トロロッソ・ホンダ、タイヤの性能劣化に苦戦…最後尾からの連続入賞なるか?/ F1メキシコGP《予選》サマリー
2018シーズン第19戦F1メキシコGP2日目。高地メキシコシティは前夜から激しい雷雨となり、朝方には雨が止んだものの、プラクティス3が行われた午前中は時折り小雨が降る天候となった。
予選前最後のフリー走行は現地午前10時にスタート。気温15℃、路面温度17℃と肌寒く、路面のところどころに水溜りが残るコンディションとなった。レッドブル・トロロッソ・ホンダのピエール・ガスリーは、セッション開始とともにインターミディエイトタイヤでコースイン。1周走行してピットへと戻った。
セッション開始30分過ぎ、ガスリーはハイパーソフトタイヤを装着してコースイン。路面状況を確認しながらマシンのセッティングを詰めていった。各車が走行を重ねたこともあり路面コンディションは徐々に回復。トロロッソ・ホンダ陣営はセッション終盤に予選シミュレーションを実施した。
両者共に新品のハイパーソフトを履きコースに出ると、ガスリーは自己ベストを大きく塗り替える1分17秒525をマークし8番手。一方のハートレーはベストラップ更新には届かず1分18秒637の16番手でセッションを終えた。
現地午後1時、降水確率は40%。今にも雨が落ちてきそうな空模様の下、予選Q1が開始された。他車に先駆け真っ先にコースインしたガスリーは、1分17秒097のベストラップをマーク。ハートレーも1セット目のタイヤで1分16秒987を記録しベストラップを刻んだ。
2セット目のハイパーソフトに履き替えた2人は、ハートレーが1分16秒682、ガスリーが1分16秒828と再びベストラップを更新し、各々10番手と13番手でQ2進出を果たした。
ガスリーはグリッド降格が決まっているためQ2を静観。調整のためのインスタレーションラップを2回行い、ノータイム15番手で予選を終えた。一方のハートレーは最初のアタックを中古タイヤで行い1分17秒184をマーク。その後新品タイヤに替えタイムアップを狙ったものの、最終セクターでミスを喫し14番手に終わった。
「Q3に進めるだけの速さがあったのは間違いない。それだけに悔しい」マシンを降りたハートレーはこう語り肩を落としたものの、グリッド最後尾から9位入賞した前戦オースティンでのレースに触れて、14番グリッドからのポイント獲得に向けて強い意気込みを示した。
ガスリーは「何しろここではタイヤのデグラデーションが酷い」と語り、慢性的なグリップ不足傾向が続くエルマノス・ロドリゲスでのレースでは、タイヤマネジメントが鍵を握るとの認識を示した。ジョナサン・エドルズ主任レースエンジニアもガスリーに同意。タイヤのグレイニングに対する懸念を示し厳しいレースになると予想した。
ホンダF1の現場統括責任者を務める田辺豊治テクニカル・ディレクターは「不安定な天候が予想されており、あらゆることが起こりうる。臨機応変に状況に対応できるよう万全の準備を整えたい」とコメント。天気の変化に上手く対処することが、上位挽回のポイントだと述べた。
決勝ではハートレーが7列目、ガスリーはパワーユニット交換のペナルティーにより最後列20番手からの巻き返しを狙う。ハートレーは前戦オースティンでのレースで、20番手からの9位入賞を果たしたばかり。最後尾からの連続入賞なるか?ガスリーの追い上げに期待がかかる。
2018年F1第19戦メキシコグランプリ決勝レースは、日本時間10月29日(月)午前4時10分から行われ、反時計回り、1周4304mのエルマノス・ロドリゲス・サーキットを71周する事で勝敗を決する。
トロロッソ・ホンダ:F1メキシコGP予選を終えて
田辺 豊治ホンダF1現場責任者
今日の午前のプラクティスは、ウエットからドライに変わるコンディションの中での走行となりましたが、我々はかなり高い競争力を示しました。実際に、予選では2台が揃ってQ2進出を果たすことができました。ですが、ブレンドンは最後のアタックでタイムを改善する事が出来ず、14位でセッションを終える事になりました。残念です。
ピエールについてはパワーユニットとギアボックス交換に伴うペナルティによって最後尾からのスタートが決まっていたため、Q2でのアタックを行いませんでした。明日のレースでは不安定な天候が予想されており、あらゆることが起こりうるものと考えています。臨機応変に状況に対応できるよう万全の準備を整え、良いリザルトが得られるよう全力でレースに臨むつもりです。
