フェルスタッペン逆転優勝!レッドブル・ホンダが3戦連続W表彰台、角田は無念 / F1メキシコGP《決勝》結果とダイジェスト
2021シーズンFIA-F1世界選手権 第18戦メキシコGP決勝レースが11月7日に行われ、予選3番グリッドのマックス・フェルスタッペンが後続を16.555秒引き離す逆転の圧勝で今季9勝目を飾り、選手権でのリードを19点差に広げた。
2位はルイス・ハミルトン(メルセデス)。セルジオ・ペレスが1.197秒差の3位フィニッシュを果たし、メキシコ人として初めて母国トップ3チェッカーを受けた事で、レッドブルが1965年のホンダF1初優勝の地で今季初となる3戦連続ダブル表彰台を獲得した。
18戦を終えて9勝を挙げた事でフェルスタッペンの今季の勝率は5割に達した。また、1988年に年間8勝を挙げたアイルトン・セナを抜いてホンダF1エンジンドライバーとしてのシーズン最多優勝記録を塗り替えた。
ポールシッターのバルテリ・ボッタスは1周目にダニエル・リカルド(マクラーレン)と接触して最後尾に転落。4度のピットストップを重ねる執念でフェルスタッペンからファステストラップ・ポイントを奪い去ったものの15位と無得点に終わり、レッドブル・ホンダがコンストラクターズ選手権でメルセデスに1点差まで迫った。
一時は4番手を見据えたリカルドもまた12位と、入賞圏外でレースを終えたものの、2人はお互いを責めたりはしなかった。
4位にはアルファタウリのピエール・ガスリーが続き、ホンダ勢がトップ4に3台を並べた。チームメイトの角田裕毅は1周目のターン1で混乱に見舞われ無念のリタイヤに終わったが、レース後のガレージ内には笑顔でチームのパッキングを手伝う姿があった。
スクーデリア・フェラーリは同郷ファエンツァのライバルチームには及ばなかったものの、シャルル・ルクレールが5位、カルロス・サインツが6位と2台揃って好成績を収めた。
跳馬の後ろには歴代F1ワールドチャンピオンが並んだ。7位はセバスチャン・ベッテル(アストンマーチン)、8位はキミ・ライコネン(アルファロメオ)、9位にフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)が続き、入賞最後のポジションをパワーユニット交換ペナルティで後方18番手からスタートしたランド・ノリス(マクラーレン)が手にした。
レース概要
第18戦はカレンダーの中で飛び抜けて標高が高い(約2300m)エルマノス・ロドリゲス・サーキットで行われた。ストレート、中高速、低速と、各セクターで特性が大きく異り、空気密度が低い事からチームは最大レベルのダウンフォースパッケージを持ち込む。
公式タイヤサプライヤーのピレリは中間レンジのC2からC4までのコンパウンドを投入。レースでは最低2種類のコンパウンドを使用する義務があり、ミディアムからハードに繋ぐ1ストッパーが主流となった。オコンと角田裕毅のみがソフトを履き、他は全てミディアムを履いてグリッドについた。
決勝は日本時間7日(日)28時にブラックアウトを迎え、1周4,304mのコースを71周する事で争われた。現地メキシコシティは晴れ、チャンピオンシップポイントを争う決勝のフォーメーションラップは気温21℃、路面47.6℃、湿度32%、気圧784.1hPaのドライコンディションで開始された。
母国の英雄ペレスの勇姿を見ようと、週末を通して延べ37万2000人ものファンが詰めかけた。
オープニングラップではターン1に向けて複数の接触事故が発生。早くもセーフティーカーが導入される展開となった。
上位3台は時速340kmでスリーワイドのバトルを繰り広げた。その中で、ボッタスのトウを使ってアウト側からコーナーにアプローチして一瞬だけブレーキングを遅らせたフェルスタッペンが2台を交わしてトップに立った。
その直後、ボッタスは右リアがリカルドの左フロントと接触してスピンを喫した。リカルドはフロントウイングを失った。両者はピットインしてハードタイヤに履き替え、交換義務を消化した。
メルセデスのトト・ウォルフ代表はレース後、仮に1周目のターン1で前に留まったとしても、フェルスタッペンの勝利は揺るがなかっただろうとの考えを示した。ハミルトンは「ドアを開けたままにしていた」とボッタスの動きに不満を漏らした。
後方ではエステバン・オコンが角田裕毅とミック・シューマッハに挟まれる形で3台が接触。オコンは生きながらえたが、他の2台はリタイヤとなった。
レースは5周目に再開された。フェルスタッペンがトップをキープ。ハミルトン、ペレス、ガスリーの順で続いた。フェルスタッペンはファステストラップを連発して後続とのギャップを拡大していき、15周目には4.5秒差を築いた。
15周目を過ぎるとハミルトンはペースが上がらず、一気にフェルスタッペンとの差が拡大。逆に後続のペレスはハミルトンの2秒圏内に迫まり、差を詰めろとの27周目の指示を受け1.5秒にまでギャップを縮めた。
