トロロッソ・ホンダのピットウォール、2018年F1シンガポールGP予選にてcopyright Honda

ホンダF1、今季3勝目に向け「PUのドライバビリティが鍵」F1シンガポールGP《preview》2019

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ホンダF1の現場統括責任者を務める田辺豊治テクニカル・ディレクターが、ナイトレースとして開催される2019年FIA F1世界選手権第15戦シンガポールGPに先立って抱負を語った。

カレンダーの中で、体力的に最もキツイのがマリーナ・ベイ・ストリート・サーキットでのレースだ。低速故に、レースは通常よりも30分ほど長い2時間近くにまで達し、高温多湿の過酷なコンディションがドライバーとマシンを襲う。ギアチェンジの回数が多く、パワーユニットのドライバビリティーが鍵を握る。

チーム自らが「レッドブル・サーキット」と称する程、ミルトンキーンズのチームはマリーナベイを得意としており、マックス・フェルスタッペンとアレックス・アルボンは、チームにとっての今季3勝目に照準を合わせている。

ホンダ:シンガポールGPに向けて

田辺 豊治ホンダF1現場責任者

ヨーロッパラウンドを終え、ここからはシーズン終盤に向けて世界各地を巡るフライアウェイレースが始まります。

シンガポールGPが行われるマリーナ・ベイ・ストリート・サーキットは、高速のスパやモンツァとは異なり、23ものコーナーで構成されるテクニカルな低速サーキットです。コーナーの数が多い事に加えて、その多くが低速であるために、パワーユニットとしては低速コーナーを速く立ち上がるためのドライバビリティーを重要したセッティングに集中的に取り組む事になります。ストリートサーキットではオーバーテイクが困難なため、予選パフォーマンスも鍵となります。

Aston Martin Red Bull Racing、Red Bull Toro Rosso Hondaともに伝統的に得意としているサーキットですので、予選とレースに向けて十分に準備をして臨みたいと思います。

マックス・フェルスタッペン

シンガポールは素晴らしいコースだし、夜の街並も最高だ。投光照明に照らされながらのドライビングは本当に楽しいし、それがこのコースをより個性的に演出してるんだと思う。とにかく通常のレースウィークとは全然違うから、僕は本当にこのイベントが大好きなんだ。

このコースは何しろ暑いし汗を大量にかくから、肉体的な要求が厳しい。でも、数多くの低高コーナーが混在しているうえに、中速コーナーにはランオフエリアが殆どなく、凄く多様性のあるサーキットだから、僕のお気に入りの1つなんだ。

それにシンガポールは、レッドブルにとって伝統的にモンツァやスパよりも相性が良い。去年のグランプリでは2位表彰台に上がったし、今年もまた良い週末を過ごせる事を願ってる。

オーバーテイクは本当に難しいから予選が重要だ。そのためにも、トラブルのない至って普通の週末を過ごしたい。アウト・オブ・ポジション(PUペナルティーなどで不相応なグリッドとなる事)からのスタートは常に厳しいからね。目指すのは最高点だ。週末が本当に楽しみだよ。

アレックス・アルボン

シンガポールGPは、シーズン後半戦最初のフライアウェイレースだ。マリーナ・ベイ・ストリート・サーキットを走るのも、シンガポールを訪れるのも僕にとっては今回が初めてだから、どんなものなのか興味があるし楽しみにしてるんだ。

聞いた話だと、湿度は高いしレースはかなり長いし、おまけに市街地コースだからミスの余地がなく、フィジカル的に最も厳しいレースみたいだね。僕はこれまで、そんな場所でレースをした事なんてないし、凄く楽しそう。

シンガポールはタイに最も近いグランプリだから、僕にとってはホームレースみたいなものだし、いつもよりたくさんの家族やスポンサーが応援に来てくれるから、よりエキサイティングな週末になるだろうね。

まずはチームと一緒にシミュレーターで準備を整えて、その後で実際にRB15に乗り込む予定だけど、スポットライトに照らされながらのドライブが本当に楽しみだよ!

