2021年型「VF-21」のシート合わせを行うハースF1チームのニキータ・マゼピン、2021年2月26日 (1)
Courtesy Of Haas

ニキータ・マゼピン、不適切ビデオ騒動後初めて公に ”反省の弁”繰り返すも…

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ハースF1チームからデビューする予定のニキータ・マゼピンが新車「VF-21」の発表を3月4日に控え、昨年12月の不適切動画騒動後初めて公に口を開き、反省の弁を繰り返した。

21歳のロシア人ドライバーは昨年12月8日、自身のインスタグラムに1本の動画を投稿した。それにはポルシェの助手席に座って移動中のマゼピンが、左後席に座っていた女性の胸を触ろうとする様子が映っていた。

この動画はすぐに削除されたが、インターネット上で広く拡散され大きな物議を醸した。対応に追われたハースは、マゼピンの行動は「忌まわしき」ものであり「容認しない」とする声明を発表した。

こうした状況を受けてF1と統括団体の国際自動車連盟(FIA)は共同声明を発表したが、「ハースの対応を強く支持する」と強調したのみで、問題への対処をハースF1チームに委ねて本件に介入しない意向を示した。

2021年型「VF-21」のシート合わせを行うハースF1チームのニキータ・マゼピン、2021年2月26日 (2)Courtesy Of Haas

2021年型「VF-21」のシート合わせを行うハースF1チームのニキータ・マゼピン、2021年2月26日 (2)

あれから3ヶ月近くが経ち、マゼピンはこの程ESPNのインタビューに応じて、問題発覚後初めて公に口を開いた。事件以降、件の女性とは一度も連絡を取っていないという。

マゼピンはインタビューの中で問題行動は「誤った」ものであり、自身が「その全責任を取る」「大いに学んだ」と語り、反省の弁を繰り返した。だがESPNは、何を学んだのかについて具体的に説明するよう求めてもマゼピンが詳細を語る事はなかったと伝えた。

更に「更生に向けてどのようなステップを踏んだのか」と問われたマゼピンは、「みんなの感覚が正しい事は分かっているし、自分の行動に問題があった事も理解している。それを誇りには思っていない。前に進む事が重要だ」と述べ、何処の国の政治家の如く答えにならない答えを返した。

また「浮き沈みも人生の一部」であり、レーサーはレースで語るべきだとして「僕は自分の事を素晴らしく、そして速いレーサーだと思っている。僕の事を好きではない人たちに、僕の素晴らしいレーススキルを示せるのを楽しみにしている」とも語り、コース上でのドライビングによって批判的なファンの意見を変える事ができるとの考えを示した。

ハースの公式SNSアカウントがマゼピンに関する内容をつぶやくたび、「#WeSayNoToMazepin」のハッシュタグが付けられた批判的なリプライが大量に飛ぶ状況が続くなど、マゼピンに対するファンの目は非常に厳しい。

マゼピンは反省の言葉を口にして一件から学び前に進んだとするが、事件発覚直後にSNS上の過去の投稿を全て削除したり、謝罪文を投稿したかと思えばその謝罪すらをも削除したあの当時と一体何が変わったのだろうか。字面の反省こそあれ、彼は具体的には何も言及していない。

結局この問題はハース内で内々に処理される事となり、事件の詳細や再発防止策、マゼピンに対してどのような処分が下されたのか、更生に向けてどのような対処がなされたのか等、その一切が明らかにされていない。