サイド・バイ・サイドの激しいバトルを繰り広げるアルピーヌのフェルナンド・アロンソとエステバン・オコン、2022年3月27日F1サウジアラビアGP決勝レース
Courtesy Of Alpine Racing

F1サウジでの緊迫の僚友戦を振り返るアロンソとオコン…ロスを承知でバトルを許可したアルピーヌ

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F1第2戦サウジアラビアGPの決勝レースでは、アルピーヌのフェルナンド・アロンソとエステバン・オコンが激しいチームメイトバトルを繰り広げた。それは時に際どいシーンを作り出し、ファンの冷や汗を呼ぶに足る十分に激しいものだった。

チームは2人にバトルを許可し、止めようとはしなかった。チャンピオンシップ争いという観点で言えばミスジャッジかもしれないが、ブランディングという点では間違いなく効果的な判断だった。F1の国際放送チームはBWTとの契約で開幕2戦に限りピンクに塗装された2台のA522による争いを積極的に放映した。

エステバン・オコンに衝突しそうになったアルピーヌのフェルナンド・アロンソ、2022年3月27日F1サウジアラビアGP決勝レースCourtesy Of Alpine Racing

エステバン・オコンに衝突しそうになったアルピーヌのフェルナンド・アロンソ、2022年3月27日F1サウジアラビアGP決勝レース

関係悪化が心配されるほどのヒヤヒヤもののバトルであったが、後方から迫るマクラーレンのランド・ノリスの追撃をかわして僅差で6位チェッカーを受けたオコンは、2度のF1ワールドチャンピオン、現役最強との誉れを持つアロンソとの「フェアでハード」なバトルを堪能したようだ。

オコンはアロンソを「レース運びが巧みで本当に速い伝説的」なドライバーと称し、タイトル3連覇を懸けて当時のチームメイト、ルイス・ハミルトンと競い合った2007年の時から「全くスピードは衰えていない」として、40歳のスペイン人ドライバーを上質なワインに例えて「年齢とともに熟成」していると指摘した。

「また良い感じにポイントが取れたし、全体的に満足のいくレースができた。フェルナンドとのバトルは楽しかった。ハードだったけどフェアなホイール・トゥ・ホイールの戦いで、カート時代を思い出したよ」

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手に汗握るこのチームメイトバトルは最終的にアロンソが制し、その後はポイント圏内の7番手を走行していたものの、35周目にテクニカルトラブルに見舞われ無念のリタイアとなった。チームは詳細を明らかにしていない。

アロンソはトラブルについて「何が起きたのかは正確には分からないし、まだ調査中だけど、パワーがなくなって最終的にクルマが止まってしまったんだ」と説明。次のように続けて失望の色を隠そうとはしなかった。

「あの時点までは良いレースだった。速さがあったし競争力もあった。でも残念な事に今日は大量のポイントを逃し、ライバルにポイントを与える結果になってしまった」

ただ、オコンとの”ブリリアント”なバトルについて問われると、少し笑顔をみせて「そうだね、良いバトルだった。かなり激しかったけどね」と振り返った。

「フェアだったし、僕らは常にお互いに尊敬の念を持ってレースをしている。バーレーンでも同じ様に接近戦を繰り広げたしね。でもいつだって優先すべきはチームであり、そのために僕らはベストを尽くそうとしている」

「レースでは僕の方が若干速かったから彼を追い抜いたけど、本当に速くて引き離すのが大変だった。でも最終的には上手くやれて、今度はボッタスに集中する事になったけど、彼も同じ様にすごく速かった」

オコンが「もちろん、戦えばタイムをロスするのは当たり前」と指摘するように、チームメイト同士で争えばライバルが利するのは明らかだが、アルピーヌは開幕バーレーンの時と同じ様に、2人にバトルを許可していた。

オトマー・サフナウアー代表は「結局の所、我々がここにいる目的は2人のドライバーがクルマから最大限の力を引き出してレースをする事にある。だからハードでフェアなレースをさせてあげられて満足だ」と語った。

「今夜、2人のドライバーが示したように、我々のマシンが大量ポイントを争えるポテンシャルを秘めていることは明らかだ」

「2週間後に控えるメルボルンでの久しぶりのレースに向けて、我々はエンストンとヴィリー=シャティヨンに戻り、万全の準備を整える事になる。チームのみんなに良くやった!と言いたい。これからも手を抜くつもりはない!」

アルバート・パーク・サーキットを舞台とする次戦F1オーストラリアGPの決勝は、4月10日(日)日本時間14時にスタートの時を迎える。

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