メルセデス、ソチでの無敗記録を更新…レッドブル・ホンダは4・5位 / F1ロシアGP《決勝》結果とダイジェスト
2019シーズンも残り後6戦。F1世界選手権 第16戦ロシアGP決勝レースが9月29日に行われ、2番グリッドからスタートしたメルセデスAMGのルイス・ハミルトンが後続を3.8秒引き離し逆転。キャリア通算82勝目、シーズン後半戦初の優勝を果たした。
2位はバルテリ・ボッタス。メルセデスが1-2フィニッシュを果たし、ロシアでの無敗記録を更に伸ばした。フェラーリ勢は散々な結果に終わった。セバスチャン・ベッテルは序盤にラップをリードしていたものの、MGU-Kのトラブルを訴えリタイヤ。これに伴い導入されたバーチャル・セーフティーカーでマージンを失ったシャルル・ルクレールは、ポールスタートながらも3位表彰台に甘んじた。
エンジン交換ペナルティーのためにグリッド降格を受けたレッドブル・ホンダ勢は、マックス・フェルスタッペンが4位、パルクフェルメ規定違反によりピットレーンからスタートしたアレックス・アルボンは5位と、2台揃って見事に巻き返した。
ミッドフィールド最上位はマクラーレン。カルロス・サインツがレーシングポイントのセルジオ・ペレスを抑えて6位入賞を果たした。チームメイトのランド・ノリスも8位と、英ウォーキングのチームはダブル入賞。ダニエル・リカルドがリタイヤに終わり、ニコ・ヒュルケンベルグが10位に留まったため、ルノー勢とのギャップを更に広げ、コンストラクターズ4位の座を更に強固なものとした。
トロロッソ・ホンダ勢は母国レースのダニール・クビアトが12位。ピエール・ガスリーは14位と、トップ10フィニッシュには至らず、ノーポイントゲームに終わった。
アルファロメオのキミ・ライコネンはキャリア通算307戦目を迎え、ミハエル・シューマッハとジェンソン・バトンを上回り、歴代最多出走記録で単独の3位に浮上するも、ジャンプスタートによってドライブスルーペナルティが科せられ、13位フィニッシュに終わった。アントニオ・ジョビナッツィは事実上の最下位となる15位でチェッカーを受けた。
前戦シンガポールとのダブルヘッダーとなった第16戦の舞台は、冬季オリンピックの跡地に建設されたソチ・オートドローム。地元ロシア出身のダニール・クビアトにちなんで、高速の左ロングコーナーのターン3に設置されたグランドスタンドは「クビアト・スタンド」と呼ばれている。
大部分のコーナーが90度で、折れ曲がるようなレイアウトが特徴。エンジン全開区間が多く、燃費的に厳しいことに加えてパワーユニットの性能が試される。前日に開催された予選では、トップスピードで他を圧倒するフェラーリのルクレールが後続をコンマ4秒以上引き離してポールポジションを獲得した。
決勝は、日本時間29日(日)20時10分にブラックアウトを迎え、1周5872mのコースを53周する事で争われた。日曜の現地ソチは晴れ、チャンピオンシップポイントを争う決勝のフォーメーションラップは気温21.8℃、路面33.7℃、湿度68.1%のドライコンディションでスタート。2度のセーフティーカー導入が行われた中で、計5台がフィニッシュラインを駆け抜けることなくリタイヤを喫した。
パワーユニット交換のために最後尾スタートとなった母国クビアトは、全20台の中で唯一ハードタイヤでのスタートを選択。注目のオープニングラップでは、ベッテルがターン2を制して、3番グリッドから一気にラップリーダーへと躍り出た。
集団の後方では、リカルドとジョビナッツィとロマン・グロージャン(ハース)の3者がターン4で接触。イン側にいたリカルドは左リアタイヤをパンクし、アウト側にいたグロージャンはバリアへと激突。車を降りた。このアクシデントによって、早々にセーフティーカーが導入され、このタイミングでロバート・クビサ(ウィリアムズ)がハードタイヤにチェンジ。残り52周をピットストップなしに走りきる作戦に打って出た。
レースは4周目にリスタート。トップを走るベッテルはうまく後続を置き去りにし、ポジションキープの要となるターン2を先頭で通過。これにルクレール、ハミルトン、サインツが続いた。9番グリッドのフェルスタッペンは8番手とポジションを上げ、12番手と13番手にガスリーとクビアトが続き、アルボンはピットから一気に15番手にまで浮上した。
ファステストを刻みながらトップを快走するベッテルであったが、その後チーム側からルクレールとポジションを入れ替えるよう指示が飛んだ。ところがベッテルは、このタイミングでの入れ替えを拒否。そのまま走行を続けた。レース前の事前合意として、ベッテルがスタート時にスリップストリームの恩恵を受けた場合、ルクレールと順位を交代するという取り決めがあったことを伺わせるやり取りだった。
上位勢で最初にピットへと動いたのは、2番手を走行していたルクレール。23周目にミディアムタイヤへの履き替え4番手でコースに復帰した。対照的にフェラーリは、ピットでの順位入れ替えを狙ったか。ベッテルの第1スティントを引き伸ばし、27周目にピットインを指示した。
