キャリア通算2勝目を経て表彰台に上がるオスカー・ピアストリ(マクラーレン)、2024年9月15日F1アゼルバイジャンGP
Courtesy Of McLaren

ピアストリ「チームオーダー無視」がバクー逆転勝利の鍵、マクラーレンに”10年ぶりのF1選手権首位”を献上

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キャリア通算2回目のトップチェッカーを経てオスカー・ピアストリ(マクラーレン)は、チームオーダーを無視してシャルル・ルクレール(フェラーリ)に仕掛けたことが、F1アゼルバイジャンGPでの勝利に繋がったと主張した。

2番グリッドのピアストリはレース序盤、ルクレールを激しく攻め立てた結果、ミディアムタイヤを酷使してしまい、15周目のピットストップの時点でギャップは5.9秒にまで拡大。後退してしまった。

レースエンジニアのトム・スタラードは、各スティントの序盤にタイヤを慎重に扱うよう指示していたが、ピアストリはこれを聞き入れず、タイヤに大きな負荷をかけることを承知で、20周目にレイトブレーキングでルクレールに仕掛けた。

このオーバーテイクは成功し、その後、終盤に向けてピアストリはルクレールの猛攻に晒されたが、最後までポジションを守り抜き、逆転のトップチェッカーを受けた。

バクー市街地コースでシャルル・ルクレール(フェラーリ)をリードするオスカー・ピアストリ(マクラーレン)、2024年9月15日F1アゼルバイジャンGP決勝レースCourtesy Of McLaren

バクー市街地コースでシャルル・ルクレール(フェラーリ)をリードするオスカー・ピアストリ(マクラーレン)、2024年9月15日F1アゼルバイジャンGP決勝レース

レース後、ピアストリは「レースエンジニアにはちょっと申し訳なく感じた。最初のスティントで追い抜きを試みて、タイヤを完全に使い切ってしまったからね」と振り返った。

「そんなわけで、エンジニアから無線で『もうそれはやめよう』と言われたんだけど、その次のラップでこれを完全に無視してイン側に飛び込んだんだ」

「シャルルのタイヤがタレるのを待ってもしょうがないと思ったんだ。絶対にタレないだろうと思った。だから、もしそれを待っていたら2位が確定するだけだったと思う」

「最初のスティントで似たようなチャンスがあったんだ。2、3周目だったと思うけど、その時もDRS圏内にいたのに、チャンスを十分に活かせなかった」

「ストレートエンドで、もう少し違うやり方をしていれば、チャンスがあったかもしれないと思ったから、ピットストップ後に似たようなチャンスが巡ってきた時は、それを逃しちゃならないって思ったんだ」

「あれが唯一のチャンスだった。あのチャンスを活かさなければ、もう二度とチャンスは巡ってこなかったと思う」

「かなりのリスクを伴うものだったけど、レースに勝つためには必要なことだった。2位で終わりたくはなかったからね」

興味深いのは、ピアストリとは対照的にルクレールが当時、トラックポジションよりもタイヤを優先したという事実だ。

「ミラーを通して彼(ピアストリ)が来るのは見えていたし、あそこから仕掛けてくる可能性があることも分かってた。でもタイヤが冷えていて、無理に守ることができなかったんだ。熱を入れるのに本当に手こずってしまってね」とルクレールは振り返る。

「たとえ抜かれたとしてもレースはまだ長いし、DRSを使えば1秒以内に留まれるし、タイヤが温まったら抜き返せるだろうと思っていたんだ。でもそうはならなかった。僕の判断ミスだった」

ピアストリは首位に立った後、ルクレールを引き離すことができなかった。

「リードを奪うことは仕事全体の40%、それを守り切るのが60%になるだろうと思ってた。前に出るためにタイヤを酷使しなきゃならないことも分かっていたし、それが最初のスティントにどれだけ影響を与えるかも理解していた」とピアストリは語る。

「シャルルを後ろに抑えるのは、信じられないくらいストレスだった。ミスは一つも犯せなかった。何度かミスはあったけど、バクーみたいなコースで、ミスを犯さず全力で走り続けるなんて不可能だ。幸運にも、大きなミスをすることはなかった」

「30周を通してシャルルをずっと後ろに抑え続けるのは本当にキツかった。僕にとってこのレースは、間違いなくベストレースの一つだと思う」

ピアストリは過去11戦で最も多くのポイントを稼いだドライバーであり、バクー市街地コースでのレースを経てマクラーレンは、2014年のオーストラリアGP以来、10年ぶりにコンストラクターズ選手権首位に躍り出た。

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