アンダーカット封じか。メルセデス陣営が先手を打った。ハミルトンは30周目にハードタイヤに履き替え5番手でコースに戻った。ルクレールとガスリーが前を塞ぐ理想的とは言えない状況下に置かれたが、その翌周にルクレールが、翌々周にガスリーがピットインしたため、クリーンエアーを得る事となった。
悠々自適のフェルスタッペンは34周目にハードタイヤに交換。ハミルトンの前方8秒の位置でコースに復帰した。
1周目の混乱で最後尾に転落した2人は接近戦を演じ続けた。オーバーテイク叶わず、ボッタスは終始リカルドの後方をついて回る形となった。リカルドは40周目にミディアムタイヤに履き替え2ストッパーを選択。12番手で復帰すると、ボッタスはその2周後にピットに入ったが、11.7秒もの時間を要して15番手にまで転落した。
ペレスは第1スティントを39周まで引っ張りミディアムタイヤに履き替え、ハミルトンの後方9秒の位置でコースに戻ると、58周目には2秒圏内に迫った。だがオーバーテイクは楽ではなく、ファイナルラップでDRSを使って最後の仕掛けに出たものの一歩及ばず、ハミルトンから1.197秒遅れの3位でフィニッシュした。
2台揃ってのポイント獲得が不可能と判断すると、メルセデス陣営は13番手を走行していたボッタスに対して3度目のピットインを指示。ソフトタイヤを履かせ、フェルスタッペン持つファステストラップポイントを”奪い”に出た。
しかしながらトラフィックの関係もあり叶わず、メルセデスはラスト2周で再びソフトタイヤを履かせる執念を見せた。ボッタスは期待に応え、ファイナルラップで1分17秒774のファステストを残した。15位フィニッシュであるためボッタスにポイントは入らないが、フェルスタッペンから1点を奪い去る事に成功した。
フェラーリは56周目にチームオーダーを発動。ペースの上がらないルクレールに代えてサインツを5番手に上げ、12秒前方のガスリー追撃に向けて手を打ったが届かず、最終的に順位を戻した。
2021年F1第18戦メキシコGP決勝リザルト
Pos | No | Driver | Team | Laps | Time | PTS |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 33 | フェルスタッペン | レッドブル | 71 | 1:38:39.086 | 25 |
2 | 44 | ハミルトン | メルセデス | 71 | +16.555s | 18 |
3 | 11 | ペレス | レッドブル | 71 | +17.752s | 15 |
4 | 10 | ガスリー | アルファタウリ | 71 | +63.845s | 12 |
5 | 16 | ルクレール | フェラーリ | 71 | +81.037s | 10 |
6 | 55 | サインツ | フェラーリ | 70 | +1 lap | 8 |
7 | 5 | ベッテル | アストンマーチン | 70 | +1 lap | 6 |
8 | 7 | ライコネン | アルファロメオ | 70 | +1 lap | 4 |
9 | 14 | アロンソ | アルピーヌ | 70 | +1 lap | 2 |
10 | 4 | ノリス | マクラーレン | 70 | +1 lap | 1 |
11 | 99 | ジョビナッツィ | アルファロメオ | 70 | +1 lap | 0 |
12 | 3 | リカルド | マクラーレン | 70 | +1 lap | 0 |
13 | 31 | オコン | アルピーヌ | 70 | +1 lap | 0 |
14 | 18 | ストロール | アストンマーチン | 69 | +2 laps | 0 |
15 | 77 | ボッタス | メルセデス | 69 | +2 laps | 0 |
16 | 63 | ラッセル | ウィリアムズ | 69 | +2 laps | 0 |
17 | 6 | ラティフィ | ウィリアムズ | 69 | +2 laps | 0 |
18 | 9 | マゼピン | ハース | 68 | +3 laps | 0 |
NC | 47 | シューマッハ | ハース | 0 | DNF | 0 |
NC | 22 | 角田裕毅 | アルファタウリ | 0 | DNF | 0 |
コンディション
天気 | 晴れ |
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気温 | 21℃ |
路面温度 | 47.6℃ |
周回数 | 71 |
セッション概要
グランプリ名 | F1メキシコGP |
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レース種別 | 決勝 |
レース開始日時 |
サーキット
名称 | エルマノス・ロドリゲス・サーキット |
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設立 | 1962年 |
全長 | 4304m |
コーナー数 | 16 |
周回方向 | 時計回り |