メルセデスF1の大物技術者ジェームス・アリソン、第一線を退く…後任はマイク・エリオット
F1界きっての大物技術者として知られるメルセデスのジェームス・アリソンがテクニカル・ディレクターの職を辞し、戦いの最前線から一歩退く事になった。
メルセデスF1チームは2021年4月9日(金)、ジェームス・アリソンが同職を離れ、新たに設けた最高技術責任者(CTO)に就く事を発表した。後任はマイク・エリオットが務める。両者は7月1日より新たな職務を開始する。
ジェームス・アリソンはフェラーリやルノー、ロータスでテクニカル・ディレクターを務めた後、2017年2月にメルセデスに移籍。以降、技術面で4年連続でのダブルタイトルに多大な貢献を果たしてきた。
本年7月以降はCTOとして「ブラックリー(車体開発拠点)およびブリックスワース(PU開発拠点)の両方の技術トップと密接に連携し、チームの目的達成のために支援」する立場にまわり、マイク・エリオットに現場トップの座を譲る。
マイク・エリオットは2000年にマクラーレンでキャリアをスタートさせ、その後ルノーを経て空力責任者として2012年にメルセデスに移籍。2017年以降はテクノロジー・ディレクターとしてマシン開発における重要な役割を担ってきた。
ジェームス・アリソンは4駆化の可能性が議論されている2025年以降の新世代を見据えた長期的タスクを、対してマイク・エリオットは目先の技術運営をそれぞれ担当する事になる。
以前から現職を退きたいとの意向をチーム代表兼CEOのトト・ウォルフに伝えていたジェームス・アリソンは、今回の決定について「私は、このスポーツの上級職には賞味期限があると固く信じており、組織と私自身にとって適切な時期にバトンを渡すため、テクニカル・ディレクターとしての役割から離れることを決断した」と説明した。
「テクニカル・ディレクターとして4年半に渡る素晴らしい時間を過ごし、技術面においてチームを導けた事を誇らしく思う」
「マイクに後を引き継ぐ事ができる事を本当に嬉しく思う。彼は有能なシニア・リーダーたちの中でも特に卓越したエンジニアだ」
「今後も引き継ぎ、CTOという新たな肩書でチームに貢献できればと思っている。そのためには、チーム全体の能力を高め、近い将来に直面が予想される戦略的課題に対してトト(ウォルフ)をサポートしていく事が重要だ」
トト・ウォルフ代表はテクニカル・ディレクターとしてのジェームス・アリソンのこれまでの貢献に敬意と感謝を表し、マイク・エリオットの昇進を「効果的な後継者育成計画」と表現した。
なおチームは今回の人事異動について、パワーユニット開発が凍結され、次世代シャシーが導入される2022年以降のF1での「成功」を目的とした「技術マネジメント体制の変更」だと説明した。