ハースのニキータ・マゼピン、2021年11月20日F1カタールGPフリー走行3にて
Courtesy Of Haas

ニキータ・マゼピン「解雇はプレスリリースで知った」事前通告なしのハースF1に不信感

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ハースF1チームからの「一方的」な契約解除を経て初めて、ニキータ・マゼピンが公の場で状況と経緯を語った。曰く、解雇の事実はチームのプレスリリースで初めて知ったとの事で、シート喪失に関してチームからの事前通告はなかったと言う。

ロシアのプーチン大統領によるウクライナ侵略戦争の開始を受け米国カナポリスのチームは先週末の3月5日(土)、マゼピン並びに、その支援者であるタイトルスポンサーのウラルカリ社との契約を即時終了したと発表した。

リリースは短文で、チームは「他のF1コミュニティと同様、我々はウクライナへの侵攻に衝撃と悲しみを受けており、紛争の迅速かつ平和的な終結を願っている」と述べるに留めた。

チームは今も詳しい経緯や理由を明らかにしていないが、チームオーナーのジーン・ハースは6日(日)にAP通信とのインタビューの中で「ウクライナ侵攻に対する激しい批判が巻き起こり、それに圧倒されていたところだった。我々も他のスポンサーも、そんな事態には対応できない」と背景の一端を明かした。

チームからの解除発表を経てマゼピンはSNSを通し、F1を統括する国際自動車連盟(FIA)がロシア/ベラルーシ人ドライバーに対し競技参加条件として求めていた同意書にサインする用意があったと明かした上で、チームが自らの希望を「完全に無視」した上に「何のプロセスも踏んでいない」と非難。3月9日(水)に記者会見を開き、更なる説明を行った。

ジャーナリストのCezary Gutowskiによるとマゼピンは、契約解除をチームのプレスリリースによって初めて知ったとした上で、以降はギュンター・シュタイナー代表と一切連絡を取っていないと明かした。

「僕は中立の立場でシーズンを戦うことを目指してきた。FIAが下した決定について全面的に同意していたけど、契約が打ち切られる前夜に(FIAから)追加の文書が届いて、それを検討していたところ、翌朝に契約解除の知らせが届いたんだ」

「ハースからの解雇については、みんなと同じ様にプレスリリースで知った」

マゼピンはバルセロナテストを終えて、シート喪失の不安を一切感じていなかっただけに、こうした結末に「本当に失望した」とした上で、将来的なF1復帰に向けて準備を整えておく意向を明らかにしながらも、現時点では他のカテゴリーに参戦する計画はないと語った。

23歳のロシア人ドライバーは「自身を必要としていない場所」に戻る気はないとしてハースへの不信感をあらわにし、シートを取り戻すために法的手段に訴える可能性を退けた。また、メディアを通じてこれ以上、自身の見解と立場を明らかにする意思がない事を強調した。

マゼピンは「運命のいたずらか、僕の友人や親戚の中には紛争の両サイドに身を置くことになった人たちもいるんだ」「これ以上、僕はこの紛争について公に語りたくはない」と語った。

アントニオ・ジョビナッツィやニコ・ヒュルケンベルグ、ケビン・マグヌッセンらの名が取り沙汰されている自身の後任ドライバーについては「最善を尽くして欲しいと思ってる。彼らは現在の状況とは何の関係もない」と語った。

マゼピンは「政治的な理由で競技に参加できない」アスリートをサポートするために、「We Compete As One」という名称の財団を設立した。その活動資金は、ウラルカリ社がハースF1チームに要求している支払い済みスポンサー費用が充てられる。