レッドブル株主、アルファタウリF1売却意向を否定とトスト…英移転の可能性には触れず
スクーデリア・アルファタウリは2023年シーズンの初戦バーレーンGPの開幕を直前に控えた3月1日(水)、チーム代表のフランツ・トスト名義で声明を発表し、チーム売却に関する憶測に終止符を打った。
トストは声明の中で、創業者ディートリッヒ・マテシッツの死去に伴い、レッドブル社の企業プロジェクト・新規投資部門CEOに就任したオリバー・ミンツラフと会談した事を明かし、株主にチーム売却の意思がない事を確認したと語った。
「オリバー・ミンツラフと何度か非常に素晴らしい会談の場を持った。彼は、株主がスクーデリア・アルファタウリを売却するつもりがないこと、そしてレッドブルが今後も我々をサポートしていくことを明らかにした」
「一連の噂はすべて根拠がないものだ。チームは昨年以上のパフォーマンスを発揮すべく、シーズン開幕に向けて集中力を維持していかなければならない」
2月末にバーレーンで行われたF1プレシーズンテストの最終日、投資に対するリターンが低く、またシニアチームのレッドブルとのシナジー効果が十分に発揮できていないとの理由で、アルファタウリがイギリスへの本拠移転、あるいは第3者への売却の可能性に直面しているとの報道がなされた。
シニアチームのレッドブル・レーシングが昨季ダブルタイトルの大成功を収めて黒字を叩き出す一方、アルファタウリはコンストラクターズ選手権9位に転落。分配金を大きく減らした。
報道を受けレッドブル・レーシングのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコは「噂についてはコメントしない」としつつも、昨年のアルファタウリの成績が「満足できないものである事は理解できる」「株主は正しい決定を下すだろう」などとして否定せず、報道が全くの事実無根でない事をうかがわせた。
注意すべきは、依然としてイギリスへの移転の可能性が完全には払拭されていない点だ。
トストは、根拠がないと一蹴した「一連の噂」を具体的にしておらず、移転がこれに含まれる可能性も否定はできないが、声明の中で移転には全く触れていない。
アルファタウリのファクトリーはイタリアのファエンツァに置かれているが、空力部門はイギリスのビスターにあり、風洞もまた英国国内のものを使用している。
英国に本拠を置くレッドブル・レーシングとのシナジー効果も限定的で、効率の悪さは否めず、課題がある事は確かだ。