ウィリアムズのアレックス・アルボンとのバトルの最中にタイヤスモークを上げてブレーキングするアルファロメオの周冠宇、2022年3月27日F1サウジアラビアGP決勝レース
Courtesy Of Alfa Romeo Racing

寛大なサウジ審判団…周冠宇は何故、5秒を消化したのに不履行とみなされ追加ドライブスルーを科されたのか?

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アルファロメオの周冠宇は何故、F1第2戦サウジアラビアGPの決勝レース中に5秒を消化したにも関わらず、追加でドライブスルー・ペナルティーを科されてしまったのだろうか?

スチュワードは13番グリッドの中国人ルーキーがスタート直後、ブレーキングを遅らせコース外に出てアレックス・アルボン(ウィリアムズ)を追い抜いたとして、5秒ペナルティと1点のペナルティポイントを科す裁定を下した。

そのためチームは1回目のピットストップの際に5秒ペナルティを消化すべく、ピットボックスに入ってきた24号車をジャッキアップした後に5秒を待って作業に取り掛かった。

ところがスチュワードはこれを「ペナルティの不履行」とみなし、更に重いドライブスルー・ペナルティーを科したのだ。何が悪かったのか?

タイヤ交換作業前の待機時間が5秒未満だったのだろうか? いや、そうではない。問題はピットボックスに停車した直後に発生していたのだ。

F1競技規定では各種タイムペナルティーの消化に際して、ピットレーンに停車した際はペナルティ時間分が経過するまで一切作業をしてはならないと定めている。そう、アルファロメオは停車直後にクルマをジャッキアップしてしまったのだ。

スチュワードは「ジャッキアップ後、チームは5秒間、作業を行わなかったが、ジャッキアップ自体が作業であり、これは第54条4項cで禁止されている」と指摘した。

この第54条4項cに違反した場合についてレギュレーションは、スチュワードに対して当該車両を失格とする裁量を与えているが、F1サウジアラビアGPの競技審判団は寛大にもドライブスルー・ペナルティーを科す事を選んだ。

スチュワードは「車両が停止している間、何の作業も行われなかったことを考慮すると、ジャッキアップされた事で失格とするのはあまりに過酷だと考え、我々はドライブスルーペナルティを科す事にした」と説明した。

失格を免れたとは言え、周冠宇にとってジェッダ市街地コースでの50周は散々なレースだった。

周冠宇は11位でフィニッシュした後「F1の市街地レースに対する自信を深めるという点で、今日のレースが良い経験になったと思いたい」と振り返った。

「バーレーンの時よりもずっと良いスタートが切れたのに、ターン1でアンチストールが作動してしまった。何が起きたのか究明しなきゃならない」

「この影響で18番手にまで後退してしまったけど、順調に挽回していく事ができた。でも、ポイントを獲得できると思った矢先に、今度はドライブスルーで大きく後退してしまった」

「オーストラリアではもっとスムーズなレースがしたいね。クルマのフィーリングは良いから、また競争力を発揮できると思う」

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