ブレンドン・ハートレー予選: 14位, FP3: 16位
今日の僕らにはQ3に進めるだけの速さがあったのは間違いない。でも、残念なことに最後のラップでミスをしてしまった。週末を通してマシンにかなり手応えを感じていて、予選Q1では10番手につける事が出来た。そこまでは良かったんだ。Q2でも同じポジションを得るだけの速さがあったと思う。それだけに今日の結果は悔しい。
Q2では新品のハイパーソフトタイヤが1セットしかなく、おまけに最後のアタックではトラックエボリューションに対して空力のバランスを上手く合わせ込むことができなかったんだ。12コーナーに進入する際のブレーキングでロックアップしてしまい、トラックからコース外に飛び出てしまった。そこでタイムを失わなければ、Q3進出に足るだけの十分なタイムを出せていたはずだ。とは言え、予選ではいつだって限界まで攻めるものだ。
レースに関しては、タイヤが大きな鍵を握ることになるだろうね。オースティンでやったように最初の1周目を上手く切り抜ける必要がある。先週は20番グリッドからポイントを獲得した。明日はそれより上の14番グリッドだから、チャンスはある。週末を通して僕らは力強さを示してきたから、明日はより多くのポイントを持ち帰れることを祈ってる。
ピエール・ガスリー予選: 15位, FP3: 8位
今日の予選は良かったと思うけど、ペナルティを受けての最後尾スタートが決まってるから、見据えているのは明日の決勝レースだ。Q1のリザルトには本当に満足してる。ストロールがミスを犯さなきゃ、もっと良いラップが刻めたとは思うけどね。
Q2に進めて良かったけど、最後まで走りきれなかったのは残念だよ。初日金曜を見る限りタイヤのデグラデーションが酷かったから、明日はタイヤマネジメントが鍵を握る事になると思う。上手い戦略を考えなきゃね。明日は最後尾から巻き返さなきゃならないけど、クルマのフィーリングは良いから、コース上でエキサイティングなバトルができると良いなって思ってる。
ジョナサン・エドルズチーフレースエンジニア
まずは、見事なフロントロー独占を達成したアストンマーチン・レッドブル・レーシング・チームを祝福したい。本当に素晴らしい仕事だった!
予想していた通り昨夜雨が降ったため、FP3は路面温度が低くウエットコンディションでスタートする事となった。インターミディエイトで走るには乾き過ぎていたけど、かと言ってスリックタイヤで走るにはウエット過ぎたから、セッション前半はコース上を走るクルマが殆どない状況だったね。
路面温度が大きく下がってくれた事で、スタビリティとマシンバランスが改善してくれたのは良かった。初日金曜のセッションではあまり走り込めなかったから、決勝に向けてタイヤをより深く理解してもらうために、ピエールにはまず最初にハイパーソフトを履かせてコース上での周回を重ねさせる事にした。
金曜よりは少し改善しているけど、依然としてタイヤにはグレイニングが発生している。昨日の夜に行ったセットアップ変更とセクター1で得たトウのおかげで、ピエールは予選シミュレーションで最高のパフォーマンスを見せていた。
ブレンドンの方は、最初のランのアウトラップの際にバーチャルセーフティカーの影響を受けた事でタイヤの熱入れが不十分になってしまい、クイックラップに影響してしまった。おまけに2セットの走行では何度かミスがあった。
Q2では走行しない予定だったから、ピエールのQ1では手持ちの新品ハイパーソフトを3セット使う事にした。最後のアタックは力強かったものの、第二セクターでトラフィックに捕まってしまい、少なくとも0.2秒はロスしてしまった。
ブレンドンは新品のハイパーソフト2セットだけで余裕を持ってQ2に進んでくれた。見事だった。だがその後のQ2ではQ1の再現とはならなかった。Q3進出に足るだけのペースがあったと思うだけに残念だよ。
レースではタイヤへの負荷が厳しい事が予想される。戦略的にグレイニングを避ける事は難しいから、今夜は大量の仕事をこなして最良のプランを練らなきゃならない。
ポールポジションはレッドブル・レーシングのダニエル・リカルド。1分14秒759のコースレコードを記録し、モナコGP以来のトップグリッドを獲得した。2番手はチームメイトのマックス・フェルスタッペン。3番手は選手権に王手をかけるメルセデスAMGのルイス・ハミルトンという結果となった。