レッドブルのガレージ内でマックス・フェルスタッペンと話をするヘルムート・マルコ、2023年6月3日F1スペインGP
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お手上げ…F1スペインでのフェルスタッペンの警告無視、口を開くレッドブルのマルコ

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チームからの警告を無視してF1スペインGPのファステストラップを狙いにいったマックス・フェルスタッペンについてレッドブルのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコは、そのリスクを理解させ止めさせるのは不可能だと語った。

2つの意味において、キャリア初優勝の地、カタロニア・サーキットでのフェルスタッペンを止める者は誰もいなかった。タイトル3連覇に向かって邁進する25歳のオランダ人ドライバーは全てのプラクティスを制し、予選でポールを獲得すると、全周でリードを築き、レース終盤に向けて今季5勝目をほぼ確実なものとした。

隊列をリードするマックス・フェルスタッペン(レッドブル)、コース外を走行するジョージ・ラッセル(メルセデス)、2023年6月4日F1スペインGP決勝レース1周目のターン1・2Courtesy Of Red Bull Content Pool

隊列をリードするマックス・フェルスタッペン(レッドブル)、コース外を走行するジョージ・ラッセル(メルセデス)、2023年6月4日F1スペインGP決勝レース1周目のターン1・2

パーフェクトゲーム、キャリア通算3回目のグランドスラムに欠けていたのはファステストラップのみだった。記録に対して無頓着でレースに対して誰よりも貪欲なフェルスタッペンの性格上、それを気にしたわけではないだろうが、タイトル争いのライバル、僚友セルジオ・ペレスが持つ最速ラップに狙いを定めた事に驚きはなかった。

レース終盤、現在のファステストラップを求めてきたフェルスタッペンに対してレースエンジニアを務めるGPことジャンピエロ・ランビアーゼは「16.6」と答えた。

そして「これはチェコが新品タイヤに履き替えた1周目にDRSを使って出したものだから気にしてくていい。マックス、黒白旗を受けているんだから我々には余裕がないんだ」と述べ、不要なリスクを負うなと警告した。

鈴鹿サーキットのガレージ内でセッションを見守るレッドブル・レーシングのクリスチャン・ホーナー代表とレースエンジニアのジャンピエロ・ランビアーゼ、2022年10月7日F1日本GPフリー走行Courtesy Of Red Bull Content Pool

鈴鹿サーキットのガレージ内でセッションを見守るレッドブル・レーシングのクリスチャン・ホーナー代表とレースエンジニアのジャンピエロ・ランビアーゼ、2022年10月7日F1日本GPフリー走行

第2スティントで履いたハードタイヤの予想外のグリップの低さに手こずったフェルスタッペンは、ターン10とターン5で計3回のトラックリミット違反を犯して黒白旗を受けていた。つまりあと1回の違反でペナルティが科される状態だった。

マルコはオーストリアの「ORF」に対して「我々としてはそんな事は望んでいないのに、自分のタイヤがチェコより良くないにも関わらず彼は追加点を取りに行くと言い出したんだ」と振り返った。

無論、フェルスタッペンがこれを聞き入れるはずもなく、GPからタイムを聞き出すや否や第1セクターで自己ベストを刻むと、続く第2セクターで全体ベストを記録。10周前にペレスが残したファステストをコンマ3秒上回る1分16秒330を刻んでボーナスの1点を奪い去った。

GPは「白線を越えないようにクルマを持ち帰れよ」という他になかった。

この時点で後続のルイス・ハミルトン(メルセデス)との差は20.027秒あったため、仮にペナルティを受けてもリザルトに影響はなかっただろうが、それでもタイヤを酷使する事に変わりなく、セーフティーカー(SC)が導入される事態が起きれば勝利が脅かされた可能性もゼロではない。

レッドブルは知らない、とフェルスタッペン

マルコは「あのポジションにいる場合、通常ならリスクを冒さないが、マックスを止める事は不可能だ。怒ることはできない」とした上で、「我々は視聴者ほど心配していなかった」と語った。

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