシングシリーズの2012年・2013年シリーズチャンピオン。「トヨタレーシング・シリーズで最も成功したドライバー」と呼ばれる。2015年に来日し全日本F3チャンピオンを獲得。SFは今季初参戦。
山下健太 / Kenta Yamashita #4
千葉県千葉市出身の22歳。2016年の全日本F3チャンピオン。昨年の11月に行われたスーパーフォーミュラ・ルーキードライバーテストにKONDO RACINGから参加し、17年のレギュラードライバーの座を掴んだ。一番の成長株?
SUNOCO TEAM LEMANS
スノコ・チーム・ルマンは、1970年代から国内の様々なモータースポーツに参戦している老舗のレーシングチーム。フォーミュラ・ニッポン初年度にはラルフ・シューマッハを起用し初代チャンピオンを輩出、2015年・16年には小林可夢偉を起用しスーパーフォーミュラを戦うなど、実績と同時に話題性も多い。
- 監督
- 山田 健二
- ドライバー
- フェリックス・ローゼンクヴィスト
大嶋和也 - エンジン
- トヨタ
- 本拠地
- 静岡県御殿場市
- WEBサイト
- teamlemans.co.jp
フェリックス・ローゼンクヴィスト / Felix Rosenqvist #7
スウェーデン出身の25歳。2015年の欧州F3チャンピオンであり、マカオグランプリ2連覇を成し遂げた唯一のドライバー。今季よりスーパーフォーミュラに参戦する。
大嶋和也 / Kazuya Oshima #8
群馬県出身の29歳。全日本ラリー選手権のドライバーを父に持つ2007年の全日本F3チャンピオン。2015年に中嶋一貴の代役としてスポット参戦経験はあるものの、スーパーフォーミュラへのフル参戦は今期が初めてとなる。
REAL RACING
リアル・レーシングはドイツDTMに日本人として初のフル参戦を果たした元レーシングドライバーの金石勝智が代表を務めるチーム。2007年に設立され、以降SUPER GT、フォーミュラ・ニッポン、スーパーフォーミュラに参戦し続けている。リアル・レーシングは1台のみのエントリー。
- 監督
- 山田 健二
- ドライバー
- 塚越広大
- エンジン
- ホンダ
- 本拠地
- 東京都港区
- WEBサイト
- real-racing.jp
塚越広大 / Koudai Tsukakoshi #10
栃木県日光市出身の30歳。2004年に鈴鹿サーキットレーシングスクール・フォーミュラ(SRS-F)を首席で卒業、2009年フォーミュラ・ニッポンのルーキー・オブ・ザ・イヤー。スーパーフォーミュラ設立初年度の2013年からREAL RACINGに所属。
TEAM MUGEN
チーム・ムゲンは、ホンダ車用のアフターパーツの製造販売を手がけるブランド「無限」のチーム、今季はRed Bullとタッグを組んでの参戦となる。昨年GP2チャンピオンを獲得したレッドブルのサードドライバー、ピエール・ガスリーと、山本尚貴の2台体制で挑む。
- 監督
- 手塚長孝
- ドライバー
- ピエール・ガスリー
山本尚貴 - エンジン
- ホンダ
- 本拠地
- 埼玉県朝霞市
- WEBサイト
- mugen-power.com
ピエール・ガスリー / Pierre Gasly #15
フランス出身の21歳。2015年にレッドブルのリザーブドライバーに就任し、2016年にはGP2タイトルを獲得。シーズン前の公式テストで初めてSFマシンをドライブしホンダ勢トップとなる総合3位を記録、関係者の度肝を抜いた。
山本 尚貴 / Naoki Yamamoto #16
栃木県宇都宮市出身の28歳。妻はテレビ東京アナウンサーの狩野恵里。スーパーフォーミュラ設立初年度からチーム無限に所属、初代チャンピオン。2006年に鈴鹿サーキットレーシングスクール・フォーミュラ(SRS-F)に入校、以降ホンダお抱えのドライバーとして全日本F3、SUPER GT等に参戦。
