ガレージの中で笑みを浮かべるエイドリアン・ニューウェイ(レッドブル・レーシング最高技術責任者)、2024年2月22日(木) F1バーレーンテスト
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肝はメルセデス的外観に非ず…ニューウェイ、レッドブルRB20の速さを生み出す要素を説明

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開幕2戦を支配したRB20についてレッドブルの最高技術責任者を務めるエイドリアン・ニューウェイは、パドックを驚かせたメルセデス風の外観ではなく、むしろ人々が注目していない「繊細」な部分がパフォーマンスの鍵だと説明した。

先代のRB19が21戦中20勝を上げる圧倒的な強さを見せた事から、レッドブルの2024年型F1マシンについては、プレシーズンの段階で多くの識者がキープコンセプトを予想していた。

しかしながらローンチイベントでアンベイルされたRB20の外観は先代とは全く異なっていた。グランドエフェクトカー時代のメルセデスの歴代マシンとの類似性が認められるその外観はパドックとファンを大いに驚かせた。

レッドブルの2024年型F1マシン「RB20」と2023年型「RB19」のサイドポッド・インレットの比較画像copyright Formula1 Data

レッドブルの2024年型F1マシン「RB20」と2023年型「RB19」のサイドポッド・インレットの比較画像

インパクト満載の外面的変化が注目されるが、ニューウェイによると、目に見える変更やメルセデスの「ゼロポッド」コンセプトに似た外観よりも、「繊細」な設計要素が性能向上の鍵だという。

RB20についてニューウェイは、ポッドキャスト「F1 Nation」の中で「クルマの基本的なアーキテクチャーは、RB18で始めたものの3世代目の進化版だ」と説明した。

「ラジエーターを除けば、フロントサスペンションやリアサスペンション、ギアボックスやケーシングのレイアウトなど、あらゆるものが引き継がれている」

「多くの注目を集めた目に見える部分は空力的な利点を追求するものだが、視覚的な変化の大きさほど、そこから得られるパフォーマンスは多くない」

「それ以外の、人々が気づいていないような繊細な部分の方が、おそらく大きなゲインに繋がっている」

電話をかけながらジェッダ市街地コースのパドックを歩くエイドリアン・ニューウェイ(レッドブル・レーシング最高技術責任者)、2024年3月8日(木) F1サウジアラビアGPCourtesy Of Red Bull Content Pool

電話をかけながらジェッダ市街地コースのパドックを歩くエイドリアン・ニューウェイ(レッドブル・レーシング最高技術責任者)、2024年3月8日(木) F1サウジアラビアGP

2023年型「RB19」は数々の歴代記録を塗り替える圧倒的なパフォーマンスを発揮したが、それでも史上初のシーズン全勝には1歩及ばなかった。シンガポールGPでは突如、その優位性が失われ、フェラーリのカルロス・サインツがレッドブルの野望を阻止した。

ニューウェイはRB20の設計において、アドバンテージがある既存のコースに加えてマリーナベイ市街地コースのような最大レベルのダウンフォースが要求されるコースでも競争力を発揮できるよう、集中的に取り組んだと説明する。

「我々が目指したのは、あらゆるサーキットに適切に対応できるクルマだ」とニューウェイは語る。

「概して言えば、昨年、我々のアドバンテージが少なかったサーキットは最大ダウンフォースのストリートコースだった。ご存知のようにシンガポールでは少し失敗してしまい、パフォーマンスを発揮できなかった」

「もう少し上手くやっていれば表彰台を獲得できたはずだが、それでもあの手のサーキットが我々にとってアドバンテージの少ないサーキットであることは確かだ。こうしたサーキットで惨敗さえしなければ、それで十分なのかもしれないがね」