交換作業は滞りなく、ベッテルはルクレールの後方3秒の位置でコースに戻ったものの、その直後に「MGU-Kを失った」と訴え、チームからの指示に従ってコース脇にクルマを止めた。28周目のことだった。レースはバーチャル・セーフティカー(VSC)が導入され、このタイミングで各車一斉にピットへと動いた。
第一スティントを引っ張っていたハミルトンもまた、このタイミングを逃さなかった。すかさずピットへと動き、アンダーグリーンでピット作業を消化したルクレールに対してアドバンテージを得た。結果、ハミルトンはルクレールの前方9.5秒の位置でコースへと戻り、一気にラップリーダーに躍り出た。信頼性不足が引き金となったこの一連の動きによって、フェラーリはベッテルのみならずルクレールのポジションを失った。
VSC解除された瞬間、ジョージ・ラッセル(ウィリアムズ)がクラッシュ。すぐさまイエローフラッグが振られ、今度はセーフティーカーが導入された。理由は不明ながらも、クビサはこのタイミングでガレージへと入り、マシンを降りた。
残りの周回をソフトタイヤで走り切れる状況であったため、各チームは再び一斉にピットへと入り、再度タイヤ交換を実施。フェラーリ陣営もまたルクレールをピットへと呼び、ソフトタイヤに履き替えさせたが、判断が一周遅く、ボッタスに前のポジションを譲る形となり、3番手に後退した。失策だった。
コース上の車両撤去作業が終わりレースは33周目にリスタート。ルクレールはポジションを取り戻すべく激しくボッタスに仕掛けるも、魔法の予選モードが使えない状況での追い抜きは叶わず、この間にラップリーダーのハミルトンは大きなマージンを築き、ファステストラップのおまけ付きでトップチェッカーを受けた。
2019年F1第16戦ロシアGP決勝リザルト
Pos | No | Driver | Team | Laps | Time | PTS |
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1 | 44 | ハミルトン | メルセデス | 53 | 1:33:38.992 | 26 |
2 | 77 | ボッタス | メルセデス | 53 | +3.829s | 18 |
3 | 16 | ルクレール | フェラーリ | 53 | +5.212s | 15 |
4 | 33 | フェルスタッペン | レッドブル | 53 | +14.210s | 12 |
5 | 23 | アルボン | レッドブル | 53 | +38.348s | 10 |
6 | 55 | サインツ | マクラーレン | 53 | +45.889s | 8 |
7 | 11 | ペレス | レーシングポイント | 53 | +48.728s | 6 |
8 | 4 | ノリス | マクラーレン | 53 | +57.749s | 4 |
9 | 20 | マグヌッセン | ハース | 53 | +58.779s | 2 |
10 | 27 | ヒュルケンベルグ | ルノー | 53 | +59.841s | 1 |
11 | 18 | ストロール | レーシングポイント | 53 | +60.821s | 0 |
12 | 26 | クビアト | トロロッソ | 53 | +62.496s | 0 |
13 | 7 | ライコネン | アルファロメオ | 53 | +68.910s | 0 |
14 | 10 | ガスリー | トロロッソ | 53 | +70.076s | 0 |
15 | 99 | ジョビナッツィ | アルファロメオ | 53 | +73.346s | 0 |
NC | 88 | クビサ | ウィリアムズ | 28 | DNF | 0 |
NC | 63 | ラッセル | ウィリアムズ | 27 | DNF | 0 |
NC | 5 | ベッテル | フェラーリ | 26 | DNF | 0 |
NC | 3 | リカルド | ルノー | 24 | DNF | 0 |
NC | 8 | グロージャン | ハース | 0 | DNF | 0 |
コンディション
天気 | 晴れ |
---|---|
気温 | 21.8℃ |
路面温度 | 33.7℃ |
周回数 | 53 |
セッション概要
グランプリ名 | F1ロシアGP |
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レース種別 | 決勝 |
レース開始日時 |
サーキット
名称 | ソチ・オートドローム |
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設立 | 2014年 |
全長 | 5872m |
コーナー数 | 16 |
周回方向 | 時計回り |