2023年のアルファタウリを引っ張るのはデ・フリース、とハッキネン…角田裕毅については言葉を濁す
1998年と1999年のダブルF1ワールドチャンピオン、ミカ・ハッキネンは、2023年のアルファタウリを牽引するのはファエンツァでの3年目を迎える角田裕毅ではなく、新戦力のニック・デ・フリースだと考えている。
昨年のアルファタウリはコンストラクターズ選手権9位と、2020年のリブランド後としてはワーストの成績に終わり、グランドエフェクトカー導入の新時代を非常に厳しい形でスタートした。
ジョディ・エギントン率いるテクニカルチームは2023年に向け、ポーパシング低減を目的とする技術規定に対応しつつ、先代の弱点を克服すべく軽量化とダウンフォースの増強に取り組み、2月末のバーレーンテストで新車「AT04」をコースデビューさせた。
3日間を通してアルファタウリは全車最多となる456周の大量マイレージを稼ぎ、角田裕毅は同じC4コンパウンドのフェラーリにコンマ2秒差の総合6番手をマークした。
アルファタウリへの期待、役者はデ・フリース
今季のアルファタウリについてハッキネンは、恒例のUnibetの動画コラムの中で「昨シーズンはあまり上手くいかなかったが今年に向けて宿題をこなしてきたと思うし、(去年よりも)上手くやってくれると思う」と語った。
「私はチームのメンバーを知っている。良い人たちだし経験も豊富だ。それを踏まえて私は、今年に向けてクルマを改善するための解決策を見つけ出しただろうと期待している」
ルーキーと見なすべきかについて未だに混乱があるほどに、デ・フリースは経験、実績ともに豊富なレーシングドライバーだ。
2010年と2011年にカートの世界王者に輝きフランツ・トスト代表やマクラーレンを含むF1関係者の注目を集め、2014年にユーロカップ・フォーミュラ・ルノー 2.0とフォーミュラ・ルノー 2.0 アルプスを、そして2019年にはFIA-F2選手権を制し、2020–21シーズンにはフォーミュラEまでをも勝ち取った。
さらに昨年はシーズンを通してウィリアムズ、アストンマーチン、メルセデスの現行F1マシン、そして旧型ではあるもののアルピーヌをドライブするという異例の経験を積み、シーズン末のアブダビテストではアルファタウリのステアリングを握り、その欠点をすぐさま見抜いてエンジニア達に苦言を呈した。
ハッキネンはデ・フリースが持つ知識と経験、そして的確な批判が今季型「AT04」の開発において重要な役割を果たすと考えている。
「ニックをチームに呼び寄せたのは良い決断だった。彼はクレバーな男だと思う」とハッキネンは語る。
「彼は事実に基づいた情報を多くもたらすことができるし、クルマに関しても十分に批判的だ」
「彼は『F1で走るのは楽しい』なんて事は言わず『クルマは十分じゃない』『これとこれ、あれは変えなきゃならない』と言うだろう」
ハッキネンはデ・フリースへの期待を口にする一方、角田裕毅に関しては「何シーズンかを経て経験を積んだ。でも私は…」と言葉を濁し、しばらく黙り込んだ後、途中で語るのを止めた。
そして「私は何人か日本人のチームメイトを持ったことがあるが、彼らは親切で、本当に速かった」と続けた。
「角田は時々、ペースを解き放つが一貫性がない。シーズンを通して活躍できるだろうか? それはチームメイト次第だ」
「もしニックが全てのレースで彼を打ち負かすようなことがあれば深刻だ。私は、チームを前進させるのはニックだと思う」