奥からホンダF1の山本雅史MD、クリスチャン・ホーナー代表、ヘルムート・マルコ、エイドリアン・ニューウェイ、2019年F1アブダビGPでの集合写真撮影copyright Getty Images / Red Bull Content Pool

たった1年…何故? レッドブル、ホンダとのF1エンジン契約延長の背景を説明

  • 最終更新:

最終アブダビGPを前にした最もホットな話題は、ホンダがレッドブル及びトロロッソとのパワーユニット供給契約を延長したというニュースであった。ただし延長期間は僅か12か月間に留まった。

日本においては大手を振って歓迎されている向きがあるものの、広く世界に目を向けると受け取り方は様々だ。中でも多いのが「たったの一年?」という驚嘆だ。悲壮とも言えるマクラーレンとの暗黒の3シーズンを経て、復帰5年目にしてようやく優勝争いに絡めるようになったというのに、なぜ僅か1年の延長なのか? と考えるファンは少なくない。

F1は現在、競技及び技術面の規約を見直しており、2021年に財務規約を加えた新たなレギュレーションが発行される。一時は複雑奇怪で効果なMGU-Hの廃止が模索されていたが、マニュファクチャラー側の反対で頓挫。少なくとも2025年までは現在のV6ハイブリッドパワーユニットが継続されるため、延長を決断する上でのテクニカル面での障害は少ない。

現時点では、メルセデスがウィリアムズ及びマクラーレンに対して、少なくとも2025年まで供給を行う契約を発表しているものの、ワークスとしてのメルセデスAMGについては未確定であり、フェラーリ及びルノーに関しては、2021年以降に対するコミットメントはない。新時代のF1グリッドには不安要素がてんこ盛りだ。

コスト削減を求めるマニュファクチャラー

ホンダは何故”2025年まで”ではなく、”たった一年”の延長に留めたのだろうか? レッドブル・レーシングのクリスチャン・ホーナー代表は、ヤス・マリーナでスカイスポーツF1のインタビューに答え、「ホンダが2020年を超えてコミットする決断を下したのは本当に素晴らしいニュースだ。つまり、我々は少なくとも向こう2年の参戦が完全に確定したのだ」と切り出し、延長契約の背景及び、2022年以降の議論の進捗について説明した。

「ホンダは、コスト削減のためのエンジン開発の凍結あるいはホモロゲーションの動向を注視しており、2021年または、おそらくは2022年に適用されるであろうレギュレーションの中身がどうなるのかを待っている」

「現行エンジンは非常に複雑なテクノロジーが積み込まれた本当に高価な代物だ。全てのマニュファクチャラーが、このエリアでのコストダウンを望んでいる」

2021年の新しい規約では、年間の予算上限が導入されるものの、エンジンマニュファクチャラーは対象外であり、青天井の予算を投じる事が可能となっている。ただし、ホンダ以外のメルセデスやルノーもまた、コスト削減を望んでおり、F1側は競技面を統括するロス・ブラウンの監修の元、段階的な開発凍結の可能性を模索している。

もとより、ホンダが目標に掲げるチャンピオンシップ制覇のためには、10年スパンで計画を立てる必要があるため、完全に想定外のネガティブな事態が発生しない限りは、復帰から7年、つまり2021年を最後に再び撤退する事は考えにくい。そもそも7年で去る可能性があるのであれば、端から参戦などしないだろう。1年のみの延長を早々に発表したのは、F1側への牽制の狙いがあるとみる事もできる。

ホンダとレッドブル、22年以降の契約継続を熱望

いずれにせよ、ホンダが2022年以降もF1に留まる意志を持ち合わせているのは確かだ。クリスチャン・ホーナー代表は、既にホンダとの間で2022年以降について議論は行われており、双方がこのパートナーシップを更に継続していく事に前向きな姿勢を示していると明らかにした。

「当然のことながら、我々はその先の未来について話し合った。議論の内容は、単に2021年に留まるものではなかった」とクリスチャン・ホーナー。「我々は、この関係においてこれまでに達成した事をさらに発展させたいという強い意欲がある」

「今シーズン目の当たりにしてきたように、我々レッドブルとホンダのパートナーシップは本当に素晴らしい。これを更に前へと推し進めるためには、これらの規約が完全にクリアになることが重要だ」

ホンダF1の山本雅史マネージング・ディレクターもまた、BBCのインタビューに答え、コストの最小化が2022年以降の残留の鍵になると主張。本田技研工業の役員会の関心事である事を認めた。

「F1撤退についての議論はありませんでした」と山本MD。「むしろ、レッドブル及びトロロッソと共に結果を出していますので、より良い形でプロジェクトを継続する方法について議論しました」

「我々はトップレベルのパフォーマンスに迫ってきています。我々のパワーユニットは、メルセデスやフェラーリと比べてまだ若干遅れていますが、以前よりもずっと接近しています」

「私たちが議論しているもう一つの条件は、コストを最小化するための方法についてです」

F1アブダビGP特集