2025年4月23日、インディアナポリス・モーター・スピードウェイで実施された第109回インディアナポリス500マイルレース（インディ500）の公式テスト初日に、佐藤琢磨（レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング）が3番手タイムを記録。3度目の制覇に向けて好調な滑り出しを見せた。

この日最速を記録したのは、6度のシリーズ王者スコット・ディクソン（チップ・ガナッシ・レーシング）で、225.182mphをマーク。2番手にはジョセフ・ニューガーデン（チーム・ペンスキー）が225.125mphで続いた。佐藤はディクソンに0.0201mph差で迫り、トップ3に食い込んだ。

佐藤は今季、インディカー・シリーズにフル参戦しておらず、インディ500のみスポット参戦する。225.069mph（約362.2km/h）というタイムで常連のトップドライバーたちと肩を並べたこの日の結果は、テスト初日に過ぎないとは言え、準備の入念さ、佐藤のコンディション、そしてクルマの完成度を示すものとして注目される。

2番手ニューガーデンを除き、上位10台中9台をホンダエンジン搭載車が占めるなど、初日はホンダ勢のパフォーマンスが際立った。スリップストリームの影響を受けない“ノートウ”ラップにおいても、フェリックス・ローゼンクヴィストが220.835mphで最速を記録し、アレックス・パロウ（チップ・ガナッシ・レーシング）と佐藤がこれに続き、ホンダ勢がトップ3を独占した。

インディカー・シリーズは、昨年の第9戦ミッドオハイオから、2.2リッターV型6気筒ツインターボエンジンをベースとしたシリーズ初のハイブリッド・パワーユニットを導入した。100年以上の伝統を持つインディ500でハイブリッドが使用されるのは、今年が初めてとなる。

ディクソンはこの点について「幾つかの要素が加わって、すごく興味深い。レース展開にはかなり影響すると思うし、最終的には予選にも影響するかもしれない」と語った。

今年のインディ500には計34台がエントリーしており、1台が予選で脱落する見通しだ。佐藤は、マルコ・アンドレッティ、デブリン・デフランチェスコ、カラム・アイロット、カイル・ラーソンとともにベテラン向けリフレッシュテストを完了。一方、ジェイコブ・エイベル、ルイ・フォスター、ロバート・シュワルツマンの3名はルーキー・オリエンテーションを完了した。

今年のレースでは、ニューガーデンが史上初の3連覇を狙うなか、スコット・ディクソンやアレックス・パロウが挑戦者として名を連ねる。そんな中で、佐藤が持つ経験と実績が再び光を放つのか注目される。

6時間以上に及んだテスト初日にイエローコーションは一度だけ。終了13分前にグレアム・レイホール（RLL）がターン3でセーファーバリアに2度接触したが、幸いにもクラッシュには至らなかった。

テストは木曜日も継続され、午前のセッションでは「ファスト・フライデー」（5月16日）や予選（5月17～18日）と同様の高出力ターボブースト設定での走行が許可される。午後にはレース用の低ブースト設定に戻され、今週最後のセッションが行われる予定だ。

インディ500に向けたプラクティスは5月13日に本格始動し、5月25日の決勝に向けて各陣営が最終調整を進めていく。

第109回インディ500テスト初日総合結果

第109回インディ500テスト初日”ノートウ”結果