KCMG
ケーシーエムジーは、香港を拠点にアジア各国でモータースポーツ活動を行うチームであり、スーパーフォーミュラ唯一の外国系チームである。チーム・ルマンから移籍した元F1ドライバーの小林可夢偉の1台体制で挑む。
- 監督
- 土居隆二
- ドライバー
- 小林可夢偉
- エンジン
- トヨタ
- 本拠地
- 静岡県裾野市
- WEBサイト
- kcmg.com.hk
小林可夢偉 / Kamui Kobayashi #18
兵庫県出身の30歳。トヨタF1チーム、ザウバー、ケータハムでF1を戦った後、日本へ帰国。2015年よりスーパーフォーミュラに参戦しながら、トヨタワークスからFIA世界耐久選手権(WEC)を戦う。
ITOCHU ENEX TEAM IMPUL
1983年より国内のモータースポーツカテゴリに参戦し続けている老舗チーム。元レーシングドライバーであり日本一速い男と呼ばれた星野一義が監督を務める。伊藤忠エネクス株式会社がメインスポンサーを務めているため”イトウチュウ・エネクス・チーム・インパル”というチーム名でエントリーしている。
- 監督
- 星野一義
- ドライバー
- 関口雄飛
ヤン・マーデンボロー - エンジン
- トヨタ
- 本拠地
- 静岡県御殿場市
- WEBサイト
- impul.co.jp
関口雄飛 / Yuhi Sekiguchi #19
東京都中野区出身の29歳。2011年全日本F3選手権チャンピオン。昨年からチーム・インパルよりスーパーフォーミュラに参戦し2勝を挙げシリーズ3位を獲得。目立つ結果は少ないものの、次のF1ドライバーにふさわしいとの声も多い注目株。
ヤン・マーデンボロー / Jann Mardenborough #20
イギリス出身の29歳。父はプロサッカー選手のスティーヴ・マーデンボロー。2011年、9万人が参加したPlayStation3ゲーム”グランツーリスモ”の世界大会で優勝。この大会の優勝者はプロのレーサーになる権利が与えられることになっており、マーデンボローはゲーマーからレーサーへと転身。日産・ニスモチームに所属しながら世界耐久選手権のLMP1、欧州F3、GP3などを経て今季よりスーパーフォーミュラに参戦する。
VANTELIN TEAM TOM’S
チーム創設者である舘(Tachi)と大岩(Oiwa)、そしてモータースポーツ(Motor Sports)の頭文字を取って名付けられたチーム・トムス。設立は1974年と古く、一時はトヨタのワークス活動を委託されていた事もあるほどトヨタとの関係が深い。F1での走行経験を持つ中嶋一貴とアンドレ・ロッテラーの2人のドライバーを有する。
- 監督
- 舘信秀
- ドライバー
- アンドレ・ロッテラー
中嶋一貴 - エンジン
- トヨタ
- 本拠地
- 静岡県御殿場市
- WEBサイト
- tomsracing.co.jp
アンドレ・ロッテラー / Andre Lotterer #36
©Formula1-data
ドイツ出身の35歳。2011年のフォーミュラ・ニッポン王者。ル・マン24時間レースにはアウディから参戦し11年、12年、14年の3度総合優勝を成し遂げている。2014年にはF1ベルギーGPに小林可夢偉に代わりケータハムから参戦し、F1デビューを果たしている。
中嶋一貴 / Kazuki Nakajima #37
愛知県岡崎市出身の32歳。父は元F1ドライバーの中嶋悟、弟はTCS NAKAJIMA RACINGのレギュラードライバーを務める中嶋大祐。2007年からの3年間をウィリアムズからF1に参戦、帰国後はフォーミュラ・ニッポン、世界耐久選手権などに出場。2014年のスーパーフォーミュラ・チャンピオン。
DOCOMO TEAM DANDELION RACING
ドコモ・チーム・ダンデライアン・レーシングは1991年に設立された有限会社ダンディライアンが運営するチーム。チームの運営資金捻出のために1993年にNTT移動通信網(現・NTTドコモ)に飛び込み営業をかけて以来、同社がメインスポンサーを務めている。2017年にマクラーレン・ホンダのレギュラードライバーとなったストフェル・バンドーンに代わり、今季は伊沢拓也がチームに加入。
- 監督
- 村岡潔
- ドライバー
- 野尻 智紀
伊沢 拓也 - エンジン
- ホンダ
- 本拠地
- 兵庫県西宮市
- WEBサイト
- dandelion-racing.com
野尻智紀 / Kazuki Nakajima #40
©Formula1-data
茨城県出身の27歳。幼少期からレーシングカートスクールに通い、2007年に渡欧し様々なカテゴリに参戦。2008年に鈴鹿サーキットレーシングスクール・フォーミュラ(SRS-F)を首席で卒業、以降ホンダのお抱えドライバーに。スポーツ観戦が趣味のレーシングドライバー。
伊沢拓也 / Takuya Izawa #41
東京都出身の32歳。2002年に鈴鹿サーキットレーシングスクール・フォーミュラ(SRS-F)を首席で卒業、2014年にARTグランプリからGP2に参戦した後、日本に帰国。15年、16年とREAL RACINGからスーパーフォーミュラを戦い今年TEAM DANDELIONに移籍。期待された結果を出せておらず、本人は今年が最後のチャンスと語る。
B-Max Racing team
今季初参戦となるビーマックス・レーシング・チームは、自動車の試作の請負等を手がける屏風浦工業株式会社(びょうぶがうらこうぎょう)が運営するチーム。全日本F3、SUPER GTなどには参戦していたが、SFは今年が初めて。スタッフや設備が不足する中、ホンダのサポートを受けての参戦となる。
- 監督
- 組田龍司
- ドライバー
- 小暮 卓史
- エンジン
- ホンダ
- 本拠地
- 神奈川県綾瀬市
- WEBサイト
- b-maxracingteam.com
小暮 卓史 / Takashi Kogure #50
群馬県出身の36歳。2002年の全日本F3チャンピオン。ホンダ系ドライバーの多くはSRS-Fの出身者であるが、小暮はSRS-Fの卒業生ではない珍しいドライバー。SF参戦の日本人ドライバーとしては最年長のベテラン。
TCS NAKAJIMA RACING
元F1ドライバーの中嶋悟が運営するティーエスシー・ナカジマ・レーシング。今季からインド人のナイレン・カーティケヤンをドライバーに迎えるとともに、インド3大財閥であるタタ・グループ参加のソフトウェア会社”タタコンサルタンシー・サービシズ”がメインスポンサーを勤める。
- 監督
- 中嶋悟
- ドライバー
- 中嶋大祐
ナレイン・カーティケヤン - エンジン
- ホンダ
- 本拠地
- 東京都渋谷区
- WEBサイト
- nakajimaracing.co.jp
中嶋大祐 / Daisuke Nakajima #64
愛知県出身の27歳。チーム監督である中嶋悟の次男。兄はチーム・トムスの中嶋一貴。一貴はトヨタの支援を受け、大祐はホンダの支援を受けている。2006年鈴鹿サーキットレーシングスクール・フォーミュラを卒業、イギリスF3、フォーミュラ・ニッポン参戦などを経て、2013年よりナカジマ・レーシングからスーパーフォーミュラに参戦している。
ナレイン・カーティケヤン / Narain Karthikeyan #65
インド出身の40歳。今季スーパーフォーミュラ参戦ドライバーの中では最年長。ジョーダン、ウィリアムズ、ヒスパニア・レーシングなどからF1を戦い、2014年からスーパーフォーミュラに参戦。カーティケヤンは遡ること16年前の2001年に来日しフォーミュラ・ニッポンを戦っており、意外と日本との関係が深い。