マクラーレンが考える2050年のF1マシンCourtesy Of McLaren

F1、2025年ルール改定に向けアクティブ・エアロの導入を検討…4輪駆動となる可能性も

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F1は2022年の次世代シャシー導入を経て、2025年にパワーユニット(PU)の変更を含めて技術レギュレーションを一新する。主眼となるのは、現行のパフォーマンス及び魅力を維持しながらの環境性能の向上で、現在、アクティブ・エアロダイナミクスの導入が検討されており、エコ化促進のために4輪駆動となる可能性も出てきた。

全てはまだ検討段階だが、ベールに包まれていた2025年以降のF1マシンの姿が少し明らかになってきたので紹介したい。

マクラーレンが考える2050年のF1マシンCourtesy Of McLaren

マクラーレンが考える2050年のF1マシンのレンダリングイメージ。2022年のフォーミュラは一体どのような姿となるのだろうか?

エンジン形式は継続、主軸は新燃料

2019年F1オーストリアGP優勝マシン搭載パワーユニット「RA619H」Courtesy Of Honda Motor Co., Ltd

2019年F1オーストリアGP優勝マシン搭載パワーユニット「RA619H」

次世代PUについて「持続可能性」「持続可能な燃料」「パワフルかつ感動的」「大幅なコスト削減」「新規メーカーの参入を促す魅力」という5つの方向性を掲げるF1は、2025年以降もICE(内燃エンジン)を含む現行とほぼ同じPUアーキテクチャを継続する見通しだ。持続可能とは「天然資源の枯渇を避けて生態系のバランスを保つこと」を意味する。

2014年以降、MGU-HおよびMGU-Kによって熱と運動エネルギーの両方を回生する1.6リッターV6ハイブリッド・ターボエンジンを採用。ホンダ、フェラーリ、メルセデス、ルノーの4メーカーがこれを供給している。

昨今の自動車業界のトレンドとは裏腹に、F1は2025年以降も電動化に踏み切らず内燃エンジンの使用を継続する意向だが、その一方で環境性能とテクノロジー重視のF1のDNAを両立させると胸を張る。排気ガスを吐き出し続けながら、如何にして環境への負荷を抑えるのか?

パワーユニットに関するF1のカーボンニュートラル戦略の主軸は新燃料に置かれている。

これは動植物などの生物資源から作り出されるバイオ燃料や、再生可能エネルギー源(太陽光・風力・地熱・水力・バイオマス発電等)を元にした合成燃料(e-fuel)を用いる事で二酸化炭素の総排出量削減を目指すものだ。

統括団体の国際自動車連盟(FIA)は昨年12月に評価用として、非食用植物と木質系バイオマスから合成したバイオエタノール燃料を開発するなど次世代燃料の評価を進めており、これと合わせて、特に窒素酸化物を対象とする排ガス規制の導入を検討している。

「魅力の維持」という点でエキゾーストノートは避けて通れない問題だが、レブリミットは現行の15,000rpmが維持され、少なくとも現行と同じレベルのサウンドが期待されている。

4輪回生+駆動

タイヤスモークを上げてガレージを飛び出すトロロッソ・ホンダSTR13、F1アブダビGP 2018年11月24日copyright Red Bull Content Pool

タイヤスモークを上げてガレージを飛び出すトロロッソ・ホンダSTR13、F1アブダビGP 2018年11月24日

F1では現在、リアアクスルに接続されたモーター(MGU-K)がマシン加速時にハイブリッドパワーを上乗せしているが、2025年のルール改正ではこれを4輪に拡大させる事が議題に上がっている。F1の最高技術責任者を務めるパット・シモンズはエネルギー効率に関するモータースポーツ産業協会の会合において、前後両輪でのエネルギー回生を検討している事を明らかにした。

F1は現行マシンと同等の速さを発揮しながらも、レース中の燃料使用量を3割削減する事を目指しており、これを達成する方策の一つとして4輪での回生が俎上に載せられた。目指すはシステム計出力の約半分を回生エネルギーで補うシナリオだ。

回生のため4輪すべてにMGU-Kを搭載した場合、4輪駆動が可能となるが、実現するとしてもフルタイムではなくパートタイム4WDとなる見通しだ。

シモンズは「後輪駆動のスペクタクル性」を維持したいと考えており、”オン・ザ・レール”でコーナーを駆け抜けるF1マシンを良しとしていないため、ストレートでの加速時のみ限定的に前輪を追加駆動させる方式が有力と見られる。

課題は車重増加というデメリットを如何に克服するかだが、内部的には今年6月までにPUコンセプトの第一弾がパワーユニットサプライヤー側に提示され、6ヶ月間の評価期間を経て草案の作成に着手。早ければ来年夏にもFIAの批准を受ける事になる。

アクティブ・エアロダイナミクスの導入

ウィリアムズ・ルノーFW14Bを駆るリカルド・パトレーゼCourtesy Of Williams

ウィリアムズ・ルノーFW14Bを駆るリカルド・パトレーゼ

燃費向上のためにアクティブ・エアロダイナミクスの導入が議論されている。如何に高効率のパワーユニットを開発したところで、ドラッギー(空気抵抗が大きい)な車体では燃料を大量に食ってしまう。

アクティブ・エアロとは、走行中にエアロパーツを稼働させて空力特性の変化を誘うもので、現行マシンで言えばリアウイングに搭載されているDRS(Drag Reduction System)がこれにあたる。

空気抵抗を減らせば燃料消費量を更に減らす事が可能となるものの、恒常的にダウンフォースが減ってしまい高速コーナーでは遅くなってしまう、そのため、直線区間でのみ抵抗を減らすアクティブシステムが有効というわけだ。フラップを稼働させるDRSの他には、車高を変化させるアクティブサスペンションなどが考えられる。

ナイジェル・マンセルが1992年に駆ったウィリアムズFW14Bは、ストレートでの抵抗低減に繋がるアクティブサスペンションを採用していた。