ドライバーズパレード中にインタビューに答えるダニエル・リカルド(RBフォーミュラ1)、2024年9月15日(日) F1アゼルバイジャンGP決勝(バクー市街地コース)
Courtesy Of Red Bull Content Pool

リカルド、角田裕毅のDNFが「何よりも悔しい」狂気のグレイニング、RB謝罪のバクーを終えて

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狂気のラップタイム変動をもたらす「異例」のグレイニングに苦しんだバクー市街地コースでのレースを終えて、「何よりも悔しいこと」としてダニエル・リカルド(RB)が挙げたのは、チームメイトの角田裕毅のリタイヤだった。

2024年9月15日のF1第17戦アゼルバイジャンGPでリカルドは、想定外のグレイニングに見舞われた。それはラップあたり2~3秒もロスするほどの酷さで、理由が分からず、チームは頭を掻きむしった。

その結果リカルドは、コックピット内のあらゆるツールを使ってクルマの立て直しを図る仕事に集中せざるを得ず、レースを戦うという意味では殆ど何もできないまま13位でフィニッシュした。

バクー市街地コースでレースをするダニエル・リカルド(RBフォーミュラ1)の5号車VCARB 01のリア、2024年9月15日F1アゼルバイジャンGP決勝レースCourtesy Of Red Bull Content Pool

バクー市街地コースでレースをするダニエル・リカルド(RBフォーミュラ1)の5号車VCARB 01のリア、2024年9月15日F1アゼルバイジャンGP決勝レース

クルマを降りたリカルドは、コックピットの中で孤独に、ツールを使ってクルマを調整していたことを認め、「まさに『ノーマンズ・ランド(無人地帯)』って感じだったよ」と説明した。

「できることは何でもやろうとした。レース後にピエール(レースエンジニアのハムリン)が謝ってきて、『いろいろ言い過ぎたかもしれないけど、助けようとしただけなんだ』って言われてね。『いや、助けてくれてよかったよ』って返したよ」

「どうしてこんなにグレイニングが酷いのか、その理由が分からず、みんなで頭を掻きむしっていたんだ」

「多少のグレイニングは予想していたけど、ラップあたり2~3秒もタイムが落ちるなんて予想外だった。だから、みんな、あーでもないこーでもないって話し合って、何とかしようとしていたんだと思う」

「本当に奇妙だったのは…、タイムがドーンと落ちたと思ったら、何の前触れもなしに突然、元に戻り始めたことだ。ラップタイムの変動が4秒くらいあって、本当にクレイジーだった。酷い状態から、、一気に戻ったんだ。信じられないよ」

「それでその後、タイムを絞り出そうと何ラップか全力で走った。かなり遅れを取っていたから、コースを最大限に使ってギリギリまで攻めた。出来るだけ取り戻すために…それこそ可能な限り壁に擦れるぐらいにね! でもラップ毎にタイヤがどう動くのか全然読めなくて、ホント厄介だった」

ピットウォールでレースエンジニアのピエール・ハムリンと会話するダニエル・リカルド(RBフォーミュラ1)、2024年9月14日(土) F1アゼルバイジャンGP FP3(バクー市街地コース)Courtesy Of Red Bull Content Pool

ピットウォールでレースエンジニアのピエール・ハムリンと会話するダニエル・リカルド(RBフォーミュラ1)、2024年9月14日(土) F1アゼルバイジャンGP FP3(バクー市街地コース)

早ければ次戦シンガポールGP後にもレッドブルは、2025年のRBのシートを発表する可能性がある。

自身が契約延長に値すると証明するためのクルマがない状況にフラストレーションを感じているのでは?と問われると、リカルドは「正直言って、今日、何よりフラストレーションを感じたのは、ユーキがダメージを受けてレースをできなかったことだよ」と答えた。

「彼のレースがどうなったか、本当に気になる。彼の方はグレイニングが全くなかったかもしれないし、僕と同じように苦しんだかもしれない」

「ドライバー同士の比較って話じゃなく、チームとしての視点から見た話だけど、今のところ分かっているのは、僕が酷いグレイニングに見舞われたってことだけなんだ」

「だから、ユーキのクルマでも同じだったかもしれないって推測はできるけど、実際には分からないわけで、そういう意味では、そこから学んで前に進むのが難しいんだ。ユーキのデータがないからね」

チームメイトの角田裕毅(RBフォーミュラ1)と自撮りするダニエル・リカルド、2024年9月12日(木) F1アゼルバイジャンGP(バクー市街地コース)Courtesy Of Red Bull Content Pool

チームメイトの角田裕毅(RBフォーミュラ1)と自撮りするダニエル・リカルド、2024年9月12日(木) F1アゼルバイジャンGP(バクー市街地コース)

「彼に何が起きたのかは正確には知らないけど、ダメージを負ってクルマを停めたのは知ってる。本当に残念だよ。彼には完走してもらいたかったし、データも欲しかったからね」

「だから、今日は厳しいレースだった。それでも、数日後に次のシンガポールが控えているのはありがたい。今日のレースをあまり長く引きずらずに済むからね」

リカルドとは異なり2025年のシートを持つ角田裕毅は、1周目にランス・ストロール(アストンマーチン)と接触してクルマに深刻なダメージを負い、14周目にリタイヤした。

リカルドが抱えたグレイニングについてローラン・メキーズ代表は、「極めて異例」であるとして、「なぜ我々だけがこれほど影響を受けたのかを徹底的に調査する必要がある」と付け加えた。

パドックを並んで歩くダニエル・リカルド(RBフォーミュラ1)とジョージ・ラッセル(メルセデス)、2024年9月15日(日) F1アゼルバイジャンGP決勝(バクー市街地コース)Courtesy Of Red Bull Content Pool

パドックを並んで歩くダニエル・リカルド(RBフォーミュラ1)とジョージ・ラッセル(メルセデス)、2024年9月15日(日) F1アゼルバイジャンGP決勝(バクー市街地コース)

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