ピエール・ガスリー

最終的なリザルトは僕らが望んでいたものではなかったけど、モンツァでの週末では幾つかのポジティブな手応えを得る事が出来た。金曜日のパフォーマンスは予想以上に好調だったし、日曜日のレースのペースも良かった。結果は別として、この点に満足してるからこそ、直近の2戦とは全く異なる種類のレーストラックであるにもかかわらず、ポジティブな気分でシンガポールに行くことができる。

ここはモナコと共通が多いストリートサーキットだから、最大ダウンフォース仕様のパッケージを持ち込む事になる。ストレートはモナコより少し多いけどね。僕の昨年のシンガポールは複雑な週末だったけど、トロロッソは伝統的にここで良い結果を残してきた。

このチームで今年レースをするのはシンガポールで3度目になるわけだけど、モンツァの時点で既に新しいクルマにもかなり慣れてきたし、エンジニアとの仕事のやり方に関しても一歩前進させる事ができたから、全てが噛み合って良くなりつつあると感じてる。この勢いを続けて、シンガポールでの今週末に良いリザルトを持ち帰りたい。

シンガポールで誰もが話題にする事は2つ。暑さとナイトレースだ。ここはコンディション的に厳しいし、本当にエキサイティングなレースになる。シンガポールに向けては、体が汗をかく事に慣れるよう、トレーニング内容を調整するんだ。

Tシャツとトレーナーを重ね着して暑いコンディションの中でトレーニングしたり、乾燥した暑さのサウナや、蒸気で湿度が高いハンマム(スチームサウナ)で長時間過ごすことで、体を暑さに適応させる。これによって、シーズンの中で最も長く厳しいレースに向けてフィジカルを合わせ込むことが出来るんだ。

コーナーの数が多くてペースも速いから、ドライブしている間は一息つく暇もないけど、僕はそういった凄くテクニカルでツイスティなコース、リズム良く駆け抜けなきゃならないトラックが大好きだ。シンガポールGPは過酷なコンディションの中で2時間近くも集中力を維持しなきゃならず、シーズンの中で最も厳しいレースと言えるけど、それと同時に最もエキサイティングなレースでもある。

ダニール・クビアト

マシントラブルが出るまではモンツァでのレースは手堅かったし、先週末のパフォーマンスをみれば、僕らが素晴らしい仕事をしている事は間違いない。でもレースでは時として、技術的な問題が発生してしまうものだ。大量ポイントは間違いないと思っていたから、クルマを止めなきゃならなかったのは残念だけど、次のシンガポールでその分の埋め合わせをしてやるつもりだ。

以前シンガポールでレースをした時は6位と9位だった。ここのコースは長くバンピーで、コーナーが次から次へと続くユニークな場所だ。レースは長く、気温は暑く、そして湿度も高いから、シンガポールはシーズンで最も要求が厳しく大きなチャレンジになる。

ストリートサーキットだから常にアドレナリン全開だし、照明が闇夜の路面を照らす中でのレースだから、より一層エキサイティングだし本当にクールなイベントだ。ナイトレースだから誰もが夜中に仕事をするわけだけど、正直なところ、これに対処するのは凄く容易い。プログラムに沿って活動するだけだし、確かに午前4時とか5時に寝るのは普通じゃないけど、本当に面白いのは時差ぼけが全くないって事だ。

何年もここでレースをしてるから慣れてきてるし、本当に蒸し暑くなるのが分かっているから、前もってこういった事情を考慮したトレーニングをするんだ。例えばヨーロッパにいる時に、いつもより何枚か多く重ね着して外をランニングするんだけど、やっぱりちょっと可笑しいんだろうね。通りを歩く人から変な目で見られちゃうんだ。

ここ数戦の僕らは良いペースを刻んでいる。スパやモンツァとは異なるタイプのサーキットだけど、シンガポールでも同じ様にやるだけだ。今年のモナコでは競争力があったし、僕らはストリートサーキットで良い成績を収めてきているから、全てをまとめ上げてポイント獲得のために戦うつもりだ。


シンガポールGPの舞台となるのは、1周5063mに23ものコーナーを配置するマリーナベイ・ストリート・サーキット。昨年のグランプリでは、メルセデスのルイス・ハミルトンがポール・トゥ・ウイン。危なげないレース運びで2位のマックス・フェルスタッペン7秒近く引き離し、キャリア通算69勝目、シンガポールでの2連覇を果たした。

F1シンガポールGPは、日本時間9月20日(金)17時30半からのフリー走行1で幕を開ける。

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