ノリス、ピアストリに感心せず モンツァ攻防を巡り…マクラーレンからの「No.1ドライバー扱い」願う
選手権リーダーのマックス・フェルスタッペン(レッドブル)との差を大幅に縮めるチャンスを手にしたランド・ノリス(マクラーレン)であったが、またもポールポジションから1周目に順位を失い、これを活かすことができなかった。
F1イタリアGPのオープニングラップでマクラーレンの2台は第2シケインに向けて並走。アウト側のピアストリは接触なしのアグレッシブなオーバーテイクを決め、ポールシッターのチームメイトを抜き去りリードを奪った。
レーシングラインを外れたことでノリスはその後、フェラーリのシャルル・ルクレールにもポジションを奪われた。ルクレールは起死回生の1ストップ戦略でピアストリを交わしてレースに勝利し、2ストップを選択したマクラーレン勢は後塵を拝する形となった。
最終的に3位フィニッシュに留まったことでノリスは、フェルスタッペンとの差を8点しか縮めることができなかった。今季最悪の予選7番手に終わったフェルスタッペンは6位でフィニッシュし、62点のリードを持って残り8戦に臨むこととなった。
ピアストリの仕掛けに感心せず
1周目のピアストリの動きについてノリスは「不快に感じるほど近づきすぎたと思う。もし僕がもう1メートル遅くブレーキを踏んでいたら、二人ともあのコーナーで終わっていたかもしれない」と不満を表明した。
「巻き戻せるなら僕としても、もう少し違うやり方を取ったと思う。でも、起きたことは仕方ない」
一方でノリスは、「オスカーは限界ギリギリのところでブレーキを踏んで、僕にスペースを残してくれた」「彼はよくやった。彼は僕を追い抜いた。彼はそれに値する」とも語ったが、それでもなお自身がブレーキングを遅らせていれば「どうなっていたか分からないし、容易にクラッシュしていた可能性もある」と指摘した。
「一番楽なのはブレーキを遅らせて相手をコース外に押し出すことだと思うけど、それは身勝手なやり方だ」
「僕が慎重になっていたのは確かだ。後方に大きなギャップがあると思っていたから、少し慎重になりすぎて、その代償を払ったのかもしれない」
他方ピアストリは、1周目の出来事に何も問題はないと考えている。
「ブレーキを遅めに踏んでアウト側を回った。それ以上のことは特に何もないよ。お互いに接触もなかったしね」とピアストリは語る。
「ブレーキを踏んだ瞬間、少し前に出たから、アウト側を走る権利があると思った。それで結局は、38周を通してレースに勝てるだけのポジションに立てた。僕にとっては、ただ良い1周目になったってだけのことだよ」
モンツァの1周目の出来事についてマクラーレンは、「クラッシュしない」という条件で互いにレースをすることを認めるチームの行動規範「パパイヤルール」をピアストリが遵守していたかどうかを見直し、必要があればルールを調整する意向を明らかにした。
ノリスはフェラーリと同じように1ストップ戦略を採ることは不可能だったとする一方、ピアストリに抜かれなければ優勝のチャンスがあったとの見方を示した。
「結局、シャルルは2秒差で勝ったわけだけど、(僕の)前に出たことでレース全体でその2秒のアドバンテージを得たんだと思う」とノリスは語る。
「僕らが1ストップを採ることは不可能だった。フロントタイヤのデグラデーションが激しすぎたからだ。それが今の僕らの弱点だ」
No1ドライバー扱い願うノリス
ピアストリに追い抜かれなければ、ノリスはモンツァでもう10点を上乗せしていた可能性がある。レッドブルが暗黒時代に突入する中、残り8戦での逆転ドライバーズタイトルの可能性は高まっており、後にマクラーレンはモンツァで2人にレースを許したことを後悔するかもしれない。
マクラーレンは今のところ、ドライバー達に自由にレースをさせており、両者を平等に扱っている。この方針に則り夏休み前のハンガリーGPでは、ピアストリに勝利を譲るようノリスにオーダーを出した。
いわゆる「ナンバー1ドライバー扱い」、つまりマクラーレンがノリス優先の方針を取っていた場合、ハンガロリンクとモンツァの2レースでノリスが潜在的に上乗せできた可能性があるポイントは17ポイントに及ぶ。
タイトル争いという観点でチームは自身を優先すべきだと思うか?と問われたノリスは「そうしてくれたら嬉しいけど、それは僕が決めることじゃない」と答えた。
「難しい問題だと思う。だってどんなドライバーであれ、そういう風に扱われたくないと思っているだろうからね」
「時間切れが迫っているとは言わないけど、時間は確実に過ぎていく。それでも僕はまだやれると信じている。ペースは明らかに素晴らしいし、今日もおそらく僕らのクルマは最速だった」
「でも僕が決めることじゃない。チームが決めることだと思う。今年、僕らはお互いに助け合ってきたし、チームとして上手く機能して最高のパフォーマンスを発揮してきた。そしてそれを証明してきた。そのことに本当に満足している」
「ただ、タイトルを争っている時は、ちょっとしたことでさえ欲しくなるものだ。自分としてもできる限りのことをしている」
「今日、勝てなかったのは幾つかの愚かなことが原因だった。だから、そうだね。これはチームが決めることであって、僕が決めることじゃない」
2024年F1第16戦イタリアGPでは、4番グリッドからスタートしたシャルル・ルクレール(フェラーリ)が1ストップ戦略を採って逆転優勝を飾った。2位はオスカー・ピアストリ、3位はランド・ノリスと、マクラーレン勢がこれに続いた。
バクー市街地コースを舞台とする次戦アゼルバイジャンGPは9月13日のフリー走行1で幕を開ける。