2019年F1シンガポールGP表彰台セレモニーの様子
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ベッテル 一年ぶりの勝利でフェラーリ1-2、ホンダは3位表彰台 / F1シンガポールGP《決勝》結果とダイジェスト

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12年目の開催を迎えたナイトレース。2019シーズンF1世界選手権 第15戦シンガポールGP決勝レースが9月22日に行われ、予選3番グリッドのセバスチャン・ベッテルが後続を2.6秒引き離し、今季初、通算53度目、昨年のベルギーGP以来となる1年ぶりの勝利を飾った。

2位はポールシッターのシャルル・ルクレール。下馬評で苦戦が予想されていたフェラーリが今季初の1-2フィニッシュを果たし、2008年以来となる3連勝を挙げた。3位表彰台には、4番グリッドからスタートしたレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンが滑り込んだ。表彰台セレモニーにチャンピオンシップをリードするメルセデスの姿はなかった。

ホンダ勢はレッドブルのアレックス・アルボンが6位、スクーデリア・トロロッソのピエール・ガスリーが8位入賞を果たし、3台がトップ10圏内でフィニッシュした。ダニール・クビアトは接触事故の影響もあり15位完走という結果に終わった。

前戦イタリアから2週間後に行われた後半戦フライアウェイの初戦の舞台は、人工照明下で行われるナイトレースが特徴のマリーナベイ市街地コース。決勝は、日本時間22日(日)21時10分にブラックアウトを迎え、1周5,063mのコースを61周する事で争われた。

闇夜に浮かぶマリーナベイ市街地コース
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日曜の現地ダウンタウン・コアは晴れ、チャンピオンシップポイントを争う決勝のフォーメーションラップは気温30.1℃、路面37.1℃、湿度67.6%のドライコンディションで開始された。公式タイヤサプライヤーの伊ピレリは、最も柔らかいレンジのC3からC5までのコンパウンドを投入。レースでは最低2種類のコンパウンドを使用する義務があり、1ストップを狙う多くのチームはハードタイヤを第二スティントに投入した。

前日21日(土)に開催された予選では、シャルル・ルクレールがルイス・ハミルトンを抑えて3戦連続となるポールポジションを獲得。2列目にはバルテリ・ボッタスとマックス・フェルスタッペンが並んだ。

レース概要

シンガポールGPは、1周の平均速度が160km/hほどと遅く、高温多湿の厳しい環境も手伝ってアクシデントが多発することから、例年長く厳しいレースとなる。今年のレースも3度のセーフティーカー導入があり、キミ・ライコネン(Alfa Romeo)、セルジオ・ペレス(Racing Point)、ジョージ・ラッセル(Williams)の計3台がチェッカーを受けることなくリタイヤを喫した。

注目のオープニングラップでは、上位陣に大きな混乱はなかったものの、スタート直後の1コーナーでダニエル・リカルド(Renault)の右フロントタイヤとラッセルのフロントウィングが接触し、ラッセルが緊急ピットインを強いられた。また、続くターン5ではニコ・ヒュルケンベルグ(Renault)とカルロス・サインツ(Mclaren)が接触。両者ともにピットへと駆け込んだ。

リカルドはMGU-Kのパワー超過によって予選失格処分となり最後尾スタート。その上、ターン1でアクシデントに見舞われツキの無さを感じさせたが、その後は鬱憤を晴らすかのごとく鬼気迫るベースを刻み、19周目に10番手にまで巻き返す圧倒的な走りをみせた。

その後リカルドは8番手までポジションを上げるも、34周目にアントニオ・ジョビナッツィ(Alfa Romeo)に仕掛けた際に接触。タイヤがパンクしたことで余計なビットウィンを強いられ18番手にまで転落。振り出しに戻ってしまい、最終14位でチェッカーを受けた。

リアタイヤのオーバーヒートに苦しんだか、12番手を走行していたクビアトは、10周目を過ぎた辺りから失速し、立て続けに3台にオーバーテイクを許した。チームは12周目という早い段階でピットインを指示。ハードタイヤへと交換して18番手でコースへと送り出した。クビアトはその後、ファステストラップを刻み猛追を開始。一時は12番手にまでポジションを上げたものの、トップ10圏内を走行する事はなかった。

勝敗を決したピット戦略

ポールシッターのシャルル・ルクレールは危なげないスタートを切りトップの座を守ったが、予選ラップの13秒落ちという非常に遅いペースで走行を続けたため、隊列が縦に長く連なることとなった。

上位勢が動いたのは20周目。3番手を走行してたベッテルがいち早くピットへ入ると、4番手を走行していたフェルスタッペンもこれに呼応する形でピットイン。両者のポジションは変わらなかったが、その翌周にピットインしたルクレールは、ベッテルにアンダーカットを許す格好となりポジションを落とした。とは言え、チームとしては先にベッテルを入れたことで1-2体制を築く事に成功した。

ライバルがピットストップに動いた一方で、メルセデスはステイアウトを選択。23周目になってようやくバルテリ・ボッタスをピットへと呼び、9番手でコースに送り出した。ハミルトンがピットに入ったのは27周目。完全に機を逃した。ハミルトンへのボックスの指示を出す前に、ピットはボッタスに対してペースを抑えるよう指示。ボッタスを壁として使い、その後方を走行していたアルボンを抑える事でハミルトンが戻れるスペースを確保した。ハミルトンはフェルスタッペンの後方8番手でコースに戻る事となり、順位を落とした。

事実上の先頭に躍り出たベッテルはその後、第1スティントを引っ張るミッドフィールドの集団を次々に攻略。31周目にジョビナッツィをオーバーテイクして隊列の先頭に躍り出た。

20台の中で唯一ハードタイヤでのスタートを選択したガスリーは、堅実なスタートを切ってポジションをキープ。第一スティント引き伸ばす戦略に出て、3番手を走行していた33周目にピットイン。ミディアムタイヤに履き替え16番手でコースに復帰した。

中盤以降はセーフティーカー祭り

細々としたアクシデントはあったものの、36周目に静寂が破られた。アグレッシブに仕掛けたロマン・グロージャン(Haas)が前を走行していたラッセルに接触。ウィリアムズのマシンは大きなダメージを負い、セーフティカーが導入された。このアクシデントによりラッセルはリタイヤ。グロージャンはフロントウイングの交換を強いられた。

レースは41周目にリスタートを迎えるも、その翌周にランス・ストロールがパンクし最後尾に後退。レーシングポイントのガレージ内にため息が漏れる中、43周目にはセルジオ・ペレスがメカニカルトラブルに見舞われスローダウン。再びセーフティーカーが導入された。

レースは48周目に再開されたが、50周目にライコネンとクビアトが接触するインシデントが発生。3度目のセーフティーカーが導入された。一件はレース後の審議とされた。

残り3周、5番手を走行していたボッタスが前を走るハミルトンとの間隔を開けアタックを開始。エキストラポイントを狙ってファステストラップを刻んだが、ピットストップを行ったばかりの最後尾17番手を走るケビン・マグヌッセン(Haas)が直後にこれを塗り替えた。

2019年F1第15戦シンガポールGP決勝リザルト

Pos No Driver Team Laps Time PTS
1 5 セバスチャン・ベッテル フェラーリ 61 1:58:33.667 25
2 16 シャルル・ルクレール フェラーリ 61 +2.641s 18
3 33 マックス・フェルスタッペン レッドブル・ホンダ 61 +3.821s 15
4 44 ルイス・ハミルトン メルセデス 61 +4.608s 12
5 77 バルテリ・ボッタス メルセデス 61 +6.119s 10
6 23 アレックス・アルボン レッドブル・ホンダ 61 +11.663s 8
7 4 ランド・ノリス マクラーレン・ルノー 61 +14.769s 6
8 10 ピエール・ガスリー トロロッソ・ホンダ 61 +15.547s 4
9 27 ニコ・ヒュルケンベルグ ルノー 61 +16.718s 2
10 99 アントニオ・ジョビナッツィ アルファロメオ 61 +17.855s 1
11 8 ロマン・グロージャン ハース・フェラーリ 61 +35.436s 0
12 55 カルロス・サインツ マクラーレン・ルノー 61 +35.974s 0
13 18 ランス・ストロール レーシングポイント 61 +36.419s 0
14 3 ダニエル・リカルド ルノー 61 +37.660s 0
15 26 ダニール・クビアト トロロッソ・ホンダ 61 +38.178s 0
16 88 ロバート・クビサ ウィリアムズ・メルセデス 61 +47.024s 0
17 20 ケビン・マグヌッセン ハース・フェラーリ 61 +86.522s 0
NC 7 キミ・ライコネン アルファロメオ 49 DNF 0
NC 11 セルジオ・ペレス レーシングポイント 42 DNF 0
NC 63 ジョージ・ラッセル ウィリアムズ・メルセデス 34 DNF 0

コンディション

天気晴れ
気温30.1℃
路面温度37.1℃
周回数61

セッション概要

グランプリ名 F1シンガポールGP
レース種別 決勝
レース開始日時

サーキット

名称 マリーナベイ市街地コース
設立 2008年
全長 5063m
コーナー数 23
周回方向 反時